第2話 変革の時

私こと琴里(ことり)は

全力で走っていた

敵を後ろに集めるために


眼力で倒すということは

後ろに目があるわけではないので

前方に敵が居なくてはならない


すなわち走って全員を抜いて

後方に集め振り返ることで

前方に敵がくる


最初はきつかった

こんなに体力を使うことになるとは思わなかったから

疲弊しすぎると集中力が欠けて

眼力も弱くなる

雑魚クラスならそれでもどうにかなるけど・・・

そこに強いのが混じってると辛い


とりあえず走りながら意識を目に集中

振り向き立ち止まる

意識を全体に広げて

両眼を開く

別に視野に入ってる必要はない

後ろとなるとさすがにきついが方向が一方性なら

見えてなくても

敵はバタバタと倒れていく

もともと戦闘中に開くこの赤眼は

視力がほぼない

判断は気配だけだ


倒したのを確認すると

さすがに息が切れる

膝に手を当て腰を曲げて息を整えると

ふと、慣れた気配に気づく


それを確認してから向こうも口を開いた

「相変わらずしんどい戦い方だなぁ

腰に抱えてる短刀で戦ったほうが早くね?」


「私の武術だとこの数は倒しきれないから」


「それもそうか、まぁ、お疲れさん」


すでに相棒と言っても良いだろう

猛(たける)は終わってから姿を現しても

何も謝らない

ねぎらいだけくれる


それが気楽でもあり

相棒としての信頼だとも思っている


一人で雑魚くらい倒せなければ

この退魔の世界3日と生き残れない


「しかし・・・数が多いな

10年前の10倍には増えてる」


「本当だよね・・・ソロ退魔師が急激に減ってるのもわかるわ」


「退魔師協会がそれに対しては乗り出したぞ

今月から1ミッションパーティ契約なる斡旋を始めた」


「へー、即席で組んで上手く行くようになるまでに

何人退魔師が減るやら」


「それでも変革が必要なとこまで来たって事だろうさ」


「うちらも組むの?」


「必要な時があればな。でも二人一緒にだ」


私は猛を見つめる


「帰るぞ。迎えに来たんだった」


「ん」


私たちは家へ向かって歩き出した



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