書記官メリラーの閃き
文重
書記官メリラーの閃き
ナイル下流域視察の帰途、書記官メリラー一行は休息のためパピルスの生い茂る河畔の村に立ち寄った。供されたウリで喉を湿らせていると、近くの作業小屋にパピルスの束が山と積まれているのが目に入った。
元来好奇心の強いメリラーは、引き寄せられるようにそちらへ歩を進めた。接待役の村長(むらおさ)も慌てて後を追う。数人の村人が、無心にパピルスの茎を縦に薄く削いでいる。村長の説明によれば、割いた繊維を数日間水に浸けて柔らかくし、縦横に並べて圧縮・乾燥させて敷物を作っているらしい。
帰京した晩、視察の記録を葦ペンで粘土板に刻むのにも倦み、メリラーは傍らに置いていた敷物に手を伸ばした。その弾みに肘が触れて獣脂ランプが傾き、パピルスに煤がかかってしまった。せっかくの土産が台無しだと落胆しかかったものの、ふと思い立ってペン先に煤をこすりつけパピルスの上を走らせてみた。するとそこには流麗な文字が浮かび上がったのである。
書記官メリラーの閃き 文重 @fumie0107
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