第22話 疑心暗鬼
ゲームにのめり込んだり、来年受験生だし、あと題名考えるのが大変すぎてバタバタしてたら全然筆が進みませんでした。
ほんとにすみません。
読者の方々に考えて欲しいくらいです、題名。
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「なれない...って、いや、でも.....感謝くらいならするでしょ」
「したとしても....恐怖に顔を強ばらせて、びくびく機嫌を伺いながらの感謝よ?柚右の心はあなたが、そして私が思っている以上に壊れやすい.......。もう、壊れた柚右はみたくないの」
二度とね、と自分にも言い聞かせるかのように反芻するシルフィ。
「っ、て言っても、あたしに出来ることなんて、ある?なさそうじゃない..?」
落ち着いた声で、けれど納得はできていない様子の紗蘭。
「あれ?柚右ってば、鑑定してないの?」
何のことか分からず困惑するしかない紗蘭に対し、シルフィは.........
「あなたのステータスよ。あ、えっと......読めないんだったわね.........。端的に言うと、サラは回復系統のスキルを持っているの」
「えっと....怪我を治したりできるってことでいい?」
「それもだけど、あなたのは少し特別。やっぱり、召喚された勇者なだけはあるみたいね、みんなこんな感じなら使いようによっては
「あの国.........?」
違和感を覚える紗蘭。
「なんでもないわ。で、あなたのスキルは「安息空間」ね。範囲5メートルの、対象の傷を心身問わずに治すためなら基本的にどんなことでも許される上に、結界は「絶対防御」つきなのね...でたらめだわ」
「ってことは、あたしがアイツを助けれるってこと、か」
と考える紗蘭だった。
「......そう簡単に壊れたりしないと思うんだけど、アイツは」
「ええそうね。柚右は強いわ。だから
「次元爆弾とか、アイツの過去のこととか.......。あんたって一体.........」
「さぁね?」
(
~~~~~~~~~~~~~~~~~
場所は変わって、森の奥。
白井と対面して、いざ拳を交えて思ったことは
...弱いな.........。
だった。
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白井 陽斗 17歳 男 レベル:3
筋力:21
体力:18
耐性:18
敏捷:15
魔力:28
魔耐:14
スキル:洗脳(Lv.2)・扇動(Lv.1)・(シグルム語理解)
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ステータスを見るとこんな感じだが、使いこなせてないというのもそうだし、適当で無双できるだろ感がすごい出てる。
実際クラスメイトを支配できている訳だし、理解するべきなんだろうが......。
.....この程度のステータスでどうにか出来るとは思えないんだけどな.........。
「だあああ!!クソ!なんで当たんねえんだよ!」
「お前が遅いんだろ...じゃあな」
もう終わりにしようと思った。
その瞬間、
「おい!何寝てんだ!??【起きろ】よ!!!」
白井が大声を出し、それに伴って気絶させた3人が、明らかに操られている挙動を取りながら俺に向かってきた。
が、それだけではなかった。
背後から.....木.........と同じくらいの大きさの巨人、化け物、なんだコイツは?
3人が操られながらも目に見えて怯えているように見える。
こんなやつを手懐けたってのか?
「なんだコイツ......!?」
ステータスを鑑定して驚愕した。
こいつは.........
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石井 純太(???) 17歳 男 レベル:17
筋力:206
体力:327
耐性:281
敏捷:3
魔力:6
魔耐:75
スキル:生命の祝福・肥大化(異化)・強制再生(異化)・畜力(異化)・魔物化(異化)
状態:白井 陽斗により洗脳使役
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あの、手をスライムに切り落とされたチビが......こんなでかい化け物になるなんて......。
こいつがあいつらを脅かしてた恐怖の正体か!
こいつくらいの魔力耐性なら洗脳なんてされないと思うんだが.........。
「やっちまえ!」
ここが正念場だな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「っ、おいファルナ!ごめん光消してくれ!!」
こんな時にも呑気に寝られるこいつの神経どうなってんだ??
不意打ちの為に光を消そうと思ったのにファルナが起きてくれない。
まぁ、仕方ないか。
さっきから殴ったり蹴ったりしてみているが、石井の体力、耐性の前では全く無意味だった。
「ちっ......」
長引けば長引くほど俺が不利か.........。
「死ね!碧!!!」
石井以外は雑魚だ。石井を操る白井に命令されていた3人、そして白井も、最速で意識を飛ばしてその辺に投げてある。
そんなことはお構い無しに突っ込んでくる石井。
如何せん巨大化の影響で4m級の巨人.....に自在に伸びる手足つけたみたいな体だから、攻撃が俺にかするだけで物凄い衝撃とダメージが入る。
......冷や汗か、そうじゃないかなんて知らんが、嫌な汗が流れて気持ち悪い。
ジリ貧だ。お手上げか?
....考えろ。俺は今何が出来る??
ガッッッ!!!
「ガハッッ」
思考の海に沈みこみすぎていた.....のか?
「いってぇ....くっそ......。あれ、ここは.........」
口の中の血をペッと吐き出し、周りを見渡すと、石井に10m程吹き飛ばされて、森の中でも木が少ない開けた場所に出ていたようだった。
石井を警戒しながらも気づいたことは、生活感が漂っていたこと。
「近くに洞穴とかがあるのか.......?」
野草を適当に食い漁ったような痕跡が散らばっていた。
肉までは簡単には捕まえられなかったのかもしれない。
「お、やっぱあった」
俺達が飛ばされた森は大きいなとは思っていたけど、ここまでとは.......。ここはクソデカい山の中腹辺りだったってことか?
これだ.........。
岩壁の隅にちょっとした穴があった。
人が入るには申し分ない大きさの穴だけど、奥行きはあるのか......?
中を覗いてみると、
「ひっ」
「いやっ.....」
「ごめんなさいごめんなさい」
「..................」
生きる気力を失っているかのような眼差しのクラスメイトがいた。
頭から血を流している俺を見て尚更不安定になったようだった。
男子は葉や土まみれになり、ボロ雑巾のようだった。
女子は.......服を脱がされ、乱暴された者、媚びを売ったのか、他より小綺麗な者......。
ファルナはぼんやりとしか照らしてないから、あまり良く見えないけど、これで多分全員......だと思う。
俺と別れるまでは強気だった奴も、当然その中にいた。
.........大丈夫か。
咄嗟に出そうになったが、そう聞くのはダメだよな、と踏みとどまる。
――助けに来たぞ。
そう言おうとした時、
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
石井が叫んだ。
すくそこまで来てたのか!!?
洞穴から出てすぐに戦闘態勢をとる。
今となっては、ファルナの明かりには本当に感謝だな。
さて、どうする.........?
魔力に対する耐性が高すぎて、魔法が全然通らんし、物理も勿論全然効かない.......。
洗脳を解いた所で、巨大化してるのは別の要因っぽいし、解決にはなってない.......。
...........................っていうか、レベル上がってるのにステータスポイントの割り振りとか出来ないもんなん???
もうちょい分かりやすく表記してくれ。整理もしてくれよ!
『ステータス・オープン』
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碧 柚右 17歳 男 レベル:32 (達人級)
筋力:76(+64)
体力:87(+50)
耐性:90(+44)
敏捷:62(+94)
魔力:138(+48)
魔耐:104(+42)
残り:186
パッシブスキル:話術(Lv.4)・序盤支援・隠密・隠蔽
(+ 冒険家・魔法適正(中級))
ノーマルスキル:料理・暗殺術・抜刀術・短刀適正・使役・縮地(派生:重縮地・天歩)・加速
(+ 看破(Lv.6)・狩人の直感・狂乱怒濤・家事)
エクストラスキル:言語理解(Lv.5)
(+ 精霊の祝福・概念魔法(刻)・再現魔法(超)・魅惑の所作)
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分かりやすくなった.........最初からしてくれてもいいのに。
残りのポイントは(上がったLv)×6かな、なるほど。
「ァ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
っ、危ない.........。
また思考の渦に飲まれてた。
運悪く避けられなかったら結構危なかったかもしれない。
ステータスで圧倒する。
なんも考えずに切ろう.........!
筋力と魔力にぶっぱ。93ずつ出血大サービスだ。
『狂乱怒濤』+『加速』+『重縮地』+『暗殺術』+『抜刀術』。
後は短刀に中級魔法を付与して.........。
『
狙うは―― 目!!
雷系統の魔法と併用しての『重縮地』での光速の踏み込み。
その勢いごと石井の顔面へと突っ込み、
「........」
頭部を消し飛ばした。
「おっと」
4メートルの高さへ斜めに飛び上がりながら突っ込んだのでそこから落下。なんとか着地。
「流石に頭が無くなったら死んでくれたか......」
2人目、か。
人を殺す度、俺の中の大事な何かが壊れていく音がする。
吐き気がする。
雷で焦げて、血しぶきはあまり出なかったが結構な量の返り血を浴びてしまった。
後はクラスメイトを連れ出して終わりか。
......早く一息つきたい。今にも、吐きそうだ。
洞穴に戻って連れ出そうと、そちらに目を向けると、クラスメイトがこっちを見ていた。
俺は、
「これでお前らは自由だ。このまま皆で街に行く予定だから着いてきてくれ」
だけど、
「........」
「.........」
誰も、喋らない。
俺をじっと見ていたり、下に視線をやっていて表情が見えなかったり様々で.........それでも感じたのは、
――拒否。
畏怖。 目の前で化け物を殺した、それ以上の化け物を見る視線。
憤怒。 何故もっと早く来なかったのか、と責める視線。
諦観。 なるようになれ、と全てを諦め身を委ねる、生気のない視線。
全てにおいて共通しているのは、表面上でさえ、俺を受け入れていないこと。
.........あれだけ痛い思いをして、めんどくさいのに、頑張って、これか。
あぁ、吐き気がする。
言いたいことは山ほどあるが、それをこいつらに言ったって何も変わらない。
ショックを受けているのか、こんなことで?
自分で自分が信じられなかった。
でもまあ、もう他人のために動くのはやめよう、と思わせるくらいには効いているようだ。
.....早く拠点に行かないと、皆が待って.........
いるのか?
いや、あいつらは俺を見てくれているって言っていた。
.........本当に?
.........今俺は疑ったのか?あいつらを?
俺を信じてくれた、あいつらを?
.........自分が自分じゃなくなっていく気さえする。
そんな事は後からでいいんだ。
今はまだ夜だし、夜が明けるまでここにいないと行けない。
この夜をどう過ごすか、それを考えないと。
「明日の朝に、こっちの拠点に向けて出発する」
そう告げて、
敵意はあまり感じないのに、チクチクと刺すような視線を背に、俺は洞穴から少し離れた場所へと向かった。
吐き気が、もう限界だった。
クラスで俺だけ「言語理解」を手に入れたから元の世界に帰りたい 灯華 @Thoka
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