第50話 さらばブレイヴ使い

「次は絶対に見ようね?流星群」

「うん!」

「約束だよ?」

「うん、約束する!」


かつて友と交わした約束がある。


「帰って来たらあの娘、抱きしめてやれ」


別の時代に現れた、友の魂を持つ男に告げられた言葉がある。


「帰ってきたら何がしたい?」

「カレーが食べたいな」


仲間達から消える最後の戦いの前。彼女と交わした会話がある。


「馬神ダァァァァアアアアン!!!」


最高のバトルを繰り広げた男の叫びがある。


「マギサ!マギサなら弾を・・・・!!」


友が漏らした、魂の願いがある。


『お願い、フィーネ。もし、弾を見つけたら、彼を助けてあげて』

『ああ。我が友よ、その約束。必ず果たそう。もし彼を見つけたら、必ず居るべき場所に連れ戻そう。例え、彼が、どんな未来にいたとしても。時を超える巫女として、異界魔女との約束を必ず果たそう。マギサよ』


古き時代に交わされた絆がある。そして、二人のバトルは、遂に終局へと動き出す。その先に待つ結末は、誰も知らない。


最終話 さらばブレイヴ使い


弾 ライフ:3 リザーブ:0 トラッシュ:4 手札:7


 


フィールド


 


【エリダヌス・ドラゴン:赤・スピリット


コスト3(軽減:赤2):「系統:翼竜・星魂」


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:赤】


 


【魔導双神ジェミナイズ:黄・スピリット


コスト7(軽減:黄4):「系統:光導・導魔」


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:黄】


 


【白羊樹神セフィロ・アリエス:緑・スピリット


コスト6(軽減:緑3):「系統:光導・遊精」


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:緑】


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤・スピリット


コスト7(軽減:赤4):「系統:光導・古竜」:【激突】


コア5:Lv3:BP10000


シンボル:赤】


 


 


響 ライフ:4 リザーブ:0 トラッシュ:5 バースト:あり


 


フィールド


 


【ニジノコ:黄(赤)・スピリット


コスト1:「系統:戯狩」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:黄(赤)】


 


【氷の覇王ミブロック・バラガン・スピリット


コスト7(軽減:白4):「系統:覇皇・機人」


コア4:Lv3:BP12000


シンボル:白】


 


【巨人大帝アレクサンダー:青・スピリット


コスト6(軽減:青3):「系統:闘神・勇傑」:【強襲:2】


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:青】


 


ネクサス


 


【青玉の巨大迷宮:青・ネクサス


コスト3(軽減:青2)


コア0:Lv1


シンボル:青】


 


 


十二ターン目が終了し、十三ターン目のアタックステップに突入する弾。弾のフィールドには十二宮Xレア達が並び、回復状態のスピリットはLv3の金牛龍神ドラゴニック・タウラスと白羊樹神セフィロ・アリエス。そして、疲労状態のスピリットは魔導双神ジェミナイズとエリダヌス・ドラゴン。ドラゴニック・タウラスが響のライフを穿とうとする。対する響のフィールドには疲労状態の巨人大帝アレクサンダーと氷の覇王ミブロック・バラガンが存在し、ニジノコが回復状態で存在している。そしてネクサスには青玉の巨大迷宮が回復状態で存在しており、バーストがセットされている。


 


「ミブロック・バラガンの効果を使えば、相手のアタックステップ開始時に自分のフィールドのスピリットを手札に戻して、そのコストまで相手スピリットをバウンスできる……」


「ミブロック・バラガンのコストは7だから、その効果を使えば十二宮Xレアを手札に戻して一旦は凌げる……」


 


しかし、十二宮Xレアを戻したとしても、この場では一時しのぎにしかならないのが問題だろう。それでも、ここは十二宮Xレアを戻して少しでも戦力を削らなければ、ドラゴニック・タウラスの破壊力がアップするだけだ。意を決したようにミブロック・バラガンのカードに手を伸ばす響。


 


「……」


 


その姿を注意深く見る弾。ドラゴニック・タウラスをLv3にすることで、ミブロック・バラガンの効果で除去すべき最も危険な対象へと変えることで、後の展開をサポートするジェミナイズ、スピリットを疲労させ、Lvが上がればコアの動きさえも制限するセフィロ・アリエスの三体のどれをバウンスさせるのかを強いる。後の事を考えれば、ジェミナイズをバウンスすべきだが、ライフを優先するならドラゴニック・タウラス。意を決したようにカードに手を伸ばした響が取った選択肢は。


 


「ミブロック・バラガンの効果は……使わない!」


「!」


「響……!?」


「み、ミブロック・バラガンの効果を使わないってビッキー!?」


「これじゃ、攻撃を防ぐ事は……」


 


疲労しているミブロック・バラガンではブロックに参加できない。その状態でこのターンを乗り切ろうというのか。


 


(……何が狙いだ?)


 


ライフを削らせてコアを溜める事か。そこは定かではないが、とにかく、響にはあるのだろう。この攻撃を防ぐ策が。ならば、見せてもらおう。この状況を打開できる、その策を。


 


「金牛龍神ドラゴニック・タウラスでアタック!激突!」


「ニジノコでブロック!」


 


響がスピリットを使ってドラゴニック・タウラスのアタックをブロックしたことにより、ドラゴニック・タウラスの効果が起動する。Lv2・3アタック時効果により、ブロックした相手スピリットとシンボルの数を比べ、ドラゴニック・タウラスの方がシンボルが多かった場合、そのシンボル1つにつき、相手のライフのコア1個をリザーブに置く。さらに、Lv3アタック時効果により、このスピリットの効果でシンボルを比べるとき、系統:「神星」/「光導」を持つ自分のスピリットの数だけ赤のシンボルをドラゴニック・タウラスに追加するのだ。現在、弾の場に対応しているスピリットは魔導双神ジェミナイズ、、白羊樹神セフィロ・アリエス、金牛龍神ドラゴニック・タウラスの三体。よって、追加される赤のシンボルも三つとなる。


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


シンボル:赤+赤赤赤】


 


「ドラゴニック・タウラス、アタック時効果により、相手のライフをリザーブに置く!」


 


ドラゴニック・タウラスから出現した赤の四つのシンボルが、ニジノコから出現した黄のシンボルと衝突し、互いに一つのシンボルが相殺されていく。そして残った赤の三つのシンボルが響へと襲い掛かり、一気にそのライフを刈り取っていく。


 


「うぐっ!」


「くそ、これは痛すぎるだろ……!」


「だが、立花もこれを見越して攻撃を受けた筈……なら、あのバーストは……」


「ライフ減少によりバースト発動!」


(やはり、バーストの方に仕掛けがあったか)


「砲天使カノン!!」


 


ライフ減少後、自分のライフが3以下のとき、このターンの間、相手のスピリット/アルティメットすべてのBPを-10000し、この効果でBP0になったカードを破壊するバーストカード。クリスのカードを使い、バウンスして再利用される可能性を考慮してここで一気に焼き払う為にミブロック・バラガンの効果を使用しなかったのだろう。


 


「全く、危ない橋を渡るぜ……」


「だが、その見返りは十分だ!」


 


バーストの発動と共に天に出現した金色の光の中から出現した、青い四枚の光の翼で空を飛ぶ、無数の砲台を身体に装着した薄い水色の髪の天使、カノンはその銃口を目の前のスピリット達へ向け、その青い砲撃を解き放つ。


 


【エリダヌス・ドラゴン


BP3000-10000→0】


 


【魔導双神ジェミナイズ


BP5000-10000→0】


 


【白羊樹神セフィロ・アリエス


BP7000-10000→0】


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


BP10000-10000→0】


 


BPが0になったことで次々と破壊されていくスピリット達。その中で、エリダヌス・ドラゴンだけが疲労状態でフィールドに残る。


 


「!」


「エリダヌス・ドラゴンはコスト3以下の自分のスピリットすべてが相手の効果で破壊されるとき、疲労状態でフィールドに残る事ができる」


「う……」


「ここで守護者の効果破壊耐性か……!」


 


エリダヌス・ドラゴンはバトルでしか破壊できない。その事実は決して小さい衝撃では無い。十二宮Xレアの展開を大きく支えるスピリットが、効果では対処できないとは、洒落にならないだろう。


 


「バースト効果発揮後、カノンを召喚する!Lv3で召喚!ミブロック・バラガンの効果により、バースト発動後、手札からバーストをセットする!」


 


【砲天使カノン:黄・スピリット


コスト8(軽減:黄4):「系統:星将・天霊」


コア3:Lv3:BP10000


シンボル:黄】


 


バースト効果によって十二宮Xレアを一掃してみせたカノンが響のフィールドに降り立つ。バトルしているドラゴニック・タウラスが破壊されて消えたことでニジノコも生存し、弾はアタックステップを終了せざるを得なくなる。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!ミブロック・バラガンと砲天使カノンをLv1にダウン!」


 


【氷の覇王ミブロック・バラガン


コア4→1:Lv1→3:BP12000→6000】


 


【砲天使カノン


コア3→1:Lv3→1:BP10000→6000】


 


「降り注げ、響け流星の鼓動!龍星皇メテオヴルム、Lv3で召喚!不足コストは、ニジノコから確保!」


 


【ニジノコ


コア1→0】


 


【龍星皇メテオヴルム:赤・スピリット


コスト7(軽減:赤3):「系統:星竜・勇傑」:【激突】


コア6:Lv3:BP11000


シンボル:赤】


 


雷鳴を響かせる音と共に空に黒い暗雲が広がっていく。その雲を突き抜けて降り注いだ流星群が地面に衝突して爆発し、その中の一つが爆煙を振り払い、オレンジ色の翼が広げられる。緑色の眼を光らせ、そのオレンジ色の龍の身体を光に反射させ、メテオヴルムが紅蓮の炎と共に現れる。


 


「……!」


 


メテオヴルムが他のスピリット達と並ぶ姿。それは、正にかつての異界王を相手に仲間達のカードと共に挑んだ弾の姿そのものだ。その姿を思い出し、どこか嬉しそうに口元に笑みを浮かべる弾。


 


「アタックステップ!メテオヴルム、Lv2・3効果により、自分のアタックステップの間、系統:「勇傑」を持つ自分のスピリットすべてに激突を与える!」


 


【巨人大帝アレクサンダー


【激突】】


 


「さらに、Lv3効果により、激突を持つスピリットは相手スピリットに指定アタックできる!巨人大帝アレクサンダーで、エリダヌス・ドラゴンに指定アタック!アタック時効果、強襲!青玉の巨大迷宮を疲労させ、回復!」


 


アレクサンダーの振り上げた槍が、エリダヌス・ドラゴンの紫色の皮膚を貫こうとする。しかし、その寸前に弾はフラッシュタイミングでマジックを使い、冷静にこの状況を対処する。


 


「フラッシュタイミング、マジック、ウィンドウォールを使用。バトル終了時、アタックステップを終了する」


 


エリダヌス・ドラゴンの身体が貫かれ、爆散する。しかし、それと同時に響のアタックは止められる事となり、悔しそうな表情を見せる。とはいえ、防御札の存在を失念していた訳では無いので、寧ろそれが今出てきた事はある意味良い傾向と言えるのだろう。


 


「ターンエンド……」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ブレイドラ、イグア・バギーをLv2で召喚」


 


【ブレイドラ:赤・スピリット


コスト0:「系統:翼竜」


コア2:Lv2:BP2000


シンボル:赤】


 


【イグア・バギー:白(赤)・スピリット


コスト1(軽減:赤1・白1):「系統:星魂」


コア2:Lv2:BP3000


シンボル:白(赤)】


 


弾のフィールドに出現する、オレンジ色の体毛を持つ、剣の翼を持つスピリット、ブレイドラと緑の車体を持つ四輪バギー、イグア・バギー。その召喚によって弾は赤の軽減シンボルを並べていく。


 


「続けてネクサス、光り輝く大銀河を再び配置」


 


【光り輝く大銀河:赤・ネクサス


コスト4(軽減:赤2)


コア0:Lv1


シンボル:赤】


 


弾の背後に再び出現する、巨大な大銀河。黄道十二宮の星座が輝く大銀河を目の当たりにした響の表情が無意識の内に強張っていく。


 


「積んでいたのか……!」


「やはり、十二宮Xレアの召喚をサポートするカードとして採用しているのは自然か……」


「光り輝く大銀河の効果により、手札の系統:「光導」を持つスピリットのコストを5にする!」


 


弾の手札のスピリットのコストが5へと変わっていく。前のターンに響がエリダヌス・ドラゴンを破壊するためにメテオヴルムにコアを集中させざるを得なかった現状、それを利用しない手はない。


 


「新たに十二宮Xレアをここに!魚座より来たれ、命喰らいし箱舟よ!双魚賊神ピスケガレオン、召喚!」


 


【双魚賊神ピスケガレオン:紫・スピリット


コスト7(軽減:紫4):「系統:光導・無魔」


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:紫】


 


天に無数の星が集い、紫色の魚座の陣を作り出す。そこから大量の水流が地面へと流れ、それに乗って巨大な船が出現する。帆を広げ、二つの巨大な魚の口を持つその巨大な船は、出現と共にその口を広げ、命を喰らい始める。


 


「ここで魚座の!?」


「ピスケガレオン、召喚時効果!このスピリット以外の、スピリットすべてのコア1個ずつを持ち主のリザーブに置く!」


 


【ブレイドラ


コア2→1:Lv2→1:BP2000→1000】


 


【イグア・バギー


コア2→1:Lv2→1:BP3000→1000】


 


【氷の覇王ミブロック・バラガン


コア1→0】


 


【巨人大帝アレクサンダー


コア1→0】


 


【砲天使カノン


コア1→0】


 


【龍星皇メテオヴルム


コア6→5:Lv3→2:BP11000→7000】


 


ピスケガレオンの口が開かれ、そこから全てのスピリットの生命を吸い込んでいく。命を吸い込まれ、消えていく三体のスピリット達。吸収された命は、ピスケガレオンの効果によって新たな形となる。


 


「この効果でコア0個になったスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする。よって3枚カードをドローする」


「う……でも、召喚時効果に対しバースト発動!双翼乱舞!デッキから2枚ドローし、さらにメイン効果発揮!さらに2枚ドロー!」


 


ピスケガレオンの効果によって手札を増やす弾に対し、双翼乱舞によって失ったカードアドバンテージを即座に取り戻す響。しかし、これによって弾は手札に獅機龍神ストライクヴルム・レオを手札に加えた事になる。これでは次のターンに出てくるかどうかも時間の問題だろう。


 


「まだ終わりはしない。再び、光り輝く大銀河の効果を使用!」


「!?まさか、二枚目!?」


 


弾の背後で輝く大銀河。その中心部に突如として光が出現し、その光は巨大な太陽となる。プロミネンスが波打つ巨大な太陽の中で、その存在は現れる。


 


「龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!光龍騎神サジット・アポロドラゴン、召喚!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:赤】


 


太陽を蹴り、それは銀河を駆け抜けてフィールドへと出現する。太陽の炎を纏い、出現したそのドラゴンは、炎の軌跡を描きながら降り立つと同時に巨大な赤い射手座の陣を出現させ、纏っていた炎が周囲を揺らめかせながら霧散していく。四本の足を持つ白き馬の下半身と赤、金、緑の三色によって彩られた鎧を纏って巨大なドラゴンの上半身を持つ、弓を操る太陽の龍。神の名を持つ光の龍の出現に、それを見た弾以外の全員は衝撃を与えられる。


 


「嘘だろ……この状況で、引いてきたってのか!?」


「いくらなんでも、今のフィールドでは分が悪すぎる……!」


「響……」


(どちらが勝っても、か。自分が消えるというのに、そこまでバトルに打ち込める姿……)


 


カードバトラーのバトルには血が流れている。弾にとって、バトルスピリッツとは、人にとっての呼吸のようなものなのだ。常にある、当たり前の存在。だからこそ、この先に待つのが自分の消滅であったとしても、バトルで迷う事はしない。戦い、勝つこと。それだけが使命であり、仕事であり、役割であり、自分が臨むものであるのだから。


 


「ここで、サジット・アポロドラゴン……!」


「アタックステップ。サジット・アポロドラゴンでメテオヴルムに指定アタック!フラッシュタイミング、マジック、バーニングサン!不足コストはブレイドラから確保!」


 


【ブレイドラ


コア1→0】


 


「手札のブレイヴ、輝竜シャイン・ブレイザーを召喚、サジット・アポロドラゴンに合体!さらに回復!」


 


【輝竜シャイン・ブレイザー:赤・ブレイヴ


コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・機竜」


シンボル:赤】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


コスト8+5→13


BP6000+5000→11000


シンボル:赤+赤】


 


白く輝く翼をもつ機械竜、シャイン・ブレイザーが出現し、その身体が消滅していく。翼だけとなったシャイン・ブレイザーに応えるようにサジット・アポロドラゴンの翼も消滅し、新たな翼となるように合体し、全身から紅蓮の光を放ち、弾のアーマーの赤いラインが一際強く輝いていく。


 


「フラッシュタイミング!」


 


このアタックでメテオヴルムの破壊は避けられないだろう。だが、このターンを凌ぎ、この最後のライフだけは守らなければならない。そのためのマジックを、響は手札から使用する。


 


「マジック、絶甲氷盾を使用!不足コストは、メテオヴルムから確保!」


 


【龍星皇メテオヴルム


コア5→1:Lv2→1:BP7000→6000】


 


「このバトル終了時、アタックステップを終了させる!」


「防がれたか……だが、メテオヴルムは仕留めさせてもらう!」


 


メテオヴルムが天へと飛翔し、炎を纏って槍となり、文字通り流星となってサジット・アポロドラゴンへと突撃する。天から落ちるメテオヴルムを前に、サジット・アポロドラゴンは弓に矢を構え、それをメテオヴルムへと向ける。そして二体の視線が一瞬合わさった次の瞬間。サジット・アポロドラゴンが弓を放ち、一瞬遅れてメテオヴルムがサジット・アポロドラゴンのすぐ後ろに突き刺さる。その額には、サジット・アポロドラゴンの矢が突き刺さっており、この一撃によって軌道を逸らされたメテオヴルムはサジット・アポロドラゴンの背後で大爆発を引き起こす。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!光楯の守護者イーディスをLv2で召喚!」


 


【光楯の守護者イーディス:黄・スピリット


コスト3(軽減:黄2):「系統:天霊」:【強化】


コア2:Lv2:BP2000


シンボル:黄】


 


光を帯びた楯を持つ白い衣を纏った長い金髪の女性がフィールドに現れ、白い天使の翼を広げる。その澄んだ緑色の瞳を開き、イーディスは敵のスピリットを見る。


 


「イーディス……」


「そして!」


 


響の手に握られた一枚のカードに呼応するかのように、彼女の纏うシンフォギアが、光を帯びていく。


 


「!」


 


アルティメット・ジークヴルムか。そう考えた弾だったが、すぐにその可能性を捨てる。今の彼女のフィールドでは召喚条件を満たせない。だが、響が発する光は、明らかにアルティメットのもの。そして、異変はバトルフィールドの外でも発生する。


 


「……!」


「こ、これって……」


「響君に、共鳴しているのか……!?」


 


クリスの体もまた、響に呼応するかのように光に包まれていた。それは、響の体の中にガングニールが、シンフォギアが埋め込まれているからこそできる芸当だろう。他の聖遺物の力を自身の中に取り込み、調和させ、繋ぎ合わせることで新たな力へと昇華させる。まさに、響の想いが形となったかのような能力だろう。響とシンフォギアを通じて重なったクリスの姿が響と入れ替わるようにバトルフィールドに出現し、そのカードの力を解き放つための歌を紡ぐ。


 


「!」


「来たれ、我が砲台!その一撃で、戦況を切り開け!砲天使長ファイエル、Lv4で召喚!」


 


【砲天使長ファイエル:黄・アルティメット


コスト6(軽減:黄3・極1):「系統:次代・天霊」


コア2:Lv4:BP13000


シンボル:極】


 


フィールドに鳴り響く雷鳴、いやプラズマ。それが激しい閃光を作り出し、その中からプラズマを帯びた水色のツインテールに青い目の少女が現れる。白を基調とした全身を包むインナースーツを着用した彼女の背中と両肩には巨大な白い機械翼が装着され、その手には巨大なライフルが握られている姿が見える。


 


「スピリットだけじゃなく、アルティメットも……!これはもっと面白くなりそうだ……!」


「まだまだ終わりじゃねえよ!射抜け、イチイバル!ぶち抜け、アームドギア!星銃フォーマルハウト、召喚!」


 


【星銃フォーマルハウト:白・ブレイヴ


コスト4(軽減:白1・極1):「系統:剣刃」


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:なし】


 


フィールドに出現する、イチイバルのアームドギアが変化したブレイヴ、フォーマルハウト。青と白の二色で構築されたその銃は、戦端が魚のようなものになっており、聖遺物が持つその強力な力を秘めている様子が見て取れる。そして、その効果をクリスから元に戻った響が使用する。


 


「星銃フォーマルハウト、召喚時効果!BP8000以下の相手スピリット/アルティメットを手札に戻す!ピスケガレオンを手札に!」


 


フォーマルハウトから放たれた光がピスケガレオンを貫く。光に貫かれたピスケガレオンはその姿をフィールドから消し、フィールドの外へとその姿を移動させる。


 


「さらに、星銃フォーマルハウトを砲天使長ファイエルに合体!Lv5に!」


 


【砲天使長ファイエル:黄+白


コスト6+4→10


コア2→3:Lv4→5:BP13000→18000+3000→21000】


 


ファイエルの手に握られたライフルが消え、地面からフォーマルハウトが浮き上がる。そして浮き上がったフォーマルハウトは、ファイエルの手へと収まっていく。


 


「バーストをセットしてアタックステップ!合体アルティメットでアタック!」


 


ファイエルでのアタックを響が宣言する。次の瞬間、再び響の姿がクリスへと変わり、クリスは両手にボウガンを出現させて弾のデッキを狙い撃つ。


 


「Uトリガー、ロックオン!」


「天蠍神騎スコル・スピア、コスト5!」


「ヒット!だがこのトリガーの効果は使用しない!さらに、XUトリガー、ロックオン!」


 


続けざまに放たれた矢が、再び弾のデッキを破壊する。そこに現れたカードは、宝瓶神機アクア・エリシオン。コスト7のカードであり、現在のファイエルのコストは10、よって、


 


「ヒット!トラッシュのコア2個をライフに置き、このバトルの間、相手スピリットすべてのBPを-10000!」


 


【ブレイドラ


BP1000-10000→0】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP6000+5000-10000→1000】


 


ファイエルがフォーマルアウトから白い光の弾丸を連続で放ち、弾幕を作り上げる。その弾幕は、弾のフィールドのすべてのスピリットを攻撃し、その力を削いでいく。


 


「ライフで受ける!」


 


ファイエルの放った砲撃によって削られる弾のライフ。アルティメットを呼び出し、弾のサジット・アポロドラゴンに対抗する響達。この分だと、残りのアルティメットが出てくるのも時間の問題だろう。


 


「エンドステップ!星銃フォーマルハウト、合体時効果で、ファイエルを回復させる!ターンエンド!」


「攻防一体のブレイヴか……スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。光り輝く大銀河の効果により、手札の獅機龍神ストライクヴルム・レオをコスト5にする!獅子座より来たれ、月の光を照らす神よ!獅機龍神ストライクヴルム・レオ、Lv3で召喚!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ:白・スピリット


コスト8(軽減:白4):「系統:光導・神星」:【重装甲:紫/緑/白/黄】


コア4:Lv3:BP12000


シンボル:白】


 


大銀河の中で太陽と共に月が輝く。銀河の中で無数の光が獅子座の星座を描き出す。獅子座より生み出された、白銀の光を纏った獅子は、空をゆっくりと踏みしめるように地へと降りて行き、ゆっくりと着地すると鋭い剣の縦髪を広げ、背中に装着されたブースターの取り付けられた翼を起動させてその光を一筋の竜巻と共に振り払う。緑色の眼と金色の爪を輝かせる機体を持つ獅子が、咆哮を上げる。


 


「ここで獅子座の十二宮Xレアが……!」


「イグア・バギー、合体スピリット、光り輝く大銀河をLv2にアップ!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


コア1→3:Lv1→2:BP6000→10000+5000→15000】


 


【光り輝く大銀河


コア0→2:Lv1→2】


 


「バーストをセットし、アタックステップ!サジット・アポロドラゴンの効果により、系統:「光導」を持つ獅機龍神ストライクヴルム・レオで光楯の守護者イーディスに指定アタック!」


 


ストライクヴルム・レオが爪を振り上げ、イーディスへと叩き付ける。盾ごと切り裂かれ、イーディスが消えていく姿を見ながら、弾はさらに攻撃の手を緩めない。


 


「合体スピリットでアタック!系統:「光導」を持つ自分のスピリットが疲労したことにより、ストライクヴルム・レオは回復する!」


「ライフで受ける!」


 


ファイエルでブロックしても、光り輝く大銀河の効果で同じBPになれる。さらに手札にバーニングサンが眠っていようものなら逆に倒されてしまうだけだ。サジット・アポロドラゴンの放った炎の矢が響のライフを貫いていく。


 


「ライフ減少によりバースト発動!絶甲氷盾!ボイドからコア1個をライフに置き、さらにフラッシュ効果発揮!バトル終了時、アタックステップを終了する!」


「ターンエンド」


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!戦竜エルギニアスをLv1、ネコジャランをLv2で召喚!」


 


【戦竜エルギニアス:青(赤)・スピリット


コスト1(軽減:青1):「系統:戦獣」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:青(赤)】


 


【ネコジャラン:緑(赤)・スピリット


コスト2(軽減:緑1・赤1・青1):「系統:遊精」


コア3:Lv2:BP4000


シンボル:緑(赤)】


 


青いシンボルが砕かれ、その中から緑色の身体に青い鉄の肩当てや胸当て、甲羅に似た装甲を纏った牛型のスピリット、戦竜エルギニアス。抹茶色の毛並みを持つ目が宝石のように輝く猫の姿をしたスピリット、ネコジャラン。ここに来ての下級スピリットの連続召喚の狙いは、最早一つしかない。しかし、それをする前に響はさらなるマジックを使用する。


 


「マジック、ネオ・ダブルドロー を使用!デッキから2枚ドロー!さらにアルティメットがいることでもう1枚ドロー!」


 


再びドローマジックで手札を増やしていく。彼女が意を決して引いたそのカード、それは、弾に勝ちたいという彼女達の強い想いがもたらしたカードであると言い切ってもいいだろう。カード達は応えてくれた。ならば次は、こちらがそれに応える番だ。


 


「……」


 


響が瞳を閉じ、歌を紡いでいく。そして奏でられた旋律は、新たな力を呼び起こす。


 


「響け、金色の稲妻!!アルティメット・ジークヴルム、召喚!」


 


【アルティメット・ジークヴルム:赤・アルティメット


コスト6(軽減:赤3):「系統:新生・星竜・竜人」:【真・激突】


コア1:Lv3:BP10000


シンボル:極】


 


空が暗雲で黒く塗りつぶされ、そこから雷鳴が鳴り響く。雷鳴の中から現れたのは、黄金の鎧を纏う、紅蓮の皮膚を持つ雷の龍。ライト・ジークヴルムよりも強き力を持ち、アルティメットへと昇華された存在、アルティメット・ジークヴルム。その力は、彼女の得た新たな力、アームドギアによってさらに増幅されることとなる。


 


「貫け、ガングニール!その拳を響かせろ!撃爪アダーラ、召喚!コストは、ネコジャランから使用!」


 


【ネコジャラン:緑(赤→青)


コア3→1:Lv2→1:BP4000→2000


シンボル:緑(赤→青)】


 


【撃爪アダーラ:緑・ブレイヴ


コスト2(軽減:緑1):「系統:剣刃」:【スピリットソウル:緑】


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:なし】


 


響のフィールドに空から二つの光が降り注ぐ。それは、鋭い爪が生えた緑を基調とした篭手となって現れ、それが宙に星の光を放ちながら浮かび上がる。


 


「新たなブレイヴ……!」


「撃爪アダーラを、アルティメット・ジークヴルムに合体!」


 


【アルティメット・ジークヴルム:赤+緑


コスト6+2→8


コア1→2:Lv1→2:BP10000→13000+1000→14000】


 


アルティメット・ジークヴルムの両腕にアダーラが装着され、その身体から緑色の光が放たれる。響のフィールドに並ぶ二体目の合体アルティメット。しかし、響のこのターンにおける猛攻はこの程度では止まることはない。


 


「二体揃えるか!」


「まだまだこれからですよ!翼さん!」


 


再び響の体が光に包まれていく。時を同じくして先ほどのクリスのようにバトルフィールドの外の翼の体もまた光に包まれていき、バトルフィールドで入れ替わるように翼が出現する。


 


「斬り裂け、天羽々斬!出現せよ、アームドギア!!星銃剣アンタレス、召喚!」


 


【星銃剣アンタレス:青・ブレイヴ


コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣刃」


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:なし】


 


フィールドに出現する青い一振りの剣。その剣には、銃のスコープやトリガー、そして剣の先に銃口が装着されているところを見る限り、剣と銃が一体となった武器であることを見た者に知らしめている。


 


「これで、条件は揃った!」


(青のスピリットが3体……)


 


翼の口から紡がれていく歌声。アルティメットの連続召喚で一気に弾を追い詰めるつもりか。フォニックゲインを高め、その力を呼び出す準備を完了させた翼は、その刃を、フィールドへと呼び起こす。


 


「我が刃よ、防人の歌と共にその剣を顕現せよ!アルティメット・オライオン、召喚!不足コストは、ファイエル、エルギニアス、ネコジャランより確保!」


 


【砲天使長ファイエル


コア3→1:Lv5→3:BP18000→10000+3000→13000】


 


【ネコジャラン


コア1→0】


 


【戦竜エルギニアス


コア1→0】


 


【アルティメット・オライオン:青・アルティメット


コスト8(軽減:青3・極1):「系統:新生・闘神」


コア1:Lv3:BP15000


シンボル:極】


 


翼の歌と共に大地がひび割れていき、そこから巨大な土煙が大地が崩壊する音と共に出現していく。煙の中からゆっくりと現れる、金色の装甲を両腕や腰、胸などに纏った、金髪の巨人。その赤い目と青い皮膚に秘められた戦士としての覚悟と、その巨大な剣に刻まれた力を翳し、アルティメット・オライオンは降臨する。


 


「アルティメット・オライオンまで……」


「これで三体のアルティメットが並びました!召喚時効果でぎりぎり射手座の十二宮Xレアは倒せませんが……!」


「召喚時効果!Uトリガー、ロックオン!」


 


翼の手に出現した剣が振り下ろされ、弾のデッキのカードをトラッシュへと突き落としていく。弾のトラッシュに落ちたカードは、


 


「蛇皇神帝アスクレピオーズ、コスト9。よってガードだ」


「星銃剣アンタレスを、アルティメット・オライオンに合体!!」


 


【アルティメット・オライオン


【連鎖:条件緑シンボル


コスト8+3→11


コア1→2:BP15000+2000→17000】


 


アルティメット・オライオンの左手に握られるアンタレス。再び翼から響にバトルフィールドに立つ人物が変わり、響は攻撃を宣言する。


 


「アタックステップ!アルティメット・ジークヴルムでアタック!Uトリガー、ロックオン!」


 


響の拳から放たれた光が、弾のデッキを貫く。トラッシュへと消えたカードは、太陽神龍ライジング・アポロドラゴン。コスト7のカードであることにより、このトリガーはヒットとなる。


 


「ヒット!BP+10000!」


 


【アルティメット・ジークヴルム


BP13000+1000+10000→24000】


 


「そして、真・激突!!」


「イグア・バギーでブロック!」


 


アルティメット・ジークヴルムが飛翔し、勢いよくイグア・バギーを蹴り飛ばす。そしてイグア・バギーを破壊すると同時に、アルティメット・ジークヴルムは、アダーラの効果を発揮させる。


 


「撃爪アダーラ、合体時効果!BPを比べ、相手のスピリット/アルティメットだけを破壊したことで、相手のライフをリザーブに置く!」


「ならば、こちらも使わせてもらう!スピリットの破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドローする!さらにフラッシュ効果発揮!ネクサス、青玉の巨大迷宮を破壊する!」


 


天から降り注ぐ二発の炎。それが、響の背後に存在する巨大な迷宮を破壊する。しかし、ネクサスが破壊された程度、最早この状況では然程意味はなさない。


 


「続けて、アルティメット・オライオンでアタック!アンタレスの合体時効果でBP+3000!」


 


【アルティメット・オライオン


BP15000+2000+3000→20000】


 


このドローでバーニングサンとブレイヴがあれば、返り討ちに遭う。その可能性を考慮した上で、半ば博打同然のアタックを仕掛ける響。弾は表情を変えずにそのアタックを見て、手札に視線を向ける。その一瞬が、とても長い時間のように感じられ、冷や汗を流す響。そして、弾がとった選択肢は、


 


「獅機龍神ストライクヴルム・レオでブロック!フラッシュタイミング、マジック、ウィンドウォール!不足コストはストライクヴルム・レオより確保!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


コア4→1:Lv3→1:BP12000→6000】


 


ストライクヴルム・レオがアルティメット・オライオンの首へと噛み付こうとする。その口にアンタレスを突っ込むことで勢いを殺すと、そのまま投げ飛ばし、アルティメット・オライオンは右手に握られた己の剣でその額に刃を突き刺し、大爆発を引き起こしてストライクヴルム・レオを破壊する。


 


「ウィンドウォールの効果により、バトル終了時、アタックステップを終了する!」


「ターンエンド……!」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。トレス・ベルーガを召喚」


 


【トレス・ベルーガ:青・ブレイヴ


コスト5(軽減:青2・赤2):「系統:異合」


コア2:Lv1:BP6000


シンボル:青】


 


弾のフィールドに現れる、青い体に金色の三つの首を持つ奇妙な姿をした異合の獣。トレス・ベルーガ、サジット・アポロドラゴンのダブル合体のためのパーツを呼び出したことで弾の持つ空気が一気に変わっていく。


 


「トレス・ベルーガを合体スピリットに合体!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤+青


コスト8+5+5→18


コア3→5:Lv2→3:BP6000→13000+5000+6000→24000


シンボル:赤+赤+青】


 


トレス・ベルーガが光を纏い、サジット・アポロドラゴンと重なる。瞬間、激しい閃光と共にその全身を金色の鎧へと変え、背中の翼を更に強く、大きく広げさせ、同時に弾の全身にオーラが出現していき、その中でアーマーが黒く染まり、弾自身が纏うその雰囲気もより強大で圧倒的なものへと変わっていく。


 


「ダブル合体……!」


「遂に来やがったか……!」


「ここが山場になるな……」


「ターンエンド」


 


響の手札からカウンターが来ることを怖れたのか。いや、弾に限ってそれはないだろう。むしろ、弾はこのバトルを、自分らしく勝利するためにターンを終えたのだ。それに関しては、響にも手に取るようにわかった。そして同時に、お互いに次のターンが勝敗を分けるだろうということにも気付いていた。故に、次のターン、全力で攻めるのだ。弾を倒すために、弾の築き上げてくるであろう守りを乗り越えて。


 


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!ネコジャランをLv2で召喚!」


 


【ネコジャラン


コア3:Lv2:BP4000


シンボル:緑(赤)】


 


「アルティメット・オライオンをLv4、アルティメット・ジークヴルムと砲天使長ファイエルをLv5にアップ!」


 


【アルティメット・オライオン


コア2→4:Lv3→4:BP15000→25000+2000→27000】


 


【砲天使長ファイエル


コア1→3:Lv3→5:BP10000→18000+3000→21000】


 


【アルティメット・ジークヴルム


コア2→4:Lv4→5:BP13000→17000+1000→28000】


 


「アタックステップ!!アルティメット・オライオンでアタック!アンタレス、合体時効果でBP+3000!さらに連鎖発揮!緑のシンボルを追加!」


 


【アルティメット・オライオン


BP25000+2000+3000→30000


シンボル:極+緑】


 


ネコジャランの持つ緑のシンボルが反応し、アルティメット・オライオンに緑のシンボルが追加されていく。そして刃を振り上げたアルティメット・オライオンにサジット・アポロドラゴンは咆哮で応える。


 


「フラッシュタイミング!ブレイブチャージを使用!このターン、ダブル合体スピリットのアタック時効果は、ブロック時に発揮される!迎え撃て、ダブル合体スピリット!サジット・アポロドラゴン、Lv3合体時効果により、BP10000以下の相手スピリット、ネコジャランを破壊!」


 


サジット・アポロドラゴンが炎の矢を放ち、ネコジャランを貫く。さらに、ブロック時効果になったトレス・ベルーガの効果が起動する。


 


「トレス・ベルーガ、合体時効果によりデッキを6枚破棄し、BP+6000!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000+6000→30000】


 


ブレイヴドロー、バーニングサン、デルタバリア、鳳凰竜フェニック・キャノン、リーフピジョン、魔羯邪神シュタイン・ボルグ。六枚のカードが破棄されていく中、最後に破棄されたシュタイン・ボルグのカードが、サジット・アポロドラゴンに力を与える。


 


「破棄されたカードの中に、系統:「光導」を持つシュタイン・ボルグがあったことで回復!」


「でも、BPは同じ30000!」


「まだだ!光り輝く大銀河、Lv2効果!」


 


アルティメット・オライオンが同時に振り抜いた二本の剣を、弓を変形させた剣で受け止めて弾き飛ばして距離を取る。次の瞬間、弾の背後の大銀河から星の光がサジット・アポロドラゴンへと降り注いでいく。


 


「手札の系統:「神星」/「光導」を持つ双魚賊神ピスケガレオンを破棄し、このバトルの間、赤のシンボルを1つ追加、さらにBP+6000!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000+6000+6000→36000】


 


「BP36000!?」


 


今度はサジット・アポロドラゴンが剣を手に、アルティメット・オライオンへと斬りかかる。アルティメット・オライオンが二刀流で手数を活かして攻め込む中、そのすべてをいとも簡単に捌き、一瞬の隙を狙って振り抜かれた一閃がその剣を吹き飛ばし、体を両断して破壊する。


 


【星銃剣アンタレス


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:なし】


 


分離したブレイヴが地面に突き刺さる。そして起き上がったサジット・アポロドラゴンは再び響を見据える。


 


「く……アルティメット・オライオンが……だが、これで光り輝く大銀河は使わせた!」


「ああ、これなら、まだチャンスはある!」


「続けて、砲天使長ファイエルでアタック!」


 


再び放たれるトリガー。最初のUトリガーによってトラッシュに送られたのは、巨蟹武神キャンサード。コスト6のためヒットとなるが、対象となるスピリットは存在しない。続くXUトリガーでトラッシュへと落ちたカードは、戦神乙女ヴィエルジェ。それを見て、弾は少しだけ表情を歪める。


 


「……よし!弾さん、数えてましたよ!これで、十二宮Xレアは全部フィールドかトラッシュです!」


「これで、トレス・ベルーガの回復効果は封じられたわけか」


「ファイエルの効果で、トラッシュのコア2個をライフに置く!そして相手スピリットすべてにこのバトルの間、BP-10000!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000-10000→14000】


 


「よし!これなら、ブロックされても次のアタックがある!」


「残りライフが1の今、このアタックはブロックするしかない!」


「それじゃあ……!」


「ビッキーの勝ち!?」


「いっけー響!」


「決めてください!」


 


皆の声援が聞こえては来ないだろう。だが、感じ取ることはできる。ファイエルのばらまいた弾幕によって弱体化を受けたサジット・アポロドラゴンは咆哮を上げて弾の指示を受けるのを待つ。


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000-10000+6000→20000】


 


「ダブル合体スピリットでブロック!ブロック時効果で星銃剣アンタレスを破壊!さらにデッキを6枚破棄し、BP+6000!」


 


鳳凰竜フェニック・キャノン、イグア・バギー、デルタバリア、ブレイドラ、エリダヌス・ドラゴン、リーフピジョン。六枚のカードが破棄され、サジット・アポロドラゴンのBPは上昇する。しかし、既に十二宮Xレアの消えたデッキでは回復は不可能だ。


 


「さらにフラッシュタイミング!ネクサスコラプスを使用!このターンの間、ダブル合体スピリットにBP+5000!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000-10000+6000+5000→25000】


 


「くそ、意地でも超えてきやがった!」


 


最初に炎の矢を放ってアンタレスを燃やす。続けて、ファイエルの放った砲撃を瞬間移動のような超スピードで駆けて避けると、その眼前に現れて剣を振り下ろし、ファイエルを切り裂いてしまう。


 


【星銃フォーマルハウト


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:なし】


 


ファイエルの手からこぼれ落ちたフォーマルハウトが地面に落ちる。そして、ファイエルと入れ替わりになるように、二人が繋いだ、チャンスを手にするためにアルティメット・ジークヴルムが咆哮を上げる。


 


「これで、決める!合体アルティメットでアタック!Uトリガー、ロックオン!!」


「エリダヌス・ドラゴン、コスト3!」


「ヒット!BP+10000!」


 


【アルティメット・ジークヴルム


BP17000+1000+10000→28000】


 


響の手から放たれた光弾が残り少ない弾のデッキを破壊する。BPを増し、アルティメット・ジークヴルムは全身に稲妻を纏い、弾へと襲いかかる。いった、そう、誰もが思った、まさにその瞬間だった。弾の瞳が、鋭くなったのは。


 


「フラッシュタイミング!」


「!?」


「マジック、リブートコードを使用!不足コストは、光り輝く大銀河より確保!」


 


【光り輝く大銀河


コア2→0:Lv2→1】


 


「ダブル合体スピリットを回復!迎撃しろ、ダブル合体スピリット!!ブロック時効果によりフォーマルハウトを破壊!」


 


サジット・アポロドラゴンのBPは現在、29000。対するアルティメット・ジークヴルムのBPは28000。稲妻を纏って突進するアルティメット・ジークヴルムを剣で受け止めるサジット・アポロドラゴン。そのまま一度、相手を投げ飛ばすとそのまま空へ飛び上がり、金色の翼を広げ、金色の炎の弾丸を放つ。サジット・アポロドラゴンの背中から放たれた六発の弾丸は、アルティメット・ジークヴルムへと降り注いでいき、それを回避していくアルティメット・ジークヴルム。しかし、最後の二発を進路方向に突き刺され、足止めを喰らったタイミングで空で口を開き、真下に向けて大量の炎を解き放ったサジット・アポロドラゴンの攻撃を受け、大爆発に巻き込まれて消えていく。


 


【撃爪アダーラ


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:なし】


 


「……そんな……ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。光り輝く大銀河をLv2にアップ」


 


【光り輝く大銀河


コア0→2:Lv1→2】


 


「……響、このバトルができて、俺はとてもよかった。この時代に来て、いろんなバトルをしてきた。そしてその中で、こんな熱いバトルができて、俺は今、最高に充実している!」


「弾さん……はい!私も、楽しかったです!」


 


弾の嬉しい言葉に、響も満面の笑みで応える。が、彼女とてまだ勝負を諦めたわけではない。最後の手札は、絶甲氷盾。これで弾のアタックを防ぎ、次のターンでスピリットを引けば、勝利となる。弾もこのアタックで倒せなければ負ける。それをわかっているだろう。そして、最後のアタックステップが始まる。


 


「いくぞ、響!合体アタック!アタック時効果により、撃爪アダーラを破壊!」


 


サジット・アポロドラゴンの効果によって燃やされるアダーラ。サジット・アポロドラゴンのアタックが、響へと襲いかかろうとする。が、弾が繰り出した最後の手札。それは、弾が時代を超えて手に入れた、まさに時を超えた戦いの開幕を告げる太陽だった。


 


「フラッシュタイミング!光り輝く大銀河、Lv2効果発揮!手札の太陽龍ジーク・アポロドラゴンを破棄し、BP+6000!赤のシンボルを1つ追加!」


「!!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000+6000→30000


シンボル:赤+赤+青+赤】


 


弾の手札から破棄される太陽龍。そう、弾のデッキには光り輝く大銀河、Lv2の効果に対応したカードが、十二宮Xレア以外にもあったのだ。太陽神龍は既にトラッシュにいる、だが、デッキの奥底で眠っていた太陽龍は、このラストターンに、弾の手札に現れた。


 


「クアトロ……シンボル……はは、やっぱり、弾さんは強いや……このアタック、全力で受けきります!ライフで受ける!!」


 


サジット・アポロドラゴンの炎の剣。それは、響のライフを一度に刈り取り、この戦いの勝者を決定させるのだった。


 


「響……」


 


結果は、響の負けで弾の勝利。だが、この戦いを見た誰もが、二人の全力を尽くしたバトルに賞賛以外の言葉をかけることはないだろう。


 


「十二宮Xレアよ、再び俺が引き金となる!」


 


バトルが終わったフィールド内に、星の光のような粒子が舞い始める。そして、弾のトラッシュのカードがデッキへと戻っていき、デッキがめくれていきながら十二宮Xレアのカードがフィールドにオープンされていく。それらは、それぞれのシンボルの色の光となって天へと舞い上がり、黄道十二宮の星座が囲む陣を作り出す。それは、フィーネが神々の砲台を放とうとしたときに出現していたものと全く同じもの。しかし、ここで響は、弾が何かおかしなことを言っていることに気付く。


 


「弾さん、それじゃ、早く外に出ましょうよ。危険ですから」


 


発射するすぐ傍にいては何が起こるかわからない。だからこそ、避難しようと響は言っているのだ。彼女の目の前で、バトルフォームが光と共に消えていく。そして、弾は響の言葉に、静かに首を横に振った。


 


「……え?」


「響。神々の砲台の引き金は、引くものじゃない。なるものなんだ」


「……え」


 


響の表情が呆然となる。それは、そのバトルを見ていた未来達も同じだ。ただ一人、真実を知らされていた、弦十朗だけが、やりきれないという表情で手を顔に当てていた。弾の周囲が虹色の光に包まれていき、エネルギーが集中していく。


 


「なんだよ、何なんだよこれ……」


「馬鹿な……そんなこと、フィーネも弾も言っていな……まさか!?」


 


ここで、翼達も漸く気付く。弾が、自分たちに真実を偽っていたことを。響に、全力でバトルしてもらうため、プレッシャーを背負ってほしくなかったために、言わなかったことを。弾が消える。その事実を飲み込み始めた響はその場に崩れ落ちる。その表情は、誰が見てもわかるほどに青ざめているのが見える。


 


「そんな……じゃあ、私が勝っていたら……」


 


響が引き金となっていた。それほどまでに、勝利を疑わず、そして勝ってみせた弾。弾を、見続ける響に対し、弾は静かに右手を出して、笑いかけた。


 


「ありがとうございました。いいバトルでした」


「だ……弾さん!!弾さぁぁあああああああん!!」


 


コアブリットが射出され、響がバトルフィールドの外へと飛び出していく。大粒の涙を流しながら、消えていく響。弾が死ぬ、その事実に、それを見ていた翼達も、その瞳からこぼれ落ちる涙を止めることはできない。そして、響の叫びがバトルフィールドから消えた瞬間、弾は一筋の光となって放たれる。神々の砲台を、カ・ディンギルをその余波で完全に破壊し尽くし、空を、大気圏を越えて月の欠片へと衝突した光は、月の欠片を粉々に打ち砕き、大気を歪ませてそこに吸い込まれるように光は消えていく。そして、十三の光が、流星群となって、宇宙を彩っていく。


 


「流星群……」


 


馬神弾が消えていく間際。まるで、自分が守った世界を巡るかのように。流れ星は世界を巡り、そして、日本周辺の海へと降り注いでいき、沈んでいく。そして、戦いは終結することとなるのだった。


 


 



 


 


半年後。フィーネとの戦いが終わり、少女達は、日常へと戻っていった。翼も、元のアーティスト活動を行いながら、彼女の日常を謳歌しており、新たな新曲が話題をさらっている。クリスもリディアンに転入される形で新たな日常へと一歩を踏み出すこととなった。響もまた、日常へと戻っており、これからの時代にそれぞれの形で向き合おうとしていた。そんな中、町外れに置かれた墓石の前に、少女達は集まっていた。名目上は、ノイズに襲われて死んだ人々の魂を鎮めるための墓。しかし、その墓の本来の意味は、過去に生きた、戸籍も存在しない一人のカードバトラーのための墓だ。


 


「私、信じてるんです。弾さんが、どこかで生きているんじゃないかって。一度、引き金になってこの時代に来たのなら、また、別の時代で生きているんじゃないかって。だから……悔いるんじゃんくて、私なりに、前を向くことにしました」


 


墓に花を添えて、背を向ける。そして、響はこの時代を共に生きる皆のところへと駆けだしていくのだった。


 


 



 


 


「全く、本当に馬鹿な男だ。自分を犠牲にしてここまで、それも二度もやるとはな」


「……お前は」


 


周囲の景色を見ると、歪んでいた。まるで、時空の狭間。突如として出てきたその言葉は、ぴったりのように弾には思えていた。そして、彼の目の前には、フィーネの姿があった。半透明な、魂だけの存在であったが。


 


「早く行け。いつまでも、時空の狭間は維持してられんぞ」


「……十二宮Xレアが」


 


ふと、弾は自分の周りに十二宮Xレアが存在しないことに気付く。神々の砲台を放ち、そのエネルギーを吸収するべく出現した時空の狭間の中に落ちたのか。そう考えた弾に、まだ転生する前のフィーネは、少し寂しそうな表情を見せながら、口を開く。


 


「あるべき時代に行ったよ。魔族と人間の時代にな」


「元の時代に……フィーネ、まさか最初から……」


「お前のためではない。十二宮Xレアに反抗されるのが怖かったからこそ、こうせざるを得なかっただけだ」


 


恥ずかしそうにそっぽを向きながら、弾に早く行けと手で促す。その先にあったのは、ゲート。そして、その先に広がっていた光景は、弾が時代を超えた場所。それを見て、弾の表情が、懐かしさとうれしさが混ざったような感慨深い表情となる。


 


「あんたも、素直じゃないんだな」


「ああそうだ。私がこんなことをするのも、友人の頼みだからだ。だから早く行け。お前にこの時代にいられると、私が迷惑だ」


「……フィーネ」


「……?」


 


かしこまったようにフィーネを向く弾。まだ何かあるのかとフィーネが弾を見ると、弾は彼女に手を伸ばし、笑いかけた。


 


「ありがとう」


「……ふぅ、わざわざ礼を言う暇があったら行ったらどうだ?お前を待っている人がいるかもしれんぞ?」


「ああ、そうするよ。それじゃあ」


 


弾がゲートを抜け、その先へと消えていく。弾が次元の狭間から消えたのを確認し、ゲートがしまる。そして、フィーネは、自嘲するように笑うのだった。


 


「約束は果たしたぞ。マギサ。古き友よ」


 


フィーネの体が消えていく。その魂を、新たな体へ転生させるために。そして弾は、夕日が照らすその場所に降り立った。


 


「ここは……俺がまゐと未来に行った……」


 


街路樹などがはえている建物の屋上。その下には道路が広がっており、車が走っている姿が確認できる。


 


(戻ってきたんだな……)


 


そう、心の中で呟く。そして、顔を上げると、そこには一人の背中が見えた。紫色のショートヘアをしたその人物。髪型は違うが、見間違えるはずがない。その人物は、


 


「まゐ」


「……え?」


 


弾の声を聞き、その女性は、驚いたように声を漏らす。おそるおそる、彼女が後ろを振り向いて弾を見る。そして、弾は彼女に、いつも通りの口調で、口を開き、彼女に笑いかけるのだった。


 


「ただいま」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バトルスピリッツシンフォギア @fdsfds

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る