第17話 私に安らぎを与えるもの

おまえはたくさんのことを語った―—でも何か

見知らぬ初めての感情をくれたわけではない

おまえはただ隠れていた想いを呼び起こしただけ

雲に閉ざされていた陽の光が一瞬

はるかな視界を輝かせるように


奥深く―—我が魂の中に閉ざされて

その光は人の目には見えなくとも

けっして消えることなく燃えている―—影たちの揺らめきを

そのやさしい光が消すことができないとしても―—

この陰鬱な洞窟の中で


私はいらだってはいなかったか? この薄暗い道を

たった一人あまりに長い間歩き続けることに

周りにはみじめな者たち、望みのない日々を

ほめたたえるかさもなくばわめきちらす

それぞれの逆上の舌で


ため息と同じくらい悲しいほほえみを浮かべる

みじめさの兄弟姉妹たち

彼らの狂気が、日々、私を狂気に追いやり

私にとって最上の幸せさえ苦悶に変える

私の目の前で


だから、私は立った、天のまばゆい太陽の中に

そして地獄の燃え上がる炎の中に

我が魂は二つの調べを一度に飲み干した

天使の歌と悪魔のうめきとが入り混じる調べを

我が魂が一人で耐えてきたものが何か

ただ我が魂だけが胸の中だけで知っている


嵐にあおられて舞い上がる

海の上の柔らかい空気のよう

どこかの冬の草原の雪だまりを

静かに溶かす雪解けの風のよう

いや―—どんなやさしいものもおまえをたとえられようか

恵みぶかい、私に安らぎを与えるものよ


さあ、もうちょっとだけ話して

このいらだつ心を安らかにして

荒んだ心がやわらかく溶けていく間

そのあかしを他に探さないで

ただ、我が頬にあふれるこの涙を見て

それこそが私の感謝のしるし

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エミリー・ブロンテ詩集  @hasumiruka

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