Track.5 ヘンタイ彼女、いちゃいちゃする。

「先輩、私気づいちゃったんですが……」


「今、我々はおうちデートをしているのでは!?」


//演技依頼 耳元で囁く


「そう。おうちデートです」


「外ではありません。つまり、人目を気にしなくていいのです」


「つまりつまり、先輩とあーんなことや、こーんなことができちゃうってことですよね?」


「どうします? 何しちゃいます、先輩?」


//演技依頼 耳元から離れる


「ゲームでも、アニメでも、ポテトチップス食べちゃってもいいんですよー?」


「あ、先輩は卵雑炊のあまりですからね」


「な、なんですか」


「そ、そうですよ。ゲームとかアニメとかポテトチップスもぐもぐとかお外デートではなかなかできないじゃないですか」


「他に、ですか」


「じゃ、じゃあ、先輩と手を繋ぎたいです」


「だって、皆の前じゃ落ち着きませんし」


「先輩は私の恋人だー! って威嚇のための手繋ぎですし」


「威嚇です。シャー! ですよ」


「でも、おうちだったら……」


「先輩と手を繋ぎたいから手を繋げるじゃないですか」


「手汗なんて気にしませんよ」


「気になるなら舐めとりましょうか?」


「あ、Tシャツでふき取らないでください! 先輩の貴重な汗が!」


「ああー」


「じゃあ、改めて、手を繋いでください」


「え、何が違うんですか?」


「手を広げる? 指と指の間を開けて……?」


「わっ、せ、せ、先輩!」


「これって、あの、恋人繋ぎっていうのですよね」


「な、なんかすごくえっちなんですが!?」


「だってだって、なんだか……その絡み合った感じが……えっち」


「慣れてないなんて当然ですよ! 先輩がはじめてですから……」


「そ、そうですよ! 先輩がはじめてです!」


「だ、だってわざわざ言うことじゃないじゃないですかー! 先輩も聞かなかったし!」


「ま、まあそうですよね。私も先輩の元カノの話とか絶対聞きたくないです」


「だから、その、先輩」


「私、わからないことだらけなんです。初めてのことばかりなんです」


「さっきみたいに空回っちゃうこともたくさんあるけど、先輩がエスコートしてくださいね?」


「ふぇ? 先輩がおうちデートでしたいことですか」


「ええ! ぜひ聞かせてください!」


「んー。今なんと?」


「わんもあぷりーず?」


「キス」


「キスですか」


「お魚ですね。大丈夫です。三枚おろしにできますよ」


「あ、違いますね。わかります。さすがにわかります」


「でも、でもー!」


「そ、そんなは、は、は、ハレンチなー!」


「ま、待ってください、先輩! 心の準備が!」


「い、嫌ではないです」


「でもでも、は、恥ずかしい……」


「はうう……」


//演技依頼 耳元で囁く


「お手柔らかにお願いします、先輩」


【終わり】

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ヘンタイ彼女のあまあま看病。 針間有年 @harima0049

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