跡継ぎが産めなければ私は用なし！？　でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

私は、一応伯爵家の娘です。…一応ね。
けれどそれは名ばかり。
現実は父に母娘共々疎まれ、屋敷の離れへと追いやられている存在。

父には母と婚姻する前から、愛妾とその子供がいた。
かつては母がいた場所に、私がいた場所に、今は愛妾たちが我が物顔で暮らしている。

屋敷の主人が本妻とその子供を蔑ろにすれば、使用人たちもそれに倣う。
最初は毎日離れに運ばれていた食事も、日を追うごとに減って行った。
たまに食事が届いても、残飯か腐った物ばかり。
日々の食べ物にも窮する生活だった。

そんな苦しい生活の中、母が亡くなってしまう。
私は屋敷を出ようと決心していたが、父がとある伯爵令息との縁談を持ってきたのだ。

正直、結婚相手に期待はしていなかった。
貴族の結婚はしょせん政略。そこに愛情何て存在しない。
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