カタリナその後

第16話 伝承詩「氷砂糖の王女様」

氷砂糖の王女様


昔むかし 都から

ひとりの王女がやってきた


ワガママ放題 好き放題

いろんな悪さをやりつくし

とうとう都を追い出され


氷の山の麓へと

哀れに送られ嘆く日々


村人たちは遠巻きに

怖い王女を罵った


けれどもある日 村の子が

山に迷って大騒ぎ


吹雪の激しい寒い日で

助かることなく消えるだろう


雪のように儚く溶ける

そんな命はよくあること

寒い国ではよくあること


大人たちは「ああまたか」

あきら嘆息たんそく そんな中


王女が子どもを助け出す

マントでくるんで両腕で

かかえてだん与え

子どもの命つなぎとめ 村人たちは驚いた


それから王女は土地のため

不思議な植物大地に撒いて

芽吹いた緑 いと甘く

村に砂糖がやってきた


氷砂糖の王女様


氷のように純粋で

砂糖のように優しくて


王女様にあやかって

純度の高いお砂糖を

煮詰めて出来た 氷砂糖


ゆっくり長く溶ける結晶あめ

いついつまでも食べれる栄養たから


村が困った時だって

ずっと命をつないでいった


氷砂糖の王女様


いつしか山の神様と

結び結ばれ恋叶え


村に生まれたおまじない


願いをかけた 氷砂糖

お口の中にそっと入れ

愛する人と口づけを

交わすと永遠とわに幸せに


氷砂糖の王女様

春を呼び込む女神様

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