04.おまけ(本当はね、後輩君)
「……後輩君、まだ寝てるかな?」// 声は小さく、暫くそのまま
「……寝てる、よね」
「…………」// 息を確認する間
「うん、よし、息が深い」
「……もし起きてても、寝たふりをしててほしいな」
「そして、起きたときは何もなかったことにして、いい?」
「……ちょっと、弱音を吐いちゃうから」
「幸せ過ぎて、反動があるんじゃないかって、怖くてさ」
「……最初にいっておくよ、僕は後輩君のこと、大好きだから」
「最初に君が屋上に来てくれた時。……結構、久しぶりに学校で人と話したんだ」
「先生とかとは話すけど……業務連絡みたいなものだからさ、話してるって感じじゃなくて」
「言っただろ?浮いてるって。こういう性格だからかな」
「実際どうかはわからないんだけど……僕のままでいると、どうしても他の皆は気後れしちゃうみたいでさ」
「だから、凄い馴れ馴れしかったと思う。僕に興味があるんだって思って、どきどきしちゃってさ」
「……あぁ、君が僕に興味があるのはすぐにわかったよ。そういう雰囲気、凄い出てたから。……もしかして、気づいてなかったかな」
「うん、だからそれにかこつけて変な悪戯ばっかりしちゃった。ちょっと引いちゃったよね、ごめんね」
「でも、それくらい嬉しかった。……だから、君が僕がキレイで追ってきた、なんて言った時にはさ、うれしくてうれしくて」
「今すぐ付き合うのはできない~、なんていってたけど、もう全然、君がちょっと勇気を出してたら、その場ではいっていっちゃうくらい、浮かれてたんだ」//se 笑い声交じり
「我ながらちょろいなあって思うよ、本当に」//se 自傷気味な苦笑い
「……だから、君が他の子と仲良くしてるのを見ると、嫌な気持ちになる」//se声若干低く
「君はわかりやすいっていうか、素直な性格だから……結構、仲のいい人もいるだろう?僕と違ってさ」
「だから、君が学校生活をちゃんと送れてるのは当然だし、僕もそれがいいと思うし……君が色んな人と仲良くなるのは当然なんだ」
「……それで、君がそういう感情をもって他の女の子と接してないって、思ってる。思ってるけど、さ」
「……この前は抑えられなかったなぁ。みっともなくて、余裕のない声なんかだしちゃって、本当に、情緒の安定しない人みたいな、詰め寄り方して」
「僕以外の人とも、あんなに話すんだ、とか」
「あんな顔するんだ、って」
「ほんの数か月付き合ってるだけなのに、君の全部を知った気になってさ」
「本当に、バカみたい」//se 低い声、自分を嫌がるような声
「あの時の僕、最低だったよね、ごめんね。いつもなら我慢できたのに……どうして、なんだろうね、あの時だけ、ダメでさ」
「誤魔化しきれなかったよね、君も僕に合わせてくれてさ」
「帰り道、ちょっと変だった、っていってたでしょ?」
「実際そうだよ、ちょっと変だった」
「焦ってたんだ。誰かに見られてるわけでもないのに、後輩君と僕は、こんなに仲がいいんだよ、って」
「誰かが入る余地なんてないから、邪魔するなって」
「見えない何かと戦ってるみたいで、思い出すと恥ずかしいし、滑稽だし……ああ、もう本当にやだな、自己嫌悪に入っちゃう」
「……これからも、こういうことしちゃうのかな」//se 沈んだ、落ち込んでいる声
「急に自分を抑えられなくなって、理不尽に詰め寄って」//se 声更に小さく
「後で我に返ってさ、焦って空回りしたり、変な距離の詰めかたしたり」
「……そうやって、君を傷つけちゃうのかな」//se 少し涙声
「君はこんな僕にも付き合ってくれるんだから、僕がいなくたって、いい女の子と仲良くできるだろうし」
「僕がいないほうが、いいのかな」
「もし、もしね」
「これからも、僕がどうしようもなくて」
「君が付き合いきれないなってなったら」
「こっぴどく、振って欲しいな」
「優しさなんて欠片も見せないで」
「馬事雑言投げかけてさ、無茶苦茶なことを言って」
「僕が悪いんだって、ちゃんとその時のバカな僕がわかるように、ね」
「優しいところ、見せられちゃったら……諦めきれないからさ」
「それまでは、僕のおふざけに付き合ってね、後輩君」
//ここから声はいつも通り
「……起きたかな、後輩君」
「ふふ、君の寝顔を堪能できて、僕も楽しい時間を送らせて貰ったよ」
「……でも、そのせいで採点はあまり進まなかったなあ、君のせいでおさぼりしちゃったじゃないか、後輩君」
「……なんてね、でも安心したよ、この調子なら赤点はまず取らないし、それ所かいい点数を取れそうだしさ」
「またわからないところがあったら言ってよ。また僕の家で勉強でもいいしさ」
「…………」
「……後輩君、ねえ、ちゃんと聞いてる?」
「なんだか、僕を見てない気がするんだけど……まだ寝ぼけてるのかい?」
「……目?目……」
「……」//自分の目の近くを触れる。涙が流れてることに気づいて、小さく息を漏らす
「へ?え?ああ、いや、何かな、これ、うん、違うよ、違うんだ」//若干早口
「あ、あ~。そうだ、さっき君の寝顔が心地よさそうで釣られちゃったんだった。その時涙が出てさ、いやあ全然気づかなかったなあ」
「無理はしてない、してないよ?どうしたんだい後輩君。急に話が飛躍してるんじゃないかな。欠伸をしたからって無理をしてる話になんてならないとは思うんだけどな」
「……え、あ、いや、こ、後輩君……?」//se 後輩君に腕を掴まれて、壁際に、戸惑い声
「あ、あはは、寝起きで前後不覚って、感じかな?そんな、壁際に追いやったって、いや確かに、それくらい強引でもいいって言ったけど」// ちょっと満更でもなさそうな、でも戸惑うような声
「だからってそんな、急にそういうことしなくてもいいとは思うなあ、僕は、ほ、ほら、ムードとか、雰囲気とかって、あるじゃないか」//戸惑い声のまま、何が何だかわからない、という様子
「ちょ、ちょっと待ってよ、後輩君。……あ、あー……、あー……」//後輩君に、寝てる時に言っていたことを聞いていたといわれて、声を段々と沈ませる
「聞いてても、聞いてないフリをしてっていったじゃないか!こんな、最悪な、抗議のしようがない状況で言うなんて、流石に僕でも怒っちゃうよ!?」//声大きく、逆ギレみたいな、戸惑うような声(本気で怒っているというよりは、ちょっと参っている風に)
「た、確かに、いきなりあんなことを言ったのは悪いし、それをどれくらい聞いてたかはわからないけど……」//ばつが悪そうに、言い訳する感じ
「全部!?え、だって、最初は寝てたんじゃ……」//声大きく、驚いて
「そうじゃなくて、一々首をささないでくれないかな!?まずは僕の話を聞いて、だね」//話しながら、段々と声を詰まらせて
「……ああ、もう、全部、聞いてたのかぁ……うう、あ、あぁ~~~……」//恥ずかしくなって、言葉に詰まる。後悔するような嗚咽
「……そうだよ、あれが僕の本音。余裕があるよ、なんて態度をしてるのも、自分を隠すためだし、ず~~~っと必死だよ、今だってそう」//若干投げやり気味
「だから、君からぐいぐいこられて、いつもみたいに返せないし」//声小さく、いじけてる雰囲気
「頭の中、全然、どうすればいいかまとまらないし……」
「……はは、引いたよね、滅茶苦茶重くて、面倒くさい女だって告白したようなものだし」//乾いた笑い
「……うん、いいよ。今日でカップルはおしまいでも。僕も後輩君の立場だったら、ちょっとどうかなって思うし」
「うん、僕から振ったことにしてさ、そうすれば君は被害者だし、僕も今年で卒業だから……ん、んむ、ぅ!?」//抱きしめられて、口づけ
「ん~~~~~~~~っっっ、ぅ」//暫く驚いた反応して、背中叩いてタップ
「ん、ん、ん……ぷぁ、はっ」
「……こ、後輩君!?ちょっと、いきなり、何して……!」//戸惑ったまま
「……ふ、ふふ」
「あは、はは、ははは……!」//観念したような笑い
「そうだったね、君は、本当に」//涙声交じりの笑い声
「身持ちが硬いくせに、大胆で、初めて会った時も」
「後の事なんか考えないでさ、告白紛いのことしてきて」
「…………」
「…………また、君に当たっちゃうかもしれないよ?」//不安そうに
「君の事、困らせちゃうかも」
「……それでも、いい?」
「……」
「……」
「うん、そうだよね」
「後輩君」
「大好きだよ」
「これからも、末永く、よろしくお願いします」
ウルフカットの僕っ娘先輩が揶揄いながら貴方のことを肯定して、時々独占欲と嫉妬を見せにくる話 @rororogogogo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます