第11話 見覚えがあるような。

______はあ。嫌な夢を見ていたな。夢の中とはいえなんで私がこんな思いを背負わなければいけないんだ。経験したことはなかったが妙に感じたことのあるような懐かしさがあった。気のせいだとは思うけど。うわ、あの人の名前、なんだっけ。夢を見た記憶はあってもそれを覚えていた試しがないからな。しょうがない。そのうちこの夢の記憶すら完全に消えてしまうのだから。私の寿命は限られているらしいから、そんなくだらないことなんて考えていないで受験のことを考えないと。怖いなあ。もうすぐ文化祭もあるのに。まあ、この高校自体あんまり受験に関心がないからなんなら受けなくたって何も言われないとは思うけど。私は私を彩るためにやりたいことはやっていく主義だ。そのうちの一つが受験なのである。そんなことはどうでもいい。私は今ただの風邪でこの病院にいる。念のためとのことだが、こんなとこに縛られているよる外の世界で社会に揉まれて生きていたい。今日は6月15日だ。さあいつ退院できるかなあ。そうして私はまたこの生活を送るのだ。あ、雨の音が強い。カーテンの隙間から見ると今日は嵐のようだった。それなのに何故か私はこう言っていた。

「そらがきれいだ」

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空と私のメランコリック よこやまみかん @orange-range

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