第22話 取り合う……的な?
「ゲーム、お前にしては健全すぎる」
コントローラーを置くと、俺は唸りながら考える。よくよく考えるとただゲームをしているだけなのが不思議で仕方がない。
襲わないと言っただけで、それまがいな事をしてきたりすると思ったが、違ったようだ。
「なんですか、私が本当に襲おうとしてるとでも思ったんですか」
プクリと頬を含める真城。
「襲わなくても、なんかしら仕掛けてくるとは思ってた」
「先輩、私をなんだと思ってるんです?」
「先輩を家に連れ込んで襲おうとしている後輩」
「最低ですね」
正直に答える俺に、ジトっとした目を向ける。
「私、実真先輩にも佐那先輩にも言いましたよね⁉ 私はビッチを卒gy――」
「分かってるから.けど、佐那が言ってたビッチていう概念が染みついてるっていうのも分かるだろ?」
「分かりますけど……」
「だろ?」
これまで染みついていたその人へと情報は簡単に上書きされるものではない。真城だけのことではない。佐那がいきなり俺に抱きついて「一緒に遊ぼ?」とか言ってきたら、俺は嫌悪の目で佐那を見るだろう。
それも、素直じゃない性格が佐那に染みついているからだ。
「私は先輩と、もっと仲良くなりたいんです」
「俺に急接近してまで?」
「もっと親密になりたいんです。ライバルもいますし、先輩が私から離れない為にも」
「んな急かさなくても俺はどこにも行かねーよ」
ただでさえ友達が少ない俺だ。遊ぶのなんて佐那と智親しかいない。
ライバルというのは……佐那だとは思うが、奪い合う理由なんて、3人でいる時間を奪われたくない佐那と、一緒の時間を過ごして仲良くしたい真城。解決できそうな問題だ。
「焦らなくてもさ、真城とも遊ぶし、佐那と智親とも遊ぶから心配するなって」
「いやいや心配はしますよ。特に佐那先輩に関しては」
「何の心配だよ」
「先輩を取り合う……的な?」
「俺はそんな佐那から好かれてるのか? たまに蔑んだ目で見られるからヤバい奴認定されてると思ってたわ」
「そんな訳ないじゃないですか。佐那先輩、実真先輩に対してだけ態度が違いますよ」
「同じだろ。智親の方がちょっと扱い酷い所はあるけど」
「違いますよ! 先輩の目は騙せても、私の目は騙せてませんから!」
両手で目を見開いて、俺の方をマジマジと見てくる。
騙すも何も、佐那が俺達への接し方が同じなんだもん。
俺が遊びに誘った時も、あれは前同じようなことがあったが、全く同じであった。
好かれていると言われたところで、それが友達的な意味か、恋愛的な意味かで話が変わってくる。
後者だったら、嬉しい。嬉しいけどありえない話。もし少しでもその気持ちがあったとはいえ、前者よりなことに間違いはないだろう。
経験人数3桁の後輩ギャルは、どうやら俺に惚れてるらしい もんすたー @monsteramuamu
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