友達との再会

「るーらぁ!あさだよぉ!」

なんのことかと思い目を開けると、元気になってハグしている僕を起こそうと背中を叩いていた。

「おはよぉ。」

「全然起きないじゃん!もう10分くらいずっとこうやってしてたんだよ!?」

「んえ?ごめんなぁ。」

カルラに起こされいつも通り支度をする。今日は朝ごはんをカルラが作ってくれるらしく、

「ジャーン。ベーコンとスクランブルエッグとごはーん。」

「名前ないんかいな笑。」

「これに名前もクソもなくない?笑」

そんなたわいもない会話をしてから今日も家を出て行った。

学校に着くと僕は職員室に向かった。昨日言っていたカルラが学校に転入できるかどうかを聞くためである。

職員室について担任の先生の机に向かった。

「先生。少しお話があるのですが良いですか?」

「どうした?」

「この学校の高二に1人転入という形で入学すると言うのはできないでしょうか。」

「転入?上と聞いてみないとわからないが、おそらく入試に受かれば大丈夫だったはずだぞ。」

「だった。というのは?」

「いや、最近そう言う話で1人この学校に転入してきた生徒がいてね。」

「ほぉ。」

「話によると女性天使だって言うんだ。」

カルラと同じだ。

「なんで天使というなんとも妄想世界でしかない生き物がここに?」

「そんなん俺に聞くな。俺自身もわからないんだよ。でもとても美しかった。ほら。噂をすれば。」

そう言って先生は職員室入り口の方向を指差す。そこにはカルラによく似たボブの白い女の子を指差す。

「相変わらず綺麗だよなぁ。あれで普通にテストで8割とるんだもんなぁ。すごいよなぁ。」

僕はその女の子の元にすぐに駆け寄った。その子は別の女子と一緒に歩いていた。

「あ、あのっ!」

「ひゃぁっ!」

彼女は僕のいきなりの言動に少しびっくりしてしまった。

「て、天使さん、ですよね!」

「まずあんたは誰なの?」

「戸越瑠良って言います。3-2の。」

「は、はぁ…。」

「あの、リンカさんですよね?」

「な、なんで私の名前をっ!」

「カルラさんはご存知ですか?」

「なんで私の友達の名前まで知ってるの?怖いんだけど。」

「今、カルラさんは私の家にいます。」

「は!?あんたカルラに何したの!?」

「じ、状況はあとで説明するんで!放課後校門で待っててください!」

「わ、わかった。すぐきてよね。」

そういうとリンカは少し早歩きで焦った表情で戻って行った。


放課後校門で待っていると焦った顔でリンカが走って向かってきた。

「どう言うことなの!?なんであなたはカルラの存在を知ってるの?」
「それは…ー。」

僕は今までどのような経緯でカルラと出会い、今カルラをどのようにしているかを全て話した。すると彼女は安心した様子を見せ、

「よかっっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!カルラ私と一緒に急に雲から地上に落ちてきて逸れちゃったからどこにいるかと思ったぁ!」
と安堵の声を上げた後、
「ありがとう瑠良。さっきは疑ってごめん。カルラ、男子苦手だからさ。」

「そうなんですか?」

「うん。カルラ天使界でも有名な美女高校生だから男性天使人気はすごいんだけど、元々あんまり男性と話すのが好きじゃなくて男性天使でも滅多に話せる人はいないの。多分指で数えるくらいしかいないはず。」

「そ、そうなんですね。」

「しかもカルラあんたに大好きって言ったの?」

「はい。確かに僕は耳にしました。というか、昨日今日とハグして寝てますし。」

「カルラとハグ!?私限定だったのに!?」

「そ、そうなんですか!?」

「そう!カルラ唯一の親友である私とでしかハグして寝なかったのに!おかげで私は夜カルラと同じ時間に寝なきゃいけなくてスケジュール組むの大変だったんだから!」

「そうだったんですね…。」

「多分君は私以上にカルラから信用されてるよ。」

「確かに、熱の時も体拭いてあげたし。」

「そうだね。私ですら断固として見せてくれなかった裸体を観れてるってことは相当だね。」

「そうですか。」

「カルラを幸せにして。多分カルラの将来の旦那さんになるはずだよ。」

「そ、そんな!私いい人じゃ…。」

「君、カルラのタイプにそっくりなの。」

「え?」

「性格良くて、程よく男子感があって、でも女子のことよくわかってて、ちょっと好奇心があるけどしっかりモラルをもってる人。」

「僕はそれに当てはまってるでしょうか…。」
「しっかり入ってるよ。ちょっとの好奇心で美女天使を家に招いてそこにすませて、でも寝取るような下手な真似はせず、女の子がして欲しいであろうことをしっかり読んでやっている。」

「は、はぁ。」

「今日って今からもう下校だよね?」

「そうですけど。」

「私家に一緒に行ってもいい?カルラに会いたいの。」

そう言われて僕はリンカの言うように彼女を僕の住むマンションに招いた。


玄関を開けるとカルラが真っ先に僕の元に来て

「おかえり瑠良ぁ!」

と僕を抱きしめた。するとその後ろからリンカが

「かるらぁあぁぁあぁぁ!!!!」

とカルラに抱きついた。

「リンカ!?なんでここにいるの!?」

「あいにきたんだよぉぉぉぉ!」

「ありがとぉぉぉぉ!よかったぁ!どこにいったかとおもったよぉぉぉ!」

カルラは僕を抱きしめた腕をすぐリンカのもとに移動しギュッと抱きしめた。

「どこでリンカと会ったの?」

「学校だよ。先生とカルラを学校に入れるにはどうしたらいいかみたいな話してたらリンカさんが職員室に入ってきたんだ。」

「そっか。よくリンカって分かったね。」

「昨日カルラが友だちの話してた時のリンカの特徴が非常に似てたしそもそも天使がこんなとこにいるのが少ないし。」

「そりゃそっか笑。」

「それで今日先生が聞いてくれるっぽい雰囲気だったから、多分近々カルラも学校に行けると思うよ。」

「ほんと!?やったぁ!」

「ねぇねぇカルラ、なんでこの人を信用したの?あんなに男子嫌いだったのに。」

「瑠良はなんか大丈夫な気がしたの。」

「カルラの勘?」

「そ。」

「まぁカルラの勘割と当たるし良いかなぁ。」

「瑠良優しいよ?前に私が風邪引いた時にお粥作って出してくれたし、私が1人が寂しいのを気にして自分の部屋でYouTube見ながらご飯食べてたし。私あれすごく嬉しかったんだぁ。瑠良がいなくなるとやっぱり寂しいからさ。」

「そかそか。良い彼氏と出会ったじゃない。」

「うん!」

ん?僕はいつの間にか彼氏にされてる?

「え、ちょ、僕まだ告白してない…。」

「私じゃだめなの?」

「い、いや、そんなことないし、むしろ好きではあるんだけど…こんな軽々しくて良いの?」

「いいの。そんなことしてる暇あったら少しでも抱きついてたいもん!」

そう言いリンカの方にあった腕をもう一度僕の腰に回し、

「大好きだよぉ〜るらぁ〜。」

「ありがとう。」

「ラブラブだねぇ。瑠良、カルラ絶対に幸せにしてよ?絶対だからね?」

「わかったよ。」

「私そろそろ帰らなきゃ。」

「1人で帰れそう?もう割と遅い時間だし、あれだったら送ってくよ?」

「カルラも少しくらい待てるよね?」

「うん。さっき少し瑠良補充したから大丈夫。」

「じゃあ…お言葉に甘えて…。」

そうして僕はリンカを彼女の家まで送ることにした。

「リンカさんはカルラとどうやって知り合ったんですか?」

「私が最初にカルラと出会ったのは中学の頃です…ー。」


「うわぁ、ここが才媛女学園付属中学校かぁ。綺麗だなぁ…。」

そう言いながら私は校門の前でただ立ち尽くしていた。新しい学校、初めての制服、ランドセルの卒業、自分にとっては新しいことばっかだった。

教室に行くとそこにはありとあらゆる教科書が積まれた机がたくさんあり、いくつかの机にはもうすでに生徒が座っている様子だった。

「私もこの教室で中学生デビューかぁ。彼氏できるかなぁ…とか思っちゃったりして。」

というのも自分が整った顔と綺麗なスタイルということは周りから言われ続けていたため少し自信があった。

すると前の扉からとても顔とスタイルが整った綺麗な女の子天使が入ってきた。私よりもずっと綺麗と確信できるようなふわふわとした羽に綺麗な白い髪がなんとも美しくどこか可愛らしかった。自分と比べた時の自信を持っていた自分に対する恥ずかしさと無力さに思わず声が出てしまった。

「やば…。綺麗…。」

するとその子は私の後ろの席に座った。私は思い切って声をかけてみることにした。

「あ、あのっ!」

「どうしたの?」

「わ、私っ、り、リンカって、言うの。よ、よかったら、お友達になってくれない、かな…?」

「いいよ!私はカルラっていうの。これからも仲良くしよ!」

「ありがとう!これから仲良くしようね!」

「うん!」

そこから彼女と友達として遊ぶようになった。

それからしばらくしたあと、一年生も後半に差し掛かった時、カルラがいじめにあった。

最初にそれに気づいたのは私が初めてカルラと一緒に帰った時だった。途中の分かれ道で

「私はちょっと用事あるからこっち、行くね…。」

となんか気まずそうな頑張って笑顔を作っているようなそんな感じだった。うんとは言いつつも彼女のその真相を知りたい私はあえて彼女と距離を保った上で彼女を尾行した。すると、数人の女の子が集まっていて

「よく来てくれたじゃないの。じゃあ土下座して言いなさい。こんな綺麗でごめんなさい。あなたの奴隷になりますって。」

私がこれはまずいと思った頃には私はもういじめ対象の女の子を全員殴っていた。

「り、リンカ…?」

カルラは目の上に今にも溢れそうなくらいに涙を浮かべ、鼻声で話しかけてきた。

「なんで、教えてくれなかったの?こんなことになってるって。」

「だって、迷惑かけたくなかったんだもん…。」

「何かあった時に助けてくれるのが友達じゃないの?」

「…え?」

「互いに支え合っていくからこそ長続きするんじゃないの?」

「そう、なのかな…。私あんまり友達できたことないから…。」

「じゃあこうする。カルラはこれからカルラがしっかりした天使になるまで私から離れないこと。そしてその間は私がカルラを絶対に守ってあげる。」

「ほんと…に?」

「うん。私にとってカルラは私の親友だもの。」

あとあとの話だと他の女の子天使が彼女の美貌に羨ましさよりも嫉妬心が勝ち、それがいじめに発展したという。


「まぁ、私の彼女との出会いは簡単に言うとこんな感じかな。私が彼女を守ろうとしてるのもそういうこと。」

「そうですか…。だからあの時にカルラが別のしかも男と一緒にいることに関してとても焦った様子だったんですね。」

「そりゃそうよ。自分が守ると誓った唯一の親友が危険に晒されそうになってたら誰もが助けようと思うじゃん。」

「確かに…。」



「もう一度言うようだけど、カルラを絶対に幸せにしてね。私の長年の誓いもかかってんだから。」

「わかりました。幸せにします。」

そうこうしているうちに彼女の家に着いた。「帰り道わかるの?」

「まぁここがどこかと言うのはなんとなくわかるので、それを頼りに帰ります。彼女が寂しがると良くないので、なるべく早く。」

「そう。じゃあありがと。送ってくれて。」

「いえいえ。」

そう言うと彼女は家に入って行った。

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美女天使の話 @skybeasn213

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