殺人鬼の主人公が死後、人工的に構築された地獄で生き直すお話。
あなたは地獄に堕ちたことはありますか?
愚問でした。しかし、一度この小説を読んで地獄に堕ちたあなたは、目まぐるしく生き狂う世界観に心酔するかもしれない。そんな中毒性を本作は秘めているのだ。
地獄で死んだら虚無の世界へ永遠に葬り去られる設定。
虚無送りの刺客がすぐそこまで迫り来る戦慄たる臨場感。
戦闘は日を追うごとに激しさ増し、勢いが止まらない。
感じたことのない高揚感に入り浸れる、こんな地獄は初めてだ。
疾走感溢れるストーリーに、躍動する狂気たる本能。
軽妙洒脱な文章力が著者の最大の魅力だと、地獄のDJ閻魔様も太鼓判を捺すだろう。
ではでは早速、逝ってみっか、読んでみっか!
どこまでも地獄感垂れ流し!
痛快! ピカレスクロマン小説!
とんでもなく面白い。独創的であり、会話も上手く、物語の構成がプロのそれを思わせる。
解き明かされる巨大な謎、迫力のある戦闘シーン、登場人物は作中で間違いなく生きている。好みの問題もあるが、これほど素晴らしい小説を書店で買わずして読めるとは!
とはいえ、書籍化されたらすぐに買いに行く。作者には「小説家」としてこれからも活動をしてほしいからだ。近年の出版不況で、淘汰されてはならない小説だと思った。正直なところ、最近の商業作家にはどこか物足りなさを感じている。
リアリティを伴う小説が、少ないからだと思う。職業としては営業も致し方ないが、小説に対する熱意や「これだけは書きたい!」というアイデンティティを感じさせないものが多い。
その点、この小説には陶酔した。
書籍化を求む!