第5話

〜3年後 南地区〜


「もうだめでーちゅ!るかのかちでちた!」

「あぁ、また負けちまった。ルカは強いねェ」

「おじちゃあよわい!きゃははっ!」

ドミーの家でドミーの長男ルカことルカルニーと遊ぶトナがいた。二人で簡単なボードゲームをしている。

「何してんだよおオジサン。ルカにまた負けたのかよお。キャハハッ」

からかうのはドミーの弟、高校生のクオスことクオストヤである。

「おいおい、あんまりトナ兄をいじめるなよー?意外と根に持つからさ」

「そんなことないぜ?くくくっ」

玄関が開く音。ルカがぱたぱたと駆けて行く。

「かあちゃあかえるちまちた!」

「ケイト、おかえり。トナ兄が来てるぜー」

「アントナさん。久しぶりね」

「ケイトサンは最近ますます有名になっちまったね。ドミーもだが」

「そうかしら?ありがと」

「ケイト、俺の新しいCDが……あれっ」

「オリコン一位ですってね。すごいわね」

「俺も歌が上手くなったってことだなー」

「そんなことないわよ」

「えっ」

「きゃははっ!とおちゃあ!おうたへたでーちゅ!」

「る、ルカ……」

「変わらないわよ。ずっと」

初めて歌声を聞いたときから、彼の歌は変わらない。爽やかな歌声に、真っ直ぐな想いを乗せて明るい未来を切り開く。そんな歌だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛の歌を君に! まこちー @makoz0210

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る