若葉色の彼女

 八月初旬。木々の隙間から差し込む日差しは、木漏れ日と呼ぶには少し強すぎた。空から聞こえる鳥の囀り。緑葉広がる夏の景色に、白のワンピースは若葉色に照らされる。暑過ぎる風は、自然の香りと共に茶色の髪をなびかせた。鼻歌を歌いながら進む。

 歩くこと数分。少し開けた場所に出る。一面に広がる緑の芝。その端に、一部だけ色鮮やかな花々が咲き誇っていた。その横にそっと座る。緑に囲まれたこの場所はいつ来たって心地がいい。

「……木々の種類も変わったわね。今の景色もすごく綺麗。」

 あの日から百年以上が経った。緑はまた再生する。

「今日はやっと取れたものがあったからそれを渡しに来たの。」

 左手に持っていた物を花々の中心に置く。

「梨の花。白くて綺麗でしょ?」

 ふふっと微笑んで見せる。言葉は返ってこない。

「梨の花の花言葉は、愛情、博愛。………柊斗、大好きだよ。」

 真っ白な梨の花をあなたに。

「冬になったら柊の花を持ってくるわ。多分、柊斗知らないでしょ?梨の花とよく似た、白い綺麗な花よ。」

 とびっきりの笑顔をあなたに。

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萌黄色は鮮明に Renon @renon_nemu

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