僕と不安と友達
第5話 ちょっとまって
翌日。
秀樹は初めて異性から遊びに誘われた。
「あー!!どうしよう!!つい行くって言っちゃったけど、俺ちゃんとしてられるか!?」
というのも秀樹は人前だと緊張して会話や遊びに熱中できないため、遊びに誘われても自分だけ楽しめず仲間のスピードについていけない。
そのためまだ友達もいたころの小学校で友達と放課後遊んでてもすぐに忘れられてしまい、気づけば秀樹を置いて別のところに行ってしまったことがあった。
そんな過去から秀樹は人と遊ぶことはイコール自分がついていけなければ見捨てられるみたいな印象を持っている。
これを聞いた人はおそらく「たった一回の出来事でそこまで警戒することないのに」と思う事だろう。でもこれが彼の特性なのだ。長所でもあり、短所なのだ。
秀樹は恐る恐る昨日繋がった志絵里とカレンのNINEを見る。
「あ、志絵里ちゃんから12件も来てる。」
と秀樹がNINEの内容を見ると、
「なぁっ!?」
それは、どこへ遊びに行くかの候補が載っていた。しかし行き先が秀樹にとっては地獄そのものである。
「ハッピーランド(遊園地)に、ユナマーサルスタジオ(遊園地)に、冨杏ユーパラダイス(遊園地)って全部遊園地じゃん!!
しかもこんなにメジャーなところ人が多いに決まってる、、」
秀樹は見知らぬ人が多く集まるところは、秀樹の大の苦手要素である。
特に遊園地のような家族や恋人、友人など幅広い客がいるため秀樹の人見知りセンサーはレベルMAXである。
「どうしよう、当時尽きていく服は舐められないように特攻服!いやいやそれはやりすぎ。ここは大人っぽくスーツにネクタイ!いや遊ぶにしては堅苦しい。
ここは普通にフード付いたパーカーとかかな。」
遊ぶ1週間も前から服装の準備をしている秀樹。
すると、秀樹の母が部屋に入って来て言った。
「ひーちゃん?いる?」
「うん、」
「入るわよー」
「ドア開ける前に入るわよっていってくれよ」
すると母は言った。
「ひーちゃん、それで気は済んだの?」
「何が?」
「あなたを助けた人がその金髪の子かどうかよ」
「あー、なんだその件か」
「あなたの疲れてたのよ、でもそろそろ落ち着いて気持ちに整理がついたんじゃない?」
「居たよ。」
「うんうんそうでしょう.......って、えー!?居たの!?
ひーちゃん、会って話したの!?」
「うん、今度遊ぶ約束もした。」
ぶーーーーーー!
秀樹の母は鼻血を出した。
「ちょ!?大丈夫?」
「あの、ひーちゃんが?!あの人見知りで不安症でドジであんぽんたんなひーちゃんが!?」
「最後のやつ余計だよなどう考えても!」
「人と会話して、遊ぶ約束までしたの!?し・か・も、女の子とぉぉぉぉ!!!!!!ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「うん、ちょっと黙ろうか。うるさいんだよ。」
秀樹の母は息子が将来対人関係で苦しむことを危惧していた。
それは秀樹が引っ込み思案や不安症であるため、学生時代に人とやり取りをするということが無いと思っていたからである。しかし、
「あっ、NINE電話、志絵里ちゃんからだ」
「えー?誰々ぇ??お母さんにも話させてぇー?」
「ダメに決まってんだろ!デリカシーってもんはねーのか!」
このように、外部との関係が出来始めた。これにより母の悲願であった青春を謳歌するという希望が出来た。しかも女の子と!
「もしもし?」
「あー秀樹君?今時間大丈夫??」
「う、うん。大丈夫.....」
秀樹は電話の隣にいる母の圧に緊迫した。
「ちょっと場所変えるねー!」
「あーちょっ!?ひーちゃん!!
ふふっ。」
そういい、秀樹はトイレにこもった。
「そ、それで、どうしたの?」
「うん、NINEで送った遊園地の事なんだけどね、秀樹君はどこに行きたい?」
「えっ?、あー、、なるほど。」
秀樹は正直候補のどこにも行きたくなかった。予想ではピクニックやゲームセンター等比較的人が少なめなところを予想していた。
「そ、そうだな、ぼ、僕はー。
(流石にユナマーサルスタジオは遠すぎるし、ハッピーランドは特に人が多そうだし、冨杏ユーパラダイスかな)そうだな、僕は冨杏ユーパr.....」
「そうだよね!やっぱりハッピーランドだよね!!」
「えっ?」
「秀樹君ならそう言ってくれると思ったよ!」
「えっ?、あのー、僕は冨杏ユーパラd....」
「よし!それじゃあお義姉ちゃんにも伝えておくね!」
「ちょっ、」
「一週間後が楽しみだね!!それじゃあ」
ぷー ぷー ぷー(電話が切れた)
「あぁ.......」
それから一週間後の当日。
玄関前で親子は話す。
「ひーちゃん?お財布持った?」
「うん。」
「スマホは?」
「持った」
「カバンは?」
「要らない」
「えーっと、それじゃあ、」
「ちょっと黙っててくれますかねー!」
秀樹はしつこい母に怒鳴った。
「それじゃあ行ってくる」
「いってらっしゃーい!」
秀樹は家を出て駅へ向かった。
秀樹は駅に着くとメロン(交通系電子マネー)にチャージした。
「えっと、千葉までだから3000円くらいあれば往復足りるかな?」
秀樹はチャージを済ませ、待ち合わせをした。
「あー、大丈夫かな、ちゃんと香水聞いてるかな。」
秀樹は不安で汗をかくので体臭がキツくなって嫌われる事にも不安になってた。
「あー!秀樹君お待たせ!!」
「あっ、こ、こんにちは、じゃなくて、おはよ。」
「うん!おっはよー!」
「おはよう秀樹君」
「きょ、今日は晴天に恵まれまして、、、」
「ん?何言ってるのー??」
そうしてる間に電車が来た。
「あっ!電車が来たよっ!」
そう志絵里が言うと、カレンが言った。
「ご、ごめん!私トイレ行ってくる!!」
「えー!急いでね!!」
「うん!すぐ戻る!!」
そういってカレンはトイレに向かった。
すると、
「ごめん、僕もトイレ行ってくる」
「えーっ?秀樹君も急いでね!あと5分だよ!!」
「うん!ちょっと待ってて」
秀樹は緊張のあまり落ち着かせるために水を沢山飲んだ事を死ぬ程後悔した。
「いそげー!」
秀樹は用を足すとすぐに駅のホームへ戻った。
「いそげー!!はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・
あれ?電車は?
時間は、10時36分..........」
秀樹は少し黙った後叫んだ。
「一分遅れたー!!!!!!」
秀樹はその場で落ち込んだ。その後、後ろから誰か近づいてきて言った。
「アレ?、でんしゃー....」
「あっ、カレンさん?大変なんです!
志絵里ちゃんを載せた電車が僕の来た時にはもう、」
「えー!嘘ぉー!!」
二人は駅のホームに取り残された。
一方そのころ志絵里の乗る電車は順調に遊園地方面へ進んでおり、志絵里もこれまた不安になった。
「ちょっと、お義姉ちゃんも秀樹君も早く来るって言ってたののにー!
電車の中って電話使えなかったんだよね?」
志絵里はカレン宛にNINEを送った。
「お姉ちゃん!もう電車行っちゃったよ!!
秀樹君も帰ってこなかったしこれからどうするの!?」
「あっ、志絵里からNINE!」
二人はそれを読んで不安になった。
「秀樹君、どうする?」
僕は不安になりたくない! @amagaeru36
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