第2話  廃棄遊園地

 山々に囲まれた一角にスクラップを再利用した廃棄遊園地はある。丁度獣人国の窪地に位置する処、風が絶え間無く砂塵を運び旅行者が往來する名所、チケットを買えば色々な観光が出来る。通例のコースは遊園地〜噴水広場〜ラウンジ〜温泉郷である!各施設ごとに趣向を凝らした愉しみ方がある。

……虹色観覧車に男二人乗って周遊する蛆若丸は吐息を洩らす!此処から視える世界は灯りが星より少ない。街を照らすツリーの階段を子供の頃良く登ったものだ!地下に埋没した高さ以外何もかも変わってしまった。

ねえ…聞いておくれ!血淫坊便形は蛆若丸の感傷を遮る。

観覧車の回転が上がって来たみたいだ。遠隔で誰かが速めているのか。真横の観覧車はビスが緩んで外れてきた。あのアベックの黄色い箱の接合面が分解される。墜ちた!

こんな時に限ってメール伝達だ!厄介な問題が増えるな!

闇神シンガー!探せとよ!まだ見付からない!転生歌える奴!早く探さないと被害が俺たちに及ぶかも!

見世物小屋や劇場を回ったが見つからなかったな!

見つけなきゃ俺達の誰かが実験体にされる。美の#と死の#を歌う為に声帯を作られ顎の骨格も変えられる!

転生を歌わす為に譜面はばら撒いた!美声悪声容姿は構わない。獣人人間もどき達、卑猥な歌詞を歌っても魂を揺さぶる波動を聴く人に与える者、転生は歌を超越した世界!高次元の祈りだ!…候補は限られた筈だ!田舎町を自転車で走りガソリンを飲み小便を燃やす禿爺!劇場にいたあのベニスシンガーは何処に潜れたんだ。メビリーで壁から死者を蘇らせた淫乱女は萬苔教に逃げ込んだみたいだ!みんな何故一斉に姿を消したんだろう!

…急に観覧車が縦揺れし始めた。

赤い観覧車はバラバラになり、墜落していく。

俺達の虹色は無事だけど振り落とされないようにしがみついてろ!

カレラを先に探したほうが闇神性を支配出来る。遅れたら俺達が声帯手術を受けて闇神儀式で転生を歌う!

其れで闇神が憑依すれば良いが、確率はゼロだ!俺達は近くの塵芥汚泥に吸収される。

…青や黒の観覧車が更に回転を速める。誰だ!此の厄介な能力は!下を観ると

少女が指をくるくる回していた、

あの娘か!いや、もう一人、下で松葉杖を振って睨んでいる男がいるぞ。眼を一瞬離した瞬間に二人の陰が消えていた。幻影だったのか?

眼を擦り瞬きをする、ふっ〜!


…あと、霊石だ!霊石は闇神性を増幅させるのか、破壊するのか!使ってみなければ判らないが。…植木鉢に埋めて根魔を産むとも云うぜ!歌手を見付けて霊石を揃え地中に埋めて根魔を育て転生を歌唱させる!その時に何が起こるのか!萬苔教が次元を超えると宝苔教が蘇る。過去に滅んだ人類最高の宗教、全ての宗派を超えた宝苔教!天国も地獄も無い宇宙空間!

蛆若丸は怯えた!

…回転数で眼が廻り墜落する人間が増えていく!

声帯手術か!喉切るんだろう!

肉林や星狩、鮟鱇や蟹張みんな合体したら実験室でどんな化け物ができる、闇神合成なんか人格崩壊を招くだけだ!おい!血淫坊!お前鼠に成っていくぜ、先祖返りか、金玉の小さいお前は恐怖を感じると元の姿に限りなく近づくからな!

血淫坊は皮膚をボロボロ爪で剥がすと尻尾を床に這わせ、口が尖り歯が出て体毛が増えてきた。

げろげろちゅちゅゲロチュー!?

人間の血を射ってくれ!お願いだ!

蛆若丸!袋鼠に戻りそうだ!

うぉ〜ジャンプする準備を始める。

蛆若丸は注射器を血淫坊の眼玉に突き刺す。

落ち着け!大船に乗れ!毒液を撒く自傷行為は止めろ!

檻に入れられ鼠の血を2時間置きに注入する実験室には戻さないから安心しろ!

…虹色観覧車の回転が収まり二人は漸く地上に降りた。チケット係が清掃員モリタを担架に乗せている。手遅れであった。デブのモリタ親子は首が捻曲がっていた!

辺りには骨折したファミリーが救護を待っていた!


……墜落した赤い観覧車内を漁る陰が動き回る。自前のまな板を取り出すと調理下準備をするドロタだ。肉竿をおっ勃てると壊れたドアを開け救助を待つ者を調理する、案内嬢が止めようとするがお構い無く吸チンを強要する。異様な太さにコンパニオンの唇が裂けてしまう。吸チンの最中も瀕死の恋人を助けるでもなく、腹を掻っ捌いて腸詰めにする為に捻じ切った乳房、男根等を布袋に詰めている。


………噴水広場で急激に血を失った血淫坊はベンチで水筒の血を飲んで徐々に恢復していた。

観覧車の騒ぎも落ち着いた頃、蛆若丸は広場のゲートを越え噴水の銅像を眺めていた。突然何を思い立!小便小僧のちんぼにゴムを被せる。此れで避妊小僧だと喜ぶ。次に小便小僧のちんぼと口をホースで繋ぎ咥えさせる。飲尿小僧完成!宙返りする。血淫坊に微笑みが戻ってきた、警備員がホイッスルを吹き注意するが聞こうとしない!更に噴水に飛込んで水浴びをすると水嵩が増し水流が上り始めた。渦を巻く水の輪が襲い掛かりふたりは退いた。

……此の悪戯は魚介族の仕業だな、

さっき指を回していた少女の背中が遠ざかると水流が収まった。……

いや〜この小僧はいつまでも凄いな!俺なんか手淫やり過ぎてちんぼ縮んだぞ!精子を搾り出したから金玉は軽くなったがな、

あ〜腹が減った!噴水で泳ぐイヌカキ血淫坊とマスカキ蛆若丸は干し柿喰いてぇ〜と叫ぶ!びしょ濡れだな俺達!小僧をいたぶったせいか!ついてねえ!

近くをファミリーが楽しげに通り過ぎていた。世の中の人間は家族、友人等手に入れるのに俺達は何も手に入れてない!

歯を尖らせて血淫坊はゲロゲロチュチュと笑った。何を言ってる蛆若丸!俺達は自由を手に入れてるじゃないか!

俺とお前は陰囊と陰茎の関係だ!切っても切り離せない仲だろう!

かつらを外せよ!蛆若丸!お前は頭蓋骨が溶ける病気で子供の頃からカップラーメンの容器を被り脳味噌を保護していたんだろう!たまに脳味噌風にあてないと思考が纏らないんだろう!良く考えてみろ!結婚して家族持った奴は家畜と暮らしているんだ!ぶくぶく肥った女房に飯食わせ、やりたくもないセックスをする。それが愛の成れの果て、家族の現実だよ!

……そうだな、世の中の人間は自分の利益のために他人を利用する。そんな奴等こそ友情だ、信頼だと説く!てめえが損して生きる奴なんてまぁほんの少しの莫迦だ!

俺は莫迦だ!そういう奴になりたい。……!

……ドロタは噴水で小便小僧に跨って牙を出しコンパニオンの肝を飲み込む。水流に呑み込まれた係員の長谷川が泡を吹き倒れている。恐らく長くは保たないだろう!



……獣人ドロタが公園広場で犬を焼いて食べている。便所の横で茣蓙を敷き毛皮を剥がし鞣す職人もいる。通りを行く人々は足早にコートの襟を立て家路へ急ぐ。複数の風景が交差するサテライトラウンジ、とある土産店で出目金女が足を止めフィギアの箱を見てわくわくしている。

マントを翻すのは、皇女ではない尿女花芽宮の傍ら黒い影が近づく。礼服の蛆若丸が鼻毛を掘りボソッと話す。……すみませんお嬢様クリのおまnけ見せて下さい!不吉な予感に花芽宮は無視している、

あのおまんけ見せて下さい。

しつこい変態だ!

喉が裂けんばかりの声が響く。

きゃあ〜誰か〜!

強風に声は消された。

えっ〜と、どうしましたおジョーさん!

禿頭を手拭いで磨き血淫坊があいだに入る。

花芽宮は天の助けと縋り付く。

この人が、おまんけ見せてくれとせがむの。

えっ〜!びっくり血淫坊眼を剥く!

言ってませんよと蛆若丸!

誰が貴方のおまんけなんか見たがりますか!

言いました!確かに貴方言ったでしょう!

私のおまんけ見たいって!

言いません!誰が貴方の見たいものですか!

言いました!

言いません!

だから貴方の買ったクリコのおまけ!おまんけなんかじゃ無くおまけ見せて下さい!

卑猥な問答は小一時間続いた。

花芽宮はスカートを捲ると臭いを辺りに撒き散らかし両手を掲げて叫んだ!そなたが望むならおまんけ見せても良いぞ!構わぬ!恥垢!嗅げ!


………温泉郷にはバスで着いた、其の内の古びた宿屋に隣接する大浴場に辿り着くと辺りは夕暮が迫ってきた。早速素っ裸になり、蛆若丸は温泉に浸かり身体を洗う。軽石で全身を隈なく擦っていくと透明なお湯が垢だらけだ。お〜い、番頭と呼ぶと内藤という男が金を要求する、…お客樣、垢取りは有料です。蛆若丸は垢で埋れたお湯に潜水する。…なんでも金か!

隣の女性浴場に繋がるトンネルを探す。身体を液状化する。空腹より覗きだ!どんな風景より感動する。

他人の入浴は刺戟的だ。お湯の中で無防備に屁をして泡を数える美女達が濃い陰毛を束子で洗い垢を落とす。人間なんかみな脂の塊!熱湯で煮込めばただの出汁、アクを取って、スープの素、材料だ。

邪な声に反応したのか、女湯の方から熱気が伝わる。突然湯船が渦を巻いてきたと思うと湯柱になり蛆若丸を貫こうとする。

女湯に能力者がいるな!悪気はないんだ!分かった!もう出ます!勘弁してくれ!湯船で溺死じゃサマにならん!

…脱衣所で番頭が蛆若丸の籠から何かを物色していた。

後ろから指を掴み全部折り曲げると浴槽に叩き込んだ。

湯船は沸騰したままだ!

煮えちまえ!番頭内藤は釜茹にされた

あ〜っ、スッキリしたぜ!

その時に司令が入った!

蛆若丸、血淫坊便形!満恋亭に来い!国王調理番、永吉之丞樣が料理で饗してやる!

蛆若丸は声に震え従って歩き始めた。あの声が響くと背筋が寒くなる。暫くは闇神性は考えず息抜きをしよう。二人は満恋亭に向かった!

……ドロタ風呂の中で美貌の案内嬢の首を束ねた髪で持ち上げ湯の中で洗って振回すと顔の皮を剥き肩に張り付けると眼球を抉りしゃぶる!

人面瘤、喰われた人間が消化されると瘤になり身体から生えてくる。眼球陰囊等身体の一部が人面瘤になり現れる。


……満恋亭  永 吉之丞!


 宴会場では白装束に日本刀を挿した永吉之丞が葦草の香りに陶酔して畳に頬擦りする獣人議員団に絡んでいる。…たたっ斬ってやりたい気分だ。蛇を縁取った座卓には喰い散らかした料理に蝿が集っている。…入れ替え!と叫ぶと下半身の突起と鼻を入れ替える。俺は怒っているぞ、入れ替え!と叫び、口と肛門が入れ替わる。口臭が放屁になる。元に戻れと形を戻す。お客樣達!随分残したね、俺の作ったフレンチじゃお気に召さない様だな!

皿に頭を押えつけ無理に食わす。

せっかく作ったんだ、お前は別に注文したよな、もっと喰いたいって!

なぜ残す!此の金玉議員野郎!

年に一度の社会奉仕で調理してやってんだ!有り難いと思え!

獣人議員!山岳!野育ち野郎!

永吉之丞は頗る機嫌が悪かった。きっと女にでも振られたのだろう!目玉から血を流していた。沸騰寸前だ!

なに?!やっぱり旨いか!ほっぺたが落ちるほど旨いか!

そうか!まだ落ちてないな?

永吉之丞は脇差しで議員の頬肉を削ぐと骨を出して笑った。

やっと素直になったな?

議員は頬骨から血を流して怯えている。……給食係と呼ばれたのが気に入らなかったのか?飯当番とも聞こえた。

…上座の馬頭会長が私は宇宙鉱石が欲しい。床の間に飾りたいとほざく。永吉之丞は耳を立てて近づく。そうか会長さん!飯当番が調達しよう。喉から手が出るほど欲しいのか?喉、切り裂いたるから手を出してみろ。日本刀を抜くと居合斬りをする。

会長は酔っ払っているので髪を削がれても笑っている。永吉之丞は肩を抱いた。

また会長は自慢した。私のペットは毒蜘蛛だ!目に入れても痛くない程可愛いんだ。

永吉之丞は会長のロバ耳を優しく噛んだ。お前の飼っているペット!目に入れても痛くないなら押し込んでやる。さぁ此れを喰え!

丼に何か泳いでいますが?

ゴキブリスープだ、潰してから飲むと旨いぞ。春雨と絡めてな!

ご飯ありますか!

死体に湧いた蛆を集めといた。茶碗で喰うか皿に盛るか。

涙を流し会長は回虫フルコースを頂いた。


あ〜良い料理を出すと客も喜ぶ!

永吉之丞は機嫌が治るとデザートの準備に取り掛かった。


新人歓迎会をしている奥の座卓では幹事が山羊女に乳吸わせろと胸元を開けて搾乳していた。二人羽織で改造された宴会係が目玉焼きを頭に乗せどんちゃん騒ぎする。団体客が拍手した会場で段帳があがり本物の目玉が壁に縫い付けられていた。

良い演出だ!料理も旨い!目ん玉が飛び出る程高いが希少部位だから仕方無い。出された料理に目ん玉がひっくり返る程旨いと猿顔の幹事が褒めた。永吉之丞はデザートの皿を置き頷いた。…そうだろ、そのわりに、ひっくり返ってないね!お猿さん!嘘はいけない!ひっくり返せよ!

…お猿の幹事は例えですと冷静に応えた。…永吉之丞は例えなら嘘を云うのかと絡んできた。故人が云っただと、では故人が人肉喰うと若返ると云ったらお前は喰うのか!

…そんな上げ足を取るような!

…なに!脚を揚げて欲しいのか!

フライヤーに投げ込んで唐揚げにしてやる!

…もう云いません!口に蓋をします!

……じゃあ、永吉之丞は鍋の蓋を持ってくると口に縫い付けた!

留まるところを知らない知らない彼の蛮行は続いた。中央の座卓で愉快に飲んでいた4、5人の輪に紛れ込むと注文をとった。ふと、足許を見ると便が落ちている。糞が歩いて来たか!星狩が来ていたのか!よく見ると老人が粗々をしていた、おい!脱腸野郎!イボジモン、お前は何が喰いたいのだ。なに!肉蕎麦!煮た糞の蕎麦か、永吉之丞は畳の糞を箸で摘み座卓に乗せた。違う!うん衣の天麩羅か、ゲロのかき揚げか!お前の腹の脂絞り出して目玉刳貫いて焼いてやる。

お前にはちんぼの唐揚げが御馳走か!ズボン下ろせ!引っこ抜いて揚げてやる!

なに!魚が喰いたい、ひん剥いて肛門に喰わせてやる、味噌仕立てだ!

まだ!食い足りないか!金玉の垢擦ってふりかけにして飯にかけるか!

その次はなんだ!当ててみろ!

イボジモンは機転を利かせて、大将の減らず口を3枚におろして下さいと金切り声で叫んだ!

大将の胃袋、腸詰め、鶏人は嘴を尖らせ変貌し始めた。

…おまえ!鶏人だったのか!

丸焼きだ!イボジモンは厨房の焼き場に連れて行かれた。


ドロタ……

食人鬼で人の皮を剥ぎ微妙に違う肌の陰影で作品を作るパッチワーク!剥いだ人の顔を身体に貼り模様にする。



……黄色いトラックが出た荷捌き場ではダンボール箱の隙間を喰い破った鼠が走り回っている。

隣接する塵芥処理室では二つの動く陰が重なっていた。鮟鱇が以前から眼をつけていたハンサム気取りの顎の出たごみ男に襲い掛かる気配。歯を剥き粘液質の涎を垂らす。男の耳元に卑猥な囁きを投げる。血、チンボコを寄こせ、病気で爛れた垢だらけのヴァギナを崩れたバナナの箱に押し付け、蜘蛛の巣で円を描くと雁字搦めにする。…バニラが欲しいのか?クワックワッ〜けたたましい笑い声と共に割烹着を捲り上げ、陰部から数百匹の蚯蚓を這わせる。

…此のガチャ眼チンピラ、ぐっぐにゃちんしゃぶって欲しいのか!

ちんぼこがかまぼこ喰いたいだと!

脚韻でぬかすな!お美しいあたしに婆さんとはなんだ!垢だらけのおまんこ舐めさせてやる!舌でぺろぺろしろ!陰核掃除大臣。センズリ野郎べたべたザーメン濃い濃い濃いの出せ!馬乗りになると抱きついて喚いている、おい目玉抉り貫いたる三つ編みにした陰毛にリボンを結び鮟鱇はガチャ眼に頬擦りをした。

…なぁ、顔にかけたいんだろう!チンピラ野郎!

なんと入れ歯を外し男根に挟んでいる。勃起して溜まっているンダロ!

オガワちゃん!飲んで欲しいんだろ!金玉潰してやる!ちんぽ捻って袋の中の精液カラカラになる迄絞り出してやる。尻の穴舐めろ!腹一杯糞喰わせてやる、おかわり下さいと懇願しろ!あたしは美しい!美女だ!歯の無い婆さんではない!罰として鋸で首切り落として裂いた腹に詰めるぞ!このゴミ野郎!オ〜ガ〜ワ〜!腹裂いて内蔵でターバン作り穴の空いた腹の隙間に両手、両足切断して突っ込み、じゃんけんぽん、ありがたや~ありがたや~!

糞理狂人リクルウトおがわは鮟鱇婆に捌かれ人間生花にされた!

……ふと見ると腹の中に人形が一対潜んでいた。なんだこの人形は、頭蓋骨を割ると脳味噌を人形に載せる!新しい生き物に産まれ変わりな!鮟鱇の邪念から人形はピクピクと動き床に降りると歩き出した。性体傀儡は何かを探しているようだ!

鮟鱇は腹の中の沼に性体傀儡を沈めると安堵して暫く目を閉じた。


…花輪配達に来た少年が扉を開け立ち竦んでいた、音に目醒めた鮟鱇は少年を指で招く。

おっ遅かったな!?歯の無い鮟鱇は調理台に横たわるオガワに花を咥えさせ少年に剣山を渡した。

此れで顔面を叩きな!人間華道教室実演だ!……何を思ったのか!突然乳を搾り空いた口に滴らせた。

…満員電車で屁をする美女はあたしだよ!肛門に縦笛を挿して膣にフルート、鼓笛隊を奏でて乳房を振って腹太鼓!屁でドレミの歌!

…キャンプで空のガスボンベに充填する。和歌山で鹿に場所を訊かれ屁をする!お〜なら!板でもブロックでも無いあたしが立てるのは塀!珈琲頼む時に放屁〜!へこたれなくても屁はこける!

少年は調理台を見て逃げ出せなくて困窮した、咄嗟に褒め言葉をうわずり連発した。…叔母さんのジョークは最高です。手を離してください。

鮟鱇は千切れる程強く手を引くと、階段まで引きずり、そのまま特設会場のある公園まで連れて行った。

…こんな所まで、何の為ですか!

恐怖を押し殺し少年は尋ねた!

放してください!少年は絶叫した。

放さないと逆さ吊りにして捌くぞ!此の歯茎剥き出しの鮟鱇女!

鮟鱇は公園内を花々で飾り付けしている。引き摺られた少年は必死に抵抗するが、腕力が異常にある鮟鱇は傷だらけの少年を尚も甚振る。

…いけない子だね!やはり血は争えないか!あんたの親父と一緒だね!

ジャングルジムに括りつけると、ひと息つく。桜の花びらが風に舞い少年の顔に張り付く。

…あのこけしって奴は助平な男でね!カラオケデュエットの時にパンティに手を入れてくるんだ。

あたしの束子が気持ちいいって竿の垢を擦っていたよ!

また、弟子のエロ好きな浦英雄は露出狂だよ!暇さえあればあたしに見せるんだ!糞弟子のタテって野郎はキャンプ好きでね!名の通りいつもテント張ってる、ズボンが染みだらけで臭うんだ、コケシ軍団ってのは変態集団だよ!

う〜りゃ〜!…蜘蛛の巣生花〜!

タテはクモノスで包んでやった。そしてセイカザシ!鼻の穴から身体中飾ってやった!あの日、此処で遊んでいた子供達もママ達も藤棚の藤みたいに吊る下がった。下がったのは美しい姉様や子供達、生肉鍋にして公園の浮浪者や獣人が宴会開いていた。展示会は大好評!観客は鳥や鼠、思い出すたび嬉しいのでまた此処に来たのさ!

…少年は報道された惨劇を振り返った。…食べさせたのか!あの近所の人を!

鮟鱇は舌舐めずりした。

…美味しかったよ!次はあんちゃんだ!10年振りの展示会!後から展示品も増やすからね!

腹を裂き内蔵を首周りに巻いて空洞に剣山をさしてモチーフを飾り、眼孔を菫で彩り、鼻の穴に薔薇、後はあ〜っ〜!アイデアが尽きない。

 失神した少年を抱きかかえ、開脚全裸にすると、今度は鞦韆に縛り付け鮟鱇は宴会場に向う道を駆け足で汗を飛ばした。

……大間に産まれたのに、皆、鮪、鮪と持て囃し、あたしは虐げられて来た。大統領の須賀も鮪の赤身よりトロの方が旨いなんて奴だから、スカトロで糞食わせてやった。

雲丹がモリで破られエサ処分される様に魚介族は積年の恨みで生きて来た。雲丹はある意味毬栗と似ている。中身が腐っていたり、取れすぎると厄介者だ!宴会場入口ドアのノブに局部を押しあて鮟鱇は満恋亭と叫んだ!



 蛆若丸、血淫坊は迷路を抜けやっと辿り着いた満恋亭で鼻をつまんだ。涙を流して笑い転げた、…なんだ此の腐ったような臭いは!鮟鱇が毛むくじゃらなアソコを拡げて悪臭が室内に充満している。頭のおかしい女は沢山見てきたがあいつは別格だ!男に喰われた事が無い女を聖女で呼ぶならあいつは快楽サディストの悪女だ!腹の中に沼があり得体の知れない生物を飼育して解き放つ。

近づかない様に遠廻りで行こう!


 血淫坊は退散すると厨房に立ち寄り嘔吐物の用意をする。蛆若丸も材料をかき混ぜ捏ね合せる、ゲロモンジャの準備をする!暫らくすると少し怒った顔で現われた永吉之丞と遭遇する。…すみません、迷路で迷ったのと、悪臭で立ち竦んでいたので遅れました。まだ獣人達に提供する料理はありますか?!

血淫坊の髭を撫で永吉之丞は残りの輩は好きな献立で賄えば良いと不機嫌に告げた、

…俺は悪臭の素を監禁してくる。

 血淫坊はモンジャの材料を塵取りで集める。調理場と便所が一緒のようだ、うんこにパン粉まぶして、ハンバーグでもあと一品作るか!

宴会場では視察団が料理を待っていた。血淫坊、蛆若丸は店長、支配人に化けると個室ブースでコンパニオンの股に顔を埋め御満悦な狒狒の尻を優しく摩る。

…冷凍庫に鮟鱇を凍らせた。永吉之丞が腕の擦り傷を庇い戻ってきた。鼻が曲がっていたので、かなり手こずった様だ!

 蛆若丸は横を見てぼそぼそと語った。…此処に来る前の見習いで宇舞中華〜真随定食〜珍忘軒の話だ!

お玉を振り調理して独り言を云う!

厨房で金玉が痒いので掻いたら垢がごそっと出る。注文が殺到して慌てて排骨麺に入れたら客が大声をあげた。おい!排骨麺が旨いぞ!俺はお替りを要求され驚いた。すると今度は尻の穴が痒くて掻いたら糞がこびりついてきた。次の茶碗蒸しに混ぜたら口コミで旨い店に登録された。鼠の尻尾は牛蒡に見え、猫の内臓は腸詰め、写真に撮ったら臭いは分らない、視覚だけで評判が上がる!みんな莫迦なんだ!麺の下に糞があろうが、蝿が死んでいようがカモフラージュされれば名店だ!

珍忘軒の特別メニュー!真面目に作るか!よーいどん!はっけよい!残すな残すな!さあ位置についてワン・トゥ・ワンスタート!フィニッシュ!発車オーライ!

別の席では永吉之丞が饗していた!

オンナクレと叫んだナイチン茂!次は此れを喰え!得体の知れない黒い塊が出てきた。

なんですか!とナイチン茂はたずねた!…野鼠だが、フライにして香ばしいぞ!

茂は丁寧に辞退した!

…仕方無いな!お土産にしてやる!

お土産の数が増えると最後は此れだと!生暖かい皿が出てきた!

なんですか!此れは!

首吊ったばかりの女だ!

お前女食い足りないって言ったよな!ナイチン茂さん!

お前の願い叶えてやる!

残り物で悪いがお前の好物だろう!

ゆっくり味わってくれ!

なんだ、そんなに嬉しいか!涙なんか流して!遠慮するな、みんなお前のだ!足り無かったらまた、死体置場から調達してくる、ナイチン茂は命をかけて食事を続けた、

御相伴に預かります。眼から鱗が落ちるほど美味しいです。

…なに、眼の中に魚でも飼っているのか!見せてみろ!

…今度は眼玉を抉るのですか勘弁して下さい。

今夜のイベント!ナイチン茂の丸焼きだ!繩に繫がれたナイチン茂に永吉之丞は腰に差した数十本の小刀を投げる。隣で抑えている、血淫坊、蛆若丸は命懸けだ!

時たま腕をかすり小刀が壁の視察団にあたる。安心しろ!お前等にはあてないと言いつつ血淫坊は脇腹を掠られ血がたれている。とうとう二人はナイチン茂を盾に永吉之丞に近づくと調理台に乗せはらわたを抉り出していた。あとは焼くだけです!

小刀は仕舞って下さい!口と肛門に鉄串を挿されナイチン茂はコンロでタレをつけ回されていた。臓器別栄養表でカロリー過多!此のナイチン茂は廃棄処分だ!なんとコレラに罹った奴だった!


……ドロタは宴会場で食人鬼に変貌すると泡を流して鍋で煮込んだ人間を喰らう!女体を載せたまな板に永吉之丞は解体を手伝う!蛆若丸は脳味噌の蓋を閉める、血淫坊は茫然と眺め水筒の血を飲んで袋鼠化を止める。

夜通し獣人歓迎会は続いて行った。



          

           続く!

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闇神性児 第五部 水瓶 @0865hame56

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