拝金主義は尊い

悪徳の限りを尽くし、勇者によって粛清された大司教アドライト。
彼は逆行転生し勇者を返り討ちにすべく動き始める。


・・・という大筋のネタでコメディとして読み始めたものの、次第にアレレ?と感じ始めさせる彼の人となり。

行動を省みるとかではなく、全身全霊をもってさらなる高みを目指す彼は、まさしく拝金主義の狂信者と化していく。

贅沢を尽くすことが目的な人生かと思いきや、金を稼ぎそれを使う事の尊さに信仰の全てを捧げ、金を馬鹿にするあらゆる存在は勇者だろうが聖職者だろうが老若男女問わず許さない一貫性に、作者の意図を感じるのであった。

まだ序盤であるため萌芽でしかないが、天使や先代勇者も認める彼が拝金主義を世界に推し進める姿は、確かに金の亡者ではなく金の聖者に見えてくる。

まとめると、清貧に反抗し経済活動の尊さを主張する聖職者という特異なキャラ造形は、注目に値する作品ではないかと考える。

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