劉禅を語るという慧眼

たとえば社員数20人ぐらいの会社の社長が、部下に対して劉禅は悪くなかったという話をしたらどうだろうか。

部下の立場からすると派閥を解消しない宣言ととれるし、一生懸命に仕事をする気が失せるし、倒産後の振る舞いも考えなければいけないから転職の準備するし、給与の未払いも警戒しないといけないので資金繰りをこっそり監視しなければいけないしで辛いものがある。

社長が取引先の人間に話をしたらどうだろうか。取引先の人間はひょっとしたら内実が厳しいのかなぁと警戒して、場合によったら手形取引お断り、即金取引のみに切り替えるかもしれない。

社長が異業種交流で他の社長達にこういう話をしたらどうだろうか。望んで上長になったわけでもないのに組織を一個潰したぐらいであそこまで非難されるのはおかしい、自分の安楽のために動いて何が悪い、蜀の皇帝という望んでいない地位をテコに晋の安楽公という地位を得たのだとうそぶき盛り上がるかもしれない。

社長をしている友人がこういう話をしたらどうだろうか。社長というのはうらやましく思われるけど、色々と大変なんだなぁと慰めると思う。

水城洋臣氏が書いたこのような文章を読んで自分はどう思うのだろうか。劉備入蜀以前からの蜀漢人士の事情を掘り起こし、魏呉蜀の特徴にも触れながら、筋道を立てて分かりやすく簡潔に蜀の滅亡を説明するという素晴らしい文章で最高!とてもおもしろかった!

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劉禅を考える