最終話 俺たちの戦いは
「おめでとうございます。感動しました」
「ひろ○き……!」
どことなく笑い声が混ざって聞こえるその声に、俺は警戒のまなざしを向ける。
「まさかもう1台あるとか言わないよな?」
「いえいえ、トロッコ問題はこれで終わりです。その解答が圧倒的な力でトロッコを捩じ伏せるとは、やはり暴力はすべてを解決するってヤツですか? 面白かったですよ」
そう感想を話すひろ○きの言葉に違和感を覚えた俺は、その直感を問い質した。
「これで終わりとわかるってことは……お前は
「はい、そうです。というか本人なんですよね、これが」
両腕を開いてにこやかに笑うひろ○きの顔をした
「なにが目的だ」
「遊びです」
耳を疑う返答に身体が固まってしまった俺を目で笑いながら
「神様って暇なんですよね。なのであなたみたいな死んだ人間を使ってたまにこうした余興を催すんですけど、今回は『猫を助けるために死ねる人間に、トロッコ問題の轢かれる1人側の役をやらせたらどういう行動を取るか?』ってコンセプトで興じてみたんですね。ほら、こちらギャラリーの神様の皆さんです」
そう
「この人間の姿を借りたのも、線路の切替レバーを握らせたら一番あなたが不安に思うタイプの人間だと思いまして。いやいや、おかげで予想以上に盛り上がる展開を演じて頂けて――」
身体が勝手に動いていた。晶子の肩から飛び降り、
「ぶっ潰す」
「そんな闘志
ギリギリと
「我々が与える
「それは……」
その言葉に俺は当然といった口調で訊ねた。
「お前ら全員滅べっていう願いも入るんだろうな?」
「もちろん。
そう
「じゃあ、
俺の回答に笑う
「晶子! 縄文人さん! ジャック・ニコルソン!」
そこで俺は振り返り、後ろに並んだ3人を見る。首肯する晶子、力こぶで応えるパワー縄文人さん、ずっとシャイニングなジャック・ニコルソン。
俺は3人に頷き返し、そして天へと続く階段を見上げた。
「行くぞ!」
俺は階段を駆け上がる。続く晶子、パワー縄文人さん、ジャック・ニコルソン。
俺たちの戦いはこれからだ!
『トラックに轢かれて転生した俺の第2の人生はトロッコ問題で轢かれる役でした』《完》
※ラーさん先生の次回作にご期待ください!
トラックに轢かれて転生した俺の第2の人生はトロッコ問題で轢かれる役でした ラーさん @rasan02783643
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます