1939年 ハンガリー上空
マダガスカル共和国
マナンボロシ空軍基地
(基地近くの酒場にその男はいる。戦中エースとして常に最前線にたっていた男はこの酒場で1番安い酒を飲みながら哀愁を漂わせている。しかし、彼の瞳の中には
俺は戦前、ドイツでBf110を乗り回してた。
とまぁそれは最初のうちだけ。
37年に起きたのルーマニアの内戦に義勇軍として参加したとき、
しかも、その戦闘機はこっちのよりも遥かに前に作られた飛行機に負けたんだ。
そりゃぁ総統閣下はお怒りになって戦闘任務での出撃を禁止しされちまったんだ。
それで俺らは華型の制空戦闘から外されもっぱら偵察やら近接支援に使われるようになっちまった。
それはBf110に乗っているパイロット全員にとって不愉快だったんでしょうね。
あぁ、みんなあの偉大なる伍長に対してお怒りだったよ。
そりゃぁ格闘戦に不向きな機体で、相手は格闘戦向き。格闘戦に入っちまえばこっちの勝機はうんと低くなる、そんな戦いを強いられてたんだよ。
それで負けたら戦闘機として扱われなくなる。
一晩にして俺たちの誇りはボロボロのスクラップになった。
しかし、すぐまた光を浴びる事になった。
確かに早かったな。
あれは一年後起きたブタペストの戦いの後、ブダペスト近郊でこちら側が塹壕を掘りかの有名なブダペスト防衛線が構築され膠着し始め、さながら親父や爺さん達が戦った欧州大戦の西部戦線さながらの塹壕戦になった時だったな。
当時、翼竜はかなりの脅威だったのですか?
ああ、かなりの脅威だった。
やつら翼竜の速度は時速500キロ以上。
それに機動性は言うまでもない。文字通り縦横無尽に動ける。
当時ブダペスト上空に展開していた航空機では歯が立たなかった。
それにな、奴らの背中には鱗が着いていてそれが強力な装甲となっていて、その装甲を貫通するには大口径の機関砲で攻撃する必要があった。
当時大口径と呼ばれるクラスの機関砲を積んでいた飛行機というものは限られていて、搭載されていたとしても弾数が少なく持久力がなかった。
そこであなた達とBf110に再び光が当たったと。
ああ、そうだ。
航空戦において劣勢となり焦ったゲーリング閣下は暇をしていた俺たちのことを思い出した。
Bf110もとい重戦闘機は強力なエンジンで高速を発揮し
強力な機関砲で敵機に対し強力な一撃を与えるというのがコンセプトだ。
そのコンセプトにあった敵が出現し、日の目を浴びるチャンスが回ってきた。
しかし、当時のBf110-Cのスペックでは翼竜に対してやや劣勢だったのでは?
ああ、確かにそうだ。
だから少しばかり改造されたんだ。
(不敵な笑みを浮かべる)
まず、エンジンが換装された。
最初は1100馬力エンジンであったDB-601エンジンを搭載していたのだが、そのエンジンが試作中であった1475馬力のDB-605エンジン二基へと換装され最高速度が580kmへと向上した。
そして次に武装か20mm機関砲2門、7.92mm機関銃4門からすべて強力な20mm機関砲4門へと換装され、
ここが1番大きな改造点なのだが、3.7cm機関砲が搭載
された。
その改造されたBf110を初めて見た時、どのように思いましたか?
狂ってる。そう思ったね。だってそうだろ、
搭載された3.7cm機関砲は一つで約1・5トンだ。
運動性は壊滅し、速度も壊滅的だと思ったんだ。
しかし、
裏切った、というのは?
改造された
明らかに今までの性能が違うとな。
速度は面白いくらいに出るようになり、武装も強力で今までとは一線を画すものだとわかった。
これなら、どんな機体が出てきても負けはしないと感じたよ。
では、実際のブダペスト航空戦ではどうだったのですか?
バッタバッタ敵を撃墜した、ということはなかったが
ほかの単発戦闘機よりも勝てていた。
これだけはハッキリと言える。
他の単発戦闘機の航空隊がだいたい1ヶ月辺りに堕としていた翼竜の数は4、5匹程度だったんだが、俺らの航空隊は毎月あたり10から11匹ぐらい堕としていた。
意外と堕としていた数は少ないのですね。
ああ、元々展開していた翼竜の数は少ないからな。
敵の主な航空兵力の主力はハーピーやらユニコーンに乗った魔術師だった。
では、当時の様子をお願いします。
ああ、分かったよ。
俺らが初めてハンガリーに展開したのは穴が出現してから3週間程たち飛行場の整備が完了したころだった。
ハンガリーにあった既存の飛行場は使わなかったのですか?
いや、使ってはいたんだ。
でも、飛行場の数が展開する予定の飛行機の数に対して不足していた。
だから前線に近い平原に野戦飛行場を複数箇所整備し、そこから出撃していた。
初めての出撃となったのはいつでしたか?
あれはちょうど展開してから1ヶ月後、ちょうど秋が終わった頃だ。
いつものように前線の支援任務に着くために出撃準備をしていた。
対翼竜のために展開していたのではないのですか?
確かに主目的は翼竜の迎撃だったが、別に制空戦闘だけが取り柄だけじゃない。機首に配置されている20mm機関砲や3.7cm機関砲は航空機に対してだけではなく地上の目標に対しても有効だ。20mmなら人の胴体に当たると粉々に、3.7cmはオーク程度なら簡単なら真っ二つに千切れる。
それに胴体下に500kg爆弾を1つ、翼下に50kg爆弾を左右に1つずつ搭載できる。
初めて翼竜と接敵した時も爆弾の搭載準備だったり、対地攻撃に特化した機関砲弾の搭載をしていた。
前線の塹壕に展開している防空部隊から翼竜が出現したとの通報があった。
その一報を聞き直ぐに迎撃のために準備を開始した。
人魔大戦記 @kokenokokeshi
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