Renon

彼女の絵が好きだった。彼女の見る世界が好きだった。 二人の時間が続けば、それで良かった。

彼女の笑顔を見て、優しい人になろうと思ったんだ。

『今から迎えに行くね』 壊れたスマホはその通知だけを煌々と照らした。 ※地名などは全てフィクションです

僕にとっての春はせっかちでのろまで空気の読めない奴だった。でもきっと彼女はずっと前から知ってたんだろう。春はわざと空気を読まないんだって。

大人だなんて自覚はないし、したいわけでもない。それでも大人を求められるから、しょうがなく応えてるだけなんだ。せめて時計の針が左を向くまで、大人のフリはやめさせて。

｢今日の月、満月ですよ。｣ そう呟く先輩が、今の私を救い出す。 ｢いつもより明るいなって思ってたところで｣ そう微笑む君が、過去の僕を救い出す。

友人は急に可愛くなった。 私を置いて先へ行く彼女が、私は羨ましかったんだ。

彼女と求める最高の八小節。集中した過去よ、高鳴って咲き誇れ。

四季折々の景色。色鮮やかな木々の姿。 また一人、年が過ぎる。

5時24分。微笑む彼女の影が1つ。 ※この物語は、鬱系統のものです。自衛をお願いします。

今日もずっと目を瞑る。寝ている訳ではないけれど。現実、過去、将来、嫌な事から目を瞑る。

年に一度、願いが叶う日。天の川が流れ、星が皆の願いを照らす。しかし、私の七夕は、世間と相反するものだった。