ビックモー太郎
赤井あおい
ビッグモー太郎
むかし、むかし、昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔昔、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは除草剤を使わずに山へ芝刈りに、おばあさんは川へ(資金洗浄でない方の)洗濯に行きました。
保険金の水増し請求のせいでしょうか、いつもよりも少し増水した川で洗濯をしていると、向こうのほうから、どんぶらこ、どんぶらこ、どんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこどんぶらこ、とビッグな桃が流れてきました。
「おお、なんてビッグな桃だろう。持って帰っておじいさんに食べさせてあげよう」
そう言っておばあさんはビッグな桃を背中に担ぐと小さな身体で何とか家に持って帰りました。
家にあった大きなまな板の上にビックな桃を置いて、上からストンと包丁を下ろすと中からビッグなボーイ……ではなくビッグな赤ん坊が生まれました。
二人は驚きながらもとても喜んで、名前を付けて育てることにしました。
「さて、どんな名前がいいかねえ」
「ビッグな桃から生まれてきたんです。ビッグモー太郎がいいのではないでしょうか」
「ビッグ桃太郎ではなくビッグモー太郎の方がいいのかい?」
「はい、どうしてもこの名前にしておくことで、彼が将来大きなことを成し遂げてくれるような気がするのです。」
おばあさんのそんな思いから名づけられたビッグモー太郎はすくすくと育ち、体格が良くてスーツの似合う立派な車の整備士になりました。
ある日、ビッグモー太郎の耳に、鬼がなんだか悪いことをしているという知らせが入ってきました。その内容とは、鬼が経営する中古車販売店、オーガモーターが保険金の不正受給や客の車を故意に傷つけたことによって保険金を水増しで請求していたと言ったものでした。
整備士であるビッグモー太郎は正義の心から、オーガモーターを何とかしたいとおばあさんに相談をしました。
「そうかい、だったらあんたはこれをもっていくといい」
そういっておばあさんが手渡してくれたのは真っ白なボールのようなものでした。
「おばあさん。これは?」
「ゴルフボールじゃ。それからアイアン」
「ああ、打つための……って僕はこれからゴルフ場に行くんじゃないんですよ」
「知っておる。だが、きっと役に立つだろう」
オーガモーターへ向かう道中、犬、猿、雉、に出会ったものの、全員からゴルフボールは別に要らない。と言われたため、ビッグモー太郎は単身でオーガモーターへ訪れたのでした。
「いらっしゃいませ。ようこそオーガモーターへ」
店に入ると数名の鬼のスタッフがせこせこと働いている。
「今日はどういったご用件で」
「お前らの悪事を全て白日の下へ晒すためにやってきた」
数名のスタッフが何やら上司を相談した後に、奥の部屋から明らかにオーラの違う店長の鬼がやってきた。
「ここで暴れて車が壊れてはいけない。私と向こうの空き地で一対一のタイマンをやりましょう。」
「いいだろう。俺が勝てばお前らの店は閉店させ、俺が新たにクリーンな中古車販売店を作る」
「私が勝てば、あなたはわが社で整備士として働いてもらいましょう」
一人だけついてきていた小鬼の合図で試合が始まった。
「うおらああ死刑死刑死刑死刑」
開始の合図と同時に凄まじい速度で距離を詰めるインファイターの店長鬼。
モー太郎は冷静に距離を取ってドライバーから放たれるゴルフボールによる遠距離攻撃。しかし、それは命中するものの大きなダメージを負わせたようには思えなかった。
常に直進的な動きでモー太郎を追いかける店長鬼。戦況が変化したのは彼の様子が変わったからであった。
「ゴルフボールを人に当てるな。ゴルフを愛する人への冒涜だ……」
「教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑」
「教育教育教育教育教育」
教育モードの鬼は先ほどよりも一層動きが素早くなり、モー太郎はアイアンを捨て素手で逃げ回らなければいけなくなってしまう。
ついに追い詰められたモー太郎、目の前には「死刑」モードの鬼。覚悟を決めて殴り合う必要があった。オーガモーターの数々の不祥事への怒りを込めて、最初で最後の真っ向勝負が展開される。
「うおおおおお死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑」
「うおおおおお教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育」
教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑
___________
どん。最初に倒れたのは鬼であった。モー太郎は見事勝利したのである。
そうして勝利したビッグモー太郎は、オーガモーターを買取、ピーチモーターという中古車販売店を立ち上げたのでした。
めでたし めでたし
この物語はフィクションです。実際の企業とは一切関係ありません。
ビックモー太郎 赤井あおい @migimimihidarimimi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます