好きなものと向き合うことで見つけ出した青い光、たしかに君の中にあるよ

これもまた、青春の一つの形である。
ただがむしゃらに、まっすぐ走ることだけが、若者がもてる唯一の特権であることを教えてくれている。

「スタバ行きたーい」「カラオケ行こうぜ、カラオケ!」「勉強会みたいな?面白いじゃん」といったり、「放課後も残って勉強するとか、真面目かよ」といったりしていた同級生たちは、受験勉強はやらなくてはいけないのもわかっているけれども、一度しかない若い時代の今を楽しもうと向き合っていたのだ。
主人公だけが、目を逸らし続けていたのだ。

蒼介は青春そのもの。
彼と向き合うことは、今このときにしか存在しない青春と向き合うことだった。
だから滴り落ちる汗をシャツで拭うほど、暑い中を全力で走って、彼を追いかけて、ありったけの声で叫ぶのだ。