読み終えた夏の終わり、グリッサンドで消えていく

タイトルから、音楽の話かしらんという期待を良い意味で裏切ってくれる。
本棚に並べられた本が奏でるハーモニーはどんな感じだったのか、興味をそそられる。

書き出しの「──高校生には、難しいんじゃないだろうか」のつぶやきが、これから始まるお話を物語っているようで素敵。
四年目にしてようやく一人、読んでくれる人が現れた。
栞は、本当に嬉しかっただろう。

本を借りたあとの隙間で音が奏でられていく発想が素敵。

おもしろいには、笑える面白さだけでなく、趣深いという意味合いもある。
凛は、栞の「その本、おもしろいよね」から後者を読み取って、自分の感想を語ったのである。
不思議な生徒だった凛と、最初のコミュニケーションが取れた感じがする。

読み終えてスクロールしていると、素敵なタイトルだと思った。

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