夢の旅路

花野井あす

夢の旅路


僕は山を下りて、ビルの立ち並ぶ大都会まちへやってきた

いわゆる、お上りさん


ひとりで心細かったさ

街へけば、ここでない何処かへ往けるよと誰かが云っていた

だから、僕は木々の合間を縫って、河沿いを抜けて、海原を渡って

遠く、遠くへ旅をして

ここへ辿り着いたのさ


するとどうだい。そこで出逢ったのさ

運命とはきっとこのことさ


硝子の向こう、ここでないべつの世界

そこに佇む美しいきみ


きみの世界は同じようで、同じでない

青空そらも雲も太陽おひさま

ぴかぴかきらきら、ずっと綺麗だ

きっと素敵な場所に違いない

きっとすべてが宝石にできているに違いない


硝子越しの美しいきみ

小頸こくびを傾げる容姿さままでチャーミング

輝く瞳は夜空そらを留めた朝露のよう


ああ、美しいひと

きっとそこへ往ってみせるよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢の旅路 花野井あす @asu_hana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説