二人の形

御等野亜紀

第1話 序章-私の形-

言葉には魂が宿る

それゆえに

信仰を持つものは

読経を唱えたり

九字を切ったりする


その形は様々だ

そしてそれを必要としない存在も

実はいる


私や相棒の猛(たける)である

信仰も持たないで独学で退魔師になった

私こと琴里(ことり)は

ほぼ、棒立ちで眼力だけで力を操る

実は強い視線にも魂は宿る


猛は大ぶりの動作をする

子供の頃見た戦隊ものの影響か?

その動作に何の意味があるかはわからないが

動作を入れるということは

そのものにとって大きな意識を統一する何かが生まれる

そして大きな気合の声とともに

一気に敵が倒れていく


不利と見たか

ただ見ていた(ように見えたのだろう)

私の方へ来たボス格だろう妖の者が向かってくる


軽く眼を閉じて

意識を耳に集中させる

眼を開けた瞬間敵との距離は1メートルを切る

紅く燃えるような眼が敵に向けられ

倒れてくるのに少し後ろずさむ


これが私の戦い方

この一瞬の間に雑魚は猛によって一掃されている


相棒を欲しいと思ったことはない

だけど常に一人ではなかった

私のこの危なさ満開に見える戦いを見かけて

心配してくれる人は沢山いた


ほとんどは私をかばう形?で死んでいき

残るものは私を不気味になるのか離れてった


一人で活動することに慣れた頃

猛が現れた

彼は私の眼に入る範囲でいつも戦う

お互い干渉しない

この距離の戦い方が二年続いて・・・

私が高校を卒業する日、彼は私を迎えに来てた


最初に開いた言葉は

「荷物をまとめろ、俺の家に引っ越すんだ」

だった・・・

あまりの突然の言葉に絶句したが

私は孤児院に居て

高校を卒業した今

一人暮らしするべく急かされて部屋を探してた


それは渡りに船だったので

即、実行に移した


あれから口数は少ないものの会話をするようになって

一年たった今では他からはびっくりされるくらいに

お互いの間では話すようになった


気になった同棲生活は

共同住人以上の発展はない


ただ、猛はよく怪我をする

その度に私はハンドパワーで彼を治す

その間の彼の瞳はいつも優しすぎてドキマギするのだが

それ以上には発展しないので

最近は自分の乙女力に自信がくじけそうだ


まぁ、そんなものは砕けても関係ないのだが

私たちは明日もわからない退魔師同士だし



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る