繰り返される未来
『御機嫌よう。地球は本日も平和な朝を迎えました。時刻は現在午前6時13分、今から学校に向かいます。実は今日から修学旅行なので、とてもテンションが上がっております。以上、私、西條木辛(さいじょうかのと)からでした。』
「西條先生。今日はお早い出勤ですね!あ、そういえば、修学旅行でしたっけ?」
「そうなんです!私のクラスは今日から一週間の修学旅行で、私も楽しみなんです!」
ワクワクしながら私はデスクを整理する。生徒たちのために今日まで沢山レクリエーションの道具や、しおりを用意してきた。最後の修学旅行くらい楽しんでいってもらいたいもの。
「教師目線としてはちょっと寂しい気もしますよねぇ。」
「そうですねぇ。もう教えられないとなると、修学旅行は最後の思い出つくりの場ですから。その分、張り切らせてもらいますけど!」
「教師陣の中でも一番生徒思いだった西條先生は特にですよね。生徒たちは幸せ者ですよ!」
「アハハハ。そうだと良いんですけど…。」
バスは既に外に止められているし、今は7時20分を回っている。生徒たちが教室に集
まってくる時間のはずだ。そろそろ生徒の一人が私を呼びに来るはず。
「先生!!木辛先生!!バスの時間、しおりだともうすぐですよ!」
「はぁ〜い!今バスのところまで案内しますね!」
「それじゃあ、みなさん!」
生徒は全員出席している。バスは指定席だけど、文句言われないといいなぁ。
「このご時世ですので、こちらの指定席にお願いしますね!」
「ええええー」
案の定生徒の中で不満が走りはじめる。でも、これは事前に私が決めてしまったものだから、生徒の都合で変えられると、少し厄介なことになっちゃうんだけどなぁ…。
「あたし、仲いい人と隣が良いんですけどぉ〜。」
「啓四(けいし)ちゃんごめんね?席、指定だと、何かと都合がいいの…。」
「まぁ、仕方ないなぁ〜!木辛先生、そゆとこたまに抜けてるもんね〜?変わんないね!」
辛辣なこと言うなぁ。割と気にしてるのになぁ!私は確かにまだまだ教師としては未熟者だし、未完成品かもしれないけど、できないなりに頑張ってるんだぞ!という心の声はさておき、啓四ちゃんを最後にして生徒はみんな席についてくれたね。
「よし…!それじゃあ出発ぅ!!」
そう言って腕を振り上げた西條木辛の袖から、生々しい痣が大量に覗いた――。
途端、ガスが一気にバス内に充満し、子供たちは眠りにつく。私はガスマスクを装着
しているから、今回は眠らない。
「さて、それでは事前アンケートをもとに、皆さんには選別戦を行ってもらいましょう。」
お わ り
2nd 緋盧 @4n2u
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