第六章 君は邪神という名の希望に微笑む3

 夢を見た。夜の海に落ちる夢を。

 苦しいのに、気持ちいい。怖いのが、心地いい。……このままがいいな。


「ふぅ……」

「起きたか。今度は長かったな、もう朝だぞ」

「トビさん」


 起きると、横にはトビさんが居た。どうやら、添い寝をしてくれていたらしい。……手にゲーム機持ってるけど。


「心配するな。何もしていない」

「してませんよ。そんな心配……」


 少しの沈黙が流れる。……なんとなく、抱きしめてみる。


「いい匂い」

「そうか」


 自分の胸の中には、まだ罪悪感が在る。けど、少し長く寝れた。もう、薄れかけているのも。あんなに忘れられないって思ったのに。あんなに後悔したっていうのに。


「疲れたか?」

「……」

「フフ。全く、お前ときたら……」


 トビさんの身体に顔をうずめる。


「……全く疲れてない」

「……ケダモノめ」

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旧世界の支配者は『百合ハーレム』を様子見する。 @akinaka-0815

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