ゴーレム暮らしの田中さん〜マイホーム?ゴーレムですが何か?〜

@marumarumarumori

我が家はゴーレム!!

この世界が、剣と魔法の世界になったのは、10年前の話だ。


ある日、突然、ドラゴンやゴブリンといった、ファンタジックな生き物が現れたかと思えば、見たことのない植物が現れたり、魔法と呼ばれる、不思議な力に目覚める人々が増えたり...........と、何やかんやあったものの、10年という年月が経ったからか、僕達は、その変化を日常として受け入れた。


だからなのか、箒で空を飛ぶ人がいても、ドラゴンが空を飛んでいても、驚く人はいない。


というか、小鳥が空を飛ぶ感覚で見ている人が多いのかもしれない。


真凜「ただいま〜!!お兄ちゃん!!」

朝陽「おかえり、真凜」


かくいう僕こと、田中朝陽も、そんな世界に暮らす住人の一人で............今現在は、妹の真凜と一緒に、ゴーレムのゴー太の中で暮らしている。


ゴー太は、交通事故で亡くなった、父さんと母さんが遺した物で、ゴー太のおかげで、僕と真凜は、父さん達が生きていた、あの頃と変わらない生活を送れていた。


と言うのも、ゴー太の中はとても広く、僕達用の部屋や、お風呂はもちろん、畑まであるため、食べ物に困ることはない。


..........ただ、父さんと親戚は折り合いが悪かったので、僕は、高校に進学せずに、フリーターとして働くことで、家計を支えている。


真凜は、そのことを何度も謝っていたものの、僕は、そんな妹に対し、気にするなと励ました。


ゴー太『おかえり!!真凜!!』

真凜「ただいま!!ゴーちゃん」


真凜に対し、そう言うゴー太。


ゴー太って、見た目はゴツいし、強いけど、性格は大人しいんだよな。


ま、そこがゴー太のいいところだけど。


真凜「ねぇねぇ!!今日のご飯は何〜?」

朝陽「今日は、ゴー太が倒したデッカい鳥の唐揚げだぞ〜」

真凜「やったぁ!!お兄ちゃんの唐揚げ大好き!!」


夕飯のメニューが唐揚げと聞き、嬉しそうに飛び跳ねる真凜。


ゴー太『ゴー太、朝陽と真凜の笑顔が好き。ゴー太、だから頑張った』


自慢げに、そう言うゴー太。


その声は、どことなく褒めて欲しそうな雰囲気がした。


真凜「んもぅ!!ゴーちゃん大好き!!」

朝陽「だな」


僕らにとって、ゴー太は大切な家であり、かけがえのない家族だ。


だからこそ...........僕達は、助け合って生きているのだ。


ゴー太『今日の夕飯、ポテトサラダ、あるよ』

真凜「えぇ!?今日はポテサラ付きなの!?」


ゴー太の言葉に、目を輝かせる真凜。


そういや..........真凜って、唐揚げの他に、ポテサラが好きだっけ。


朝陽「ほら。この前、たくさんジャガイモが取れただろ?だから、そのジャガイモを利用して、ポテサラを作ったってわけ」

真凜「お兄ちゃんってさ...........マジで神だよね」


テンションが爆上がりの状態で、そう言う真凜。


朝陽「そうか?」

真凜「そうだよ!!」


う〜む..........別に、神扱いされるようなことはしていないんだけどな。


そう思っていたら.......ゴー太は、突然、こんなことを言い出した。


ゴー太『...........女の子、モンスター、襲われてる』

「「..........はぁ!?」」


女の子が.......襲われてる!?


真凜「ゴーちゃん!!それって本当なの!?」

ゴー太『ゴー太、嘘つかない』


おいおい、マジか!!


朝陽「だとしたら、早く助けないと!!」

真凜「ゴーちゃん!!その子の場所って分かる?」


真凜がそう尋ねると、ゴー太は


ゴー太『ゴー太、女の子、居場所、分かる』


と答えた。


朝陽「ゴー太!!その女の子のいる場所まで全速力だ!!あと、女の子を襲っているモンスターも、倒してくれ!!」

ゴー太『分かった』


そんなこんなで、僕達は、その女の子がいる場所に向かったのだった。

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