第16話 私を弁護せよ
おお、今こそおまえの輝く瞳が答えなくてはならぬ
目の前で理性が、顔をしかめて
ぶざまにころんだ私をあざけっているのだ
おお、おまえの滑らかな舌で私を弁護せよ
そして語るのだ! なぜ私がおまえを選んだかを
厳しい理性が判決を下そうとしている
陰鬱のありとある衣装を身にまとって
おまえ、我が弁護士よ、口がきけないのか?
何をしている、輝く天使よ、口を開けそして語れ
なぜ私がこの世界をうち捨てたかを!
なぜ、私が避けつづけたか
皆が行く普通の道を避け
なぜ一つの見知らぬ道を旅してきたか
目もくれなかった、富や権力のごときものに――
栄光の月桂樹にも楽しみの花にも
確かにかつては神聖なものに見えたこともある
それらはおそらく私の誓願を聞いたろう
それぞれの祭壇に私の貢物を見ただろう―—
だが心のこもらぬ贈り物はまず報われぬ
だから私のそれはあたりまえにさげすまれた
それで私の覚悟は決まった
その祭壇を二度と追わぬと誓った
私の魂をおまえへの崇拝にささげた
おまえ、永遠の生命の、まぼろしの存在――
私の奴隷、私の友、そして私の王よ!
私の奴隷、なぜなら、今でも私はおまえを統べ
私のきまぐれな意のまままに
おまえの力を良くも悪くもひきだせるから―—
私の友、なぜなら、昼もそして夜も
おまえは我が心によりそう喜び―—
我が最愛の痛み、傷つけやけどさせ
この世のわずらいへの思いを遠ざけて
涙から祝福をしぼりだしてくれる
そしてなおかつ、お前は王なのだ-思慮はいつも
反逆せよとお前の臣下に教えてきたのだが
さあ、あそこへの我が崇拝が間違っているというのか?
そこでは誠実は決して疑うことなく望みは決して失われることはない
なぜなら、そこでは私自身の魂が我が祈りを聞き入れるのだ
口を開いてくれ、幻想の神よ、私を弁護せよ
そして語るのだ! なぜ私がおまえを選んだのかを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます