第2話 魔術師とは…
異世界ベルンに転生したアリアの前に現れた住人は、端正な顔立ちをしている男だ。
アリアはここがどこかも分からず、1人混乱し続けていた。
男はアリアの方を見た。
「お前ここら辺では見ない顔だな、誰だ?」
男は偉そうな面構えをしながら、アリアに聞いてきた。
「私の名前はアリア・メーベル。私はよく分からないけど、ゲートのせいでこの世界にやってきただけなの。あなたこそ、どこの誰?」
アリアは、ムッとしながら男に聞き返す。
「アリアか。俺は、魔術師グリード・ラハンベルだ。」
「魔術師、あなたが?」
「そうだ。この世界では、魔術や魔法の力を持たない者は生きていけない。」
「魔術や魔法の力を持たないと生きていけない。人間のままだと生きていけないの。」
魔術師グリードはアリアの方を見続ける。
「アリア、お前は魔術師に転生した。お前は魔術を身につけなくてはならない。そして、新しい名前を名乗り生まれ変われ。」
「新しい名前?」
「ああ、そうだ。お前の新しい名前は俺が命名する。新しい名は、ルビー・ゴールディングだ。覚えやすいだろ?」
「ルビー・ゴールディング?」
思わずアリアは復唱する。
「ルビー、俺がお前に魔術を教えてやろう。楽しみにしておけ。」
アリア改めルビーはグリードの言葉に開いた口が塞がらなかった。
そんな時に、こちらに向かって走ってくる1人の男がいる。
ハアハアと息を切らしながら、こちらへと走ってくる。
「グリード様!こちらにおられましたか、探しましたよ。」
「どうした、ギークス?」
「グリード様が式典中に急にいなくなられて、皆パニックになっていますよ。早く式典にお戻り下さい。」
「分かった、ギークス。式典中に抜け出してすまなかったな。」
ルビーはグリードとギークスの会話に目を丸くする。
「グリード様?」
「何だ、お前は。ああ、グリード様を知らぬ者か。グリード様は、最高峰の魔術師でこの世界の最上級者だ。身の程をわきまえろ。」
ルビーはグリードの正体にショックを受け俯いたが、すぐに顔を上げた。
「グリード様、私に魔術を教えて下さい!」
ルビーはこの世界で生きていくことを決めて、グリードに魔術を教えてもらうことを願い出る。
ルビーの新しい魔術の特訓が幕を開ける。
夢見る少女はまどろまない @pinoko-24
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