番外編 もう一つの約束
「いやー、よかったねぇ」
天音が図書室の整理をしながら言う。
「まさか湊が想くんの中にいたとは! 僕も、これから会い放題って感じ?」
浮かれ気味の天音に、ヴァイオレットは
「……あなたも、湊・想、湊・想、なのね」
「ふぇ?」
頬を膨らませて言うヴァイオレットに、天音は情けない声を出す。
「ずっと……待っているんだけどね、私は」
いつもの大人びたヴァイオレットとは異なり、少女のような、甘えた声で呟く。
「ヴァ、ヴァイオレットさん? それって……」
「あなたがその気にならないのなら、私から、言っても良いのよ?」
「言わせていただきます!!」
天音は持っていた本を全て机に置くと、身なりを整え、ヴァイオレットの瞳を見つめた。
「好きです、ずっと前から。よろしければ、僕と付き合ってください」
緊張気味の天音に、ヴァイオレットはくすりと笑う。
「えぇ、もちろんよ」
図書室には、花の飛ぶような、甘々の空気が漂っていた。
その様子を、想とアズールは見届け、互いに笑い合う。二人は、イタズラの成功した子どものように、サッと図書室を後にすると、廊下を駆け抜けていった。
何度だって愛に生く 葉月 陸公 @hazuki_riku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます