ただもう一度、会えないままで、また蝉が鳴く

蝉の声のようにじわじわと侵食されていくような怖さがある。

一年で十センチも伸びたのは、すごい。

「そうやって慣れてる時に限ってなんか起こんだ。気ぃ緩ませなよ」
祖父が一番、緩んでいたのでは。
石段の前の道を歩かなければよかったのに。
負い目があったから、両親に気をつけなくてはいけないと念を押すような話をしたに違いない。

本作を読んだ後、蝉の鳴き声が気になるかも。