第6話 蚊帳の外の戦い
***
妙な熱気に包まれた会議室である。
隊員六人中五人が異星人だと発覚した会議室である。
円陣を組んで雄叫びを上げた後、
「あの時は本当に助かった」だの、
「助けに来たはずのお前の頭が燃えた時はほんとどうしようかと思った」だの、
「毎回登場の度にキラキラエフェクトかけるのどうやんの?」だの、
「身体の大きさの変え方教えて! もしかしてあれって育った環境関係あるやつ?」だのと、ネイバー達はキャッキャと盛り上がっている。
何だよ、身体を縮めんのって生育環境関係あるやつなのかよ!
その輪の中に入れない、唯一の人間である
彼が最初におかしいと思ったのは、同じ内勤であるはずの
それからしばらくして新しい隊員バッジ(GPS内蔵)が本部から支給された。すると、どいつもこいつも不具合が発生するのである。もしやと思い、内勤のため特にチェックしていなかった相都隊員のGPSも確認してみると同様の症状が出ている。基地内にいるはずなのに、怪獣の至近距離で点滅を繰り返すのだ。はっきり言ってそこまで精度の高いものではなかったため、単なる故障だろう、本部しっかりしろよ、と思いながら交換していたのだが、雑談のつもりでその話を出すと、次は怪獣が現れる度に一切反応を示さなくなった。
これは、どの隊員も同じだった。
怪獣の至近距離で点滅を繰り返している旨を伝えると、皆、次からは一切の反応を示さなくなるのだ。これは絶対におかしい。とんでもない不良品を掴まされた。予算ケチりすぎだろ本部、と報告書をまとめて送ろうとしていた矢先の
そりゃ怪獣の至近距離で点滅しますわな! 本部ごめん! 不良品でも何でもなかったです! 何度も交換させてごめんなさい!
とにもかくにも、そういうことだったのだ。
自分以外の隊員が、皆、地球を守る正義の宇宙人だったのである。それはそれで助かる話ではあるのだが、茅野隊員は手放しで喜べなかった。
「それじゃ地球での救助活動は一体誰がやるんだ……。もしかして、僕?」
その後、EAAT日本支部唯一の純地球人、オペレーター勤務茅野総斗隊員は、オペレーター業務と救助活動を兼任した結果、過労でぶっ倒れることになるのだが、それはまた別のお話である。
EAAT~Evil Alien Attack Team(邪悪異星人攻撃隊)~ 宇部 松清 @NiKaNa_DaDa
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