今思えば

 いろんな転機が重なっていたような気がする。


 1月に性病(性器ヘルペス)にかかった。理由は分かり切っていて、年始の仕事クソ忙しい時に睡眠時間もろくに取れず疲れが溜まった状態で酒を入れセックスしたからである。(もともとウイルス持っていてたまたまそのタイミングで症状が出ただけかもしれんけど)幸い行きつけの婦人科で薬をもらえてすぐに治ったんだけど、さすがにいかんやろとしばらくセフレたちと会うのを控えるようになって、そのときにふと思った。なんか前とあんまり変わってなくない?と。せっかく好きな気持ちを持っていいんだ、女らしさ出していいんだと分かったのに、やっぱりどうしてもブレーキをかけてしまう自分に気が付いた。ただのセフレだから、向こうにそんな気持ちはないから、迷惑だから、といろんな理由をつけて、だから好きになっちゃいけないと必死に思い込もうとした。あれ?また同じことしてんじゃんあたし。


 そこでもう一回自分と向き合おうと決意。どうして自分の価値を下げたいのか、どうして好きな気持ちを隠したいのか。ノートにいろんな気持ちを書きなぐり、10日くらいかけてインナーチャイルドセラピーもした。そこまでしてようやく、心の底から自分のことを大好きと言えるようになって、カウンセリングで聞いた話も本心から理解できるようになった。


 上記のことが私の内面で起きた変化だとしたら、それと並行して対人関係においても転機が訪れた。というのは、この頃セフレたちとなんだかタイミング合わない日が続いていたからだ。年始の地震やヘルペスもそうだし、生理だとか熱出してダウンしてるだとかで、お断りする(あるいはされる)ことがこの月だけやたら多かった。その中をすり抜けてきたのが後に彼氏となる人だったわけで。

 運命という言葉はあまり好きではないのだが、そういった因縁めいたものを感じずにはいられなかった。



 一方で好意を受け取り損ねてしまった、という気も今更ながらしている。特にK氏。あたしは出会ってすぐ~3か月くらいまでは好きな気持ちがあって、でもそのくらい経つと連絡の頻度が減ってあたしに飽きてきたんかなとか思うようになって好きでいるのやめよ、と決心して恋心を捨てた。それ以降はちゃんと友達として接することができて、精神的にも安定していたと思う。あたしを蔑ろにしたりしなかったし、セックス以外の時間も取ってくれていた。けど内心、それでも彼女にはしてくれんのやなあという気持ちもあった。付き合いたいわけじゃないけど、なあなあにしておける関係性なんだなと。年末に会う約束もしていた(会えなかったけど)、熱出たら買い物して様子見に来てくれた、映画も一緒に見に行った、けどそれってどういう仲なん?あたしはそれが好意由来だと信じられなかった。100%が体目的ではないにせよ、その割合が多いものだと思っていた。そう思い込むことは間違っていないし自分がこれ以上傷つかないようにする防衛策だったから否定はしない。でももしかしたら違う未来があったのかもしれない、と1ミリくらい思うことは許してほしい。


 推しに対しては、そういう言葉を使うことであえて距離を取っていたんだと思う。そんなそんなあたしなんかが…と自分を卑下し相手を持ち上げて対等ではないと言い聞かせる。自分の好きな気持ちを推しだとごまかして持ち続ける言い訳にしていたのかもしれない。この人と付き合ったら…と考えることもゼロではなかったが、自分では釣り合いが取れないなという気持ちの方が強かった。だから必要以上に距離を詰めない感じがよかったし、フレンドというスタンスを崩さずにいてくれてありがたかった。あたしも勘違いしないで済んだし。ほんとは手放しで好きになりたかったのかなあ?と思わんでもないが先回りして諦めていたような気もする。



 とまあそんなことを今更うだうだ言ったところでどうにもならないし、この道を選んだことに何も後悔はしていない。なるべくしてなったとも思っている。

 自分に価値はないという思い込みを解き、誰とでもセックスするのをやめた。自分を多少は大事にしてくれそうな人にだけ自分を明け渡そうと思った。

 自分は人に好意を向けてはいけないという誤解を解き、あたしなんかが好きになっても迷惑、と思うのをやめた。好きと言う気持ちにブレーキをかけず、言葉にはしなくても表情や雰囲気で伝えることができた。その結果、あたしの好意を受け止めて好意を返してくれる人に出会えた。本当に僥倖だ。

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肥溜めへとダイブ 雑草 @cicek_17

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