第2話 うるさいんだけど


「…あーーもう、わかんない!!」

2階の自室で1人頭を抱える。


先程母に夏休みの課題を全く終わらせていない事がバレてしまい、やれと脅されたので仕方なく解いている所存である。

「数学とかまじ要らないでしょ…何処で使うんだよ…。」

学生誰もが1度は言ったことのある台詞を吐きながら無心で解く。


「(1)と(2)答え逆なんだが!!はぁ!!??」

うら若き乙女としてあるまじき悲鳴をあげるが、家族は何も言わない。

何故ならば、1階で楽しくゲームをやっているからだ。

おいおい母さんや、人には命令するのに貴女様はいいご身分ですねぇ!てか弟も宿題終わらせて無いのに!お父さんは…特に無いな。

そんなくだらない事を考えながら教科書を捲る。

またまた難問が私を阻んで来た。クソが。

てかもう良くない?大体解いたよ私。

…大体という言葉の定義を曲げれば大体だし、終わっても良いよね?

うん、いいよ!

そんな茶番を頭の中で繰り広げ椅子から降りた瞬間。


ピコンッとLINEの通知が届いた。

母からだ。

お、これはもうそろそろ勉強やめていいよっていう意味ですな!

そう思い内容を見る。


『うるさいんだけど』


えっ酷くね

あ、数学と戦っている時の悲鳴の事かな?


『何?』


追いLINEきた。

えっと…『数学と戦ってた』…っと。送信。


『今も?』


今?


『さっきからずっとあんたの部屋から奇声聞こえるんだけど』


は?何言って


『今も』


『ずっと』


『ずっとずっと』


あ聞こえ



『あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』



『って』


『あれ』



『聞こえなくなった』

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ひとりきり 街灯 @kigakarichan

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