他の読者のレビューにもある通り、「春」にぴったりなやさしい物語でした。
でも個人的には・・・ジレジレのマル嬢とダニー氏に対し
「惜しい!もうひと越え!」
「ダニール、男を見せろ!」
「マルーシャ、違う、ヒラヒラはそうじゃない(笑)」
物語を読み進めるたび、何度二人のモダモダな距離感のじれったさに突っ込んだことか。でもその間を取り持つキュートなミュシカの存在がいい感じで緩衝材になっていて、読み終わった後の達成感は・・・まるで初めての学芸会で幼子の成長を見て涙する親の気分でした。
寒くなったこの時期、温かいお茶を飲みながら
「春・・・早く来ないかなぁ」
と思いを馳せるにぴったりの物語、ぜひご堪能ください。
マルーシャはある日、少女ミュシカとその伯父ダニールに出会いました。
二人がマルーシャに告げたのは驚きの事実。売れない時計職人の父と共に庶民的な生活を営んでいたマルーシャですが、実はなんと、春につながる妖精だったのです!
マルーシャとダニールは出会ってすぐに惹かれ合い、なんと交際0日で結婚することに。
姪のミュシカと三人で、さっそく新婚旅行の始まり始まり……。
本作は、とにかく優しい読後感が素敵です。
言葉選びやキャラクター達の言動がふんわりとして優しく、ページを捲るたびに微笑みが止まりません。(もちろん危機もありますが!)
春につながるマルーシャの物語は、春の日差しのように優しくあたたかで、いつまでもずっと見守っていたいほどです。
読み終えた時、きっと皆様の心にも春が訪れるはず!
おすすめです。
やさしい語り口ではじまって。
親しみやすい主人公さま、まわりのみなさん。
魔法のような不思議なちからは、丁寧な描きかたでごく自然に、あたりまえのようにそこにあって。予期せぬ婚姻、夫となるひとのこころをゆっくりとひらいて、ぎゅっとなるような事件をみなで解決して、そうして。
穏やかで、しずやかで、ことばなどかける必要もないほど満たされた愛を、家族のつながりのなかで、見つけ出して。
季節が巡る。
春と冬が、巡る。
しずかに、やさしく、穏やかに。
微笑みのかけらがあつまったら、きっと、こんなおはなしになると思います。
大好きです。
わたしは、このおはなしが、大好きです。