番外編 もう一つの約束

 「いやー、よかったねぇ」

天音が図書室の整理をしながら言う。

「まさか湊が想くんの中にいたとは! 僕も、これから会い放題って感じ?」

浮かれ気味の天音に、ヴァイオレットは

「……あなたも、湊・想、湊・想、なのね」

「ふぇ?」

頬を膨らませて言うヴァイオレットに、天音は情けない声を出す。

「ずっと……待っているんだけどね、私は」

いつもの大人びたヴァイオレットとは異なり、少女のような、甘えた声で呟く。

「ヴァ、ヴァイオレットさん? それって……」

「あなたがその気にならないのなら、私から、言っても良いのよ?」

「言わせていただきます!!」

天音は持っていた本を全て机に置くと、身なりを整え、ヴァイオレットの瞳を見つめた。


「好きです、ずっと前から。よろしければ、僕と付き合ってください」


緊張気味の天音に、ヴァイオレットはくすりと笑う。


「えぇ、もちろんよ」


 図書室には、花の飛ぶような、甘々の空気が漂っていた。

 その様子を、想とアズールは見届け、互いに笑い合う。二人は、イタズラの成功した子どものように、サッと図書室を後にすると、廊下を駆け抜けていった。

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何度だって愛に生く 葉月 陸公 @hazuki_riku

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