第17話 おまけのSS

「きゃああああ」


 辺境の城、の、厨房で悲鳴がこだました。


「無理無理無理、無理よ。なんで丸ごと持ってくるの? 鹿一頭とか貰っても、わたくしには手も足も出せないから!!」


「む、この間の菓子の礼にと思ったが……。丸ごとが良いだろう? 皮は売れるし、肉は食べられる。秋の雌鹿だから柔らかくてあぶらものっているぞ」


「処理してから持ってきてよぉぉぉ」


「なら村人を呼べばよい。処理を任せて肉の一部を貰えば、互いに助かるだろう」


「──! なるほど、良い考えね? マリア……はお使い中だし、アニタも出てるんだっけ。ちょっとディエゴ、村で人を呼んで来てよ。鹿肉パーティーするわよ」


「鹿肉パーティー? 素晴らしいですね、王女様!」

「でしょう? さばいてくれたら、肉でも何でも好きに持って行っていいと伝えて」

「おっほ。いつもながら気前の良い。皆喜びます! すぐ呼びましょう。処理は早いほうが臭みが出ない」


「アルトゥロ、あなたも食べていくでしょう……? あら、いないわ」

「山の狩人、いつもすぐ帰りますね?」


「そうね。わたくしの焼くクッキーの香りにつられて来たのかと思ったのだけど」

「あはは、まさか! いくら王女様のお菓子が美味しくても、山まで香りは届きませんよ」


「それがねぇ、来るのよ……。って、ああああ、目を離したら焼き加減が!」

「わああ、王女様、焦げてますよ、炭ですっっ」

「貴重な材料を無駄には出来ないわ!! すぐに窯から取り出すのよ!!」

「えっ、俺が?」

「そうよ、手伝いなさい!」

「いや、鹿と村への連絡は」

「いやぁああああ、クッキーぃぃぃ」

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ブサイク令嬢は、眼鏡を外せば国一番の美女でして。 みこと。 @miraca

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