第2話 釣り場の決断

俺は決めた。

菩薩様との相談、そしてさまざまな模索を得て、そしてその決断をした。

それを実行に移す前に、俺は外界で一番好きだった釣り場にいる。


「うわーよう釣れたわ」

そう語って隣客は帰っていく。

パックに入れられる魚。

俺の未来を暗示しているのか?

自由が無い。

青い魚の黒い目は変に純粋で虚ろだった。


「俺が一生外界に出なければ、公原望は元気になる」

そういう事実を掲示され、俺はそれを受け入れた。

さらば外界。

俺は病院の壁をすり抜け、眠る彼の体に回帰する。

ただいま宿主。


まもなく彼は目が覚めた。

泣いて喜ぶ母親、驚く看護師、首を捻る医者。

当のあの子は冷静だ。

「俺、何も記憶ねーよ。3日も寝てたのか」

俺は苦笑いする。

これから俺に外の記憶はなくなる。

永久に、あの子の魂と共に生きるのだ。

これは恋なのか?

違う。

よくて引きこもりニート、悪くて寄生虫。

俺はその程度で十分だ。


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【淡雪様設定集より着想】外界に出れない男 @munenuchu

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