綺麗な先輩が、ボクっ子敬語キャラの属性付与されたので最強です
地下1階
綺麗な先輩が、ボクっ子敬語キャラの属性付与されたので最強です
「綺麗だ」
「え?」
しまった。つい心の声が漏れてしまった。
「ごめん。あんまり綺麗だったので……」
目をぱちくりさせた制服の少女は辺りをキョロキョロと校舎裏を見回してから不思議そうな顔を俺に向けた。
「あ……、君がとても美人過ぎて驚いただけ」
少女は面食らった表情の後に柔らかく微笑み、
「ありがと」と軽く返した。
成る程、美人と言われ慣れてるのか。自分が美人だと自覚しているんだな。
「凄いな。高校生ともなるとこんな桁違いな美少女ホントに存在するんだ?」
「あはは、口説いてるの?」
「は? 俺が? こんな美少女を口説く? いやいや、身の程をわきまえてるよ。君みたいな美人は視界に入るだけでラッキーって言うか、まあ、こんな幸せなことはないね」
「むっちゃ、口説くじゃん」
「口説いてないって。天使を自分の物にしようなんて、そんな烏滸がましい」
「あはは、ついに天使になっちゃった」
「あー、悪い。語彙が貧困なもので……。こんな奇跡みたいな存在を的確に表現できないな」
「もう……」流石に少し照れたような表情になった。誉められて嬉しくない人なんていないよね。
「いいよ、付き合ってあげる」そうイタズラっぽい顔をした。
「いや、口説いてないって。俺じゃ釣り合わないから遠慮しとく」
「は?」流石にムッとしたらしい。しかしすぐに楽しそうな顔に戻す。
「むっちゃ表情変わるね。何この可愛い生き物?」
「たらしか、君は?」
「失礼だな。こんな美人を褒めない方がおかしいだろ」
「はいはい。口説いてないならそんなに褒めてどうしたいの?」
「え?」ちょっと考える。「どうもしないけど。できたら名前ぐらい教えて欲しいかな? 後はそうだな……、遠くから眺める許可ぐらい欲しいかな?」
「あー、私と付き合うならいいよ」
「え? ムリ。幸せすぎて死ぬ」
「じゃあ、遠くから私を盗み見するの禁止」
「あ、はい。付き合います」
少女は面白そうに、してやった顔をした。
「うわ、むかつく。ヒドイ脅迫だ。そんなの断れないだろ!」
「ところで何してるの? こんなところで」高校の校舎裏。物置小屋の前にこんな美少女はそぐわない。
「入学式の準備だよ。君、新一年生だよね?」
「そうだけど。君も一年だろ?」
今日は高校の入学式の日。新一年生しか登校していない筈。
余裕を持って早く登校したら、早く来すぎて高校の敷地を散策していたところだ。
「私は2年だよ」
「え? 今日は一年だけじゃ?」
「生徒会役員だから入学式の手伝いに駆り出されてるんだ」
「あ、先輩でしたか。すみません」
「いいよ、タメ口で。付き合ってんだし」
「そんなわけには……」
「タメ口にしろ」
「あ、はい」
「君、名前は?」
「芦原総司です」
「ですます、やめろ」
「あ、はい」
「私は安達友里」
「安達先輩ですか」
「友里」
「友里さん」
「友里!」
「友里」
「良くできました。敬語禁止な。むしろ雑に扱え」
「雑に扱われるのが好きなんですか?」
「……、時間がないからその話は後で。それから敬語やめろって言ってる」
友里はスカートのポケットからスマホを取り出して何かを確認した。無音通知でもあったのか。
「集合時間だ。総司も受付始まるから、体育館に行け」
「はい」
睨まれた。はい、って返事も敬語なのか?
「連絡先交換しよ」
入学式のあとは両親と食事に行った。入学祝らしい。
帰ったら友里からメールがきた。明日放課後に教室まで迎えにくるように書いてあった。明日は始業式だけで午前中には学校が終わる。
絶対に敬語禁止と念を押された。何か意味があるんだろうな。
気を付けよう。
放課後友里の教室に向かう。メールでクラスと場所が書かれていた。
本当は新しいクラスメイトたちと交流するべきなんだろうけど、新しい彼女も大切。
「すみません。安達友里、呼んでください」友里のクラスの入り口で近くにいた男子生徒に呼び出しをお願いした。2年の先輩を呼び捨てにするのもどうかと思ったが、敬語禁止と言われていたから。
「安達、1年が呼んでるぞ」
何人かのクラスメイトの中心で談笑していた友里がこっちを向いて太陽のような笑顔を向けた。
眩し! この距離でも俺の目を潰すつもりか?
友里が跳ねるように駆け寄ってくる。むっちゃ良い笑顔。
「総司くん!」嬉しそうに俺を見上げてくる。可愛い。
「呼んどいて何やってんだ? 帰るぞ。早くしろ」雑に扱うって、こんな感じかな?
「あ、ごめんなさい。すぐ用意しますから!」叱られて嬉しそうな顔をする。どうやらお気に召したようだ。
友里は慌てて席に戻り、「ごめん。彼氏待たせてるから」と言ってカバンをとり、返事も聞かず駆けに戻ってきた。
どうやら「彼氏」を強調したかったようだ。
「お待たせしました」そう言ってカバンを持っていない方の腕を俺の腕に絡めてくる。
「帰ろ?」体も頭も俺にしなだれかかってくる。
これがバカップルか……。
「で、今のあざとい演技は何なんですか?」教室から十分離れてから小声で訊いてみる。
「彼女アピール」
「誰に向かって?」俺は競争率低いから、彼女アピールする必要なんかない。
「全方向にだよ」
「何でそんなことするのですか?」
「あー、むっちゃ告白されるし、告白されなくてもそんな目でみられるし……。断ったり、気づかないふりするのも大変なんだ」
「お疲れ様です。で、胸当たってるんですけど」
「彼女アピール。何? 彼女のおっぱい当たって嬉しくないのか?」
「んー、あざとさが鼻につくかな?」
俺がそう言うと、友里は更に胸を押し付けたきた。
「あ、はい。嬉しいです。意外と大きいのも柔らかいのもわかりました」
友里はクスクスと笑う。
「敬語やめろ」
「付き合うといえば、放課後制服デートだろ?」
「それは憧れますね」
「今してるだろ」
クレープ屋さんに入る。
「デートでクレープとは、あざとい」
「あざといのが良いんだ。どれ食べたい?」
「自分で払いますよ?」
「奢ってやる、後輩」
「こういう時だけ後輩扱いですか?」
友里は笑ってごまかした。
「ごまかしかた可愛いな」
俺の分は買って貰ったが、友里は自分の分は買わなかった。店から出て公園のベンチに並んで座る。
「僕だけ食べて良いんですか?」
「あれ? 君、昨日は『俺』っていってなかった?」
「タメだと思ってましたから」
「……、『俺』って言え」
「嫌ですよ」
「んー、『俺』がいいなー」
「あー、じゃあ先輩は『ボク』で」
「ボクっ子が好きなのか? わかった、ボクは『ボク』って言うよ。だから総司は『俺』な」
「いえ、別にボクっ子が好きな訳じゃないです」
「なんだよそれ」楽しそうに笑う。
買って貰ったクレープを食べていると、「一口ちょうだい」と顔を近付けてきた。
クレープを渡そうとすると、手に取らずにいきなりかぶりついてきた。
「可愛いな、おい!」
「ボクは可愛いだろ?」そう言ってこれ見よがしに舌を出して唇の周りをなめた。
「あざとすぎる! あとボクっ子可愛い!」
「おい、ボクっ子は好きじゃないんじゃなかったのか?」
「先輩なら『おいら』でも『拙者』でも可愛いと思います」
「言わないよ。流石にそれは」
クレープを食べ終わると、友里は包み紙をビニール袋に入れてカバンにしまった。ゴミ袋を持ち歩いているらしい。
「買い食いのあとは何がしたいですか?」
「いっぱいしたいことあるよ」そう言って俺の目を覗き見てくる。
「彼氏できたらしたい事と言えば……、キス……とか……」
? え? 何て?
「えーと、まるでキスしたことないような口振りなんですが?」
「したことないよ! 彼氏もいたことないよ!」
「いやいやいや、先輩ほどの美少女が、彼氏いなかったなんて事あるわけないじゃないですか」
「総司が初めての彼氏なんだって!」
「あ、気をつかって貰わなくて大丈夫ですから。僕は処女厨じゃないので」
「私は処女だよ!」
「公園の真ん中で何を叫んでるんですか」
「うっ……」流石に顔を赤らめて黙った。
「そういう総司は彼女いたの?」
「は? 僕ですよ? いるわけないでしょ?」
「何で自慢気なのさ」
「事実を言ってるだけです」
「そうか? 私は総司は格好いいと思うけどな」
「ないない」
「私には総司がカッコ良く見えるんだ」
「あー、それはありがとうございます。でも先輩は誰が見たって美人ですよ」
「そんなの見る人の主観だろ。総司に私が美人に見えてるならそれでいいよ」そしてふと視線を反らし、「好きな人に可愛いと思われなかったら、他の誰が可愛いって言ったって無意味だろ」と呟いた。
この話題は広げない方がいい。
俺は友里の顎に手を添えて俺の方に向けさせた。
軽くキスをする。
友里はビックリした顔をして、「いきなりだな」と顔を赤らめた。
「キスしたかったのでしょ?」
「あー、うん」少し照れたようにモジモジしてから、もう一度俺を真っ直ぐに視線を合わせる。「物足りない」
顔を近付けると友里は目を閉じた。もう一度唇を合わせる。今度は舌を入れてさっきよりは長くキスをする。
唇を離す。友里はゆっくりと吐息をつく。
上目づかいに潤んだ瞳で俺を見上げる。
「満足できましたか?」
「あ、うん」上気した友里はとても綺麗だ。
「君、キスし慣れてないか?」少し拗ねたように目で見てきた。
「僕も初めてですよ。先輩が」
「そうか?」
「僕だっていっぱいいっぱいなんですから!」
「あー、ごめん。別に私が初めてじゃないからって怒ってないから」
「なんで信じないかなー」
「ごめんって。そこ、こだわらないから」
友里は満足したのか、今は俺の胸にしなだれかかっておとなしくしている。友里の背中に片手を回して軽く抱き寄せていた。
「ねえ、先輩。むっちゃ目立って恥ずかしいんだけど」
「さっきあんな情熱的なキスしといて?」
「先輩がしろって言ったんですー。きっと同じ学校の人にも見られてましたよ?」
「ん、もっと私をマーキングして」
「もう十分目立ってますよ」
「ん……」
これだけじゃ十分じゃないのか?
もたれている友里の頭を押して少し離す。
友里が期待した目で見てくる。
友里の頭を少し押して首を傾げさせた。友里は目をつむる。
首筋にキスをする。強く吸った。
「ん……」痛かったのかくぐもった声を漏らしたが、おとなしく吸われていた。
顔を離す。首にうっ血の後が残った。
制服のブラウスの襟元に手を掛ける。襟元を広げて胸元を晒す。
友里はジャマにならないように顎を上げる。
鎖骨の近くにキスをした。
「鎖骨にキスマークってエロいですよね」
「ん……、ありがと」友里はスマホを取り出すとインカメラで手鏡にする。自分の首筋を写して見ていたが、ブラウスのボタンを一つ外した。
首を傾げて俯瞰で自撮りする。
首筋と鎖骨のキスマークが一緒に写った自撮り写真を満足げに確認していた。
次の日の放課後も友里に呼び出された。
校門前で友里とその友人が俺を待っていた。
友里の他は男二人と女一人だった。男女比2体2でバランスがいい。俺が入ったらバランスが崩れるな。
「付き合いだしたばかりのカップルのジャマすんなよ」友里の不満気な声が聞こえた。
「友里の彼ピとも一緒に遊びたいよー」女の楽しそうな声。
「友里が彼氏作るのって初めてだから、気になるだろ。おかしな奴だったら別れさす」軽く言ってはいるがどこか真剣な男の声。
「元樹には関係ないだろ。ほっとけよ」友里が不快さを隠さずに反論していた。
「お前ら、総司に変なこと言ったら許さないからな」俺の彼女さんは今日は機嫌が悪いらしい。
「友里、俺に言えないことでもあるのか?」友里は俺に気づいてないみたいなので声をかける。別に俺は不快でもなかったが、少しイラついた声を出してみた。
「あ、総司くん、何もないですよ」友里が媚びたような笑顔で俺の腕に絡み付いてきた。
「人前でベタベタすんな。恥ずかしい奴だな」友里の頭を乱暴に押し返す。
「ごめんなさい」友里はしおらしく謝るが、絶対喜んでる。俺は友里の希望通り、雑に扱えているようだ。
「で、何なの、これは?」できるだけ不機嫌そうに言ってみる。
「友達が総司くんを紹介しろってうるさいから。呼び出してごめんなさい」
まあ、大体わかっていたけど。
「なら、ちゃんと紹介しろよ」
「あ、はい。えっと、ボクとお付き合いして貰っている、芦原総司くんです」
「芦原です。初めまして」相手は先輩なので丁寧に挨拶した。友里も先輩なんだけどな。
友里の友達を紹介された。
男が元樹と颯大。女は清香と呼ばれていた。名前で呼び会う程度には仲が良いらしい。
同じクラスらしいが、友里は生徒会。後の三人はそれぞれバラバラの運動部らしい。この四人の接点がよく分からない。
カラオケに連れてかれた。
「総司くんは何を飲みますか?」飲み物はセルフのドリンクバーだった。
「じゃあコーラで」友里に訊かれたので適当に頼んだ。いつもなら自分で取りに行くところだが、友里が彼女アピールしたいらしいので好きにさせる。上級生の彼女をパシらせるって、二重に感じ悪くないか?
後の三人も飲み物を取りに行ったので、俺一人で待つ。最初に出ていった友里が最初に戻ってきた。
「はい」俺の前にコーラを置く。
「何か僕、感じ悪くないですか?」
「ごめん」友里は目を伏せて謝ったが、このスタンスを変える気はなさそうだった。
うつむいた友里の襟元に指を入れて広げる。一つ目のボタンを外したブラウスの襟元からキスマークが見えた。
今日は1日第一ボタンを外していたのだろう。首のキスマークもちゃんと残っていた。
「ねえ、二人はいつから知り合いだったの?」清香さんは女性らしく恋話に興味津々だった。
「入学式の日です」
「え? 2日前?」
「そうですね」
「付き合いだしたのは?」
「入学式の日ですよ」
「会ってその日の内に?!」清香さんは目を輝かせている。後の男二人は意外そうな顔をしていた。まあ、そうなるよね。
「今まで告白されても全部断ってたのに、どうやって口説いたの?!」
「待って」友里が口を挟む。「落としたのは私だから」
口説いたのと口説かれたのでは何かが違うらしい。
「え? 友里が口説いたの?」清香さんは納得いかないって顔をする。
友里が俺を口説くことがそんなに意外なのか?
「こんなにカッコ良くって可愛い男の子、口説かないわけがない」
「友里、ショタコンだったのか……」颯大さんが驚愕していた。
「道理で先輩や同級生の告白はお断りするわけだ」元樹さんが続ける。
「ショタコン言うな」
「ショタコンだよな!」颯汰さんが突っ込む。
「そうだけどー!」友里が開き直る。
ショタコンって小学生とか相手にするんだよね? それ、犯罪だから。
「こんなこと言ってるけどいいの? 総司くん」颯汰さんが俺にふった。
「え? まあ、友里は顔は良いですから」
「顔だけなんですか?」友里が媚びてくる。
「会って2日程度で何がわかるって言うんだよ」本当に俺のどこが良いって言うんだろうね?
「総司くん、ボクと歌いませんか?」
「やだよ、恥ずかしい。一人で歌え」
「えー、ボクといっしょに歌いましょうよー」友里がベタベタしてくる。
あまりにも可愛くって持ってかれそうになるのを踏みとどまる。これ絶対に俺の方がダメージでかいよね?
「これ、誰?」誰かの呟きが聞こえた。
友里のキャラ崩壊が別人レベルだと。たぶん全員が同じこと思ってる。
「延長する?」颯汰さんが時間終了の内線を持ったまま皆に尋ねた。
今日は一時間しか押さえていない。
「帰るよ!」友里がすぐに反応した。
「えー、もっといようよー」清香さんも反応する。
「お前ら、付き合い始めたばかりの二人の時間をジャマすんなよ! お前らが付き合いだしたときはそっとしといてやっただろ!」
友里が照れ隠しの範囲を越えて怒りだした。
元樹さんと清香さんは罰が悪そうに顔を見合わせる。この二人は付き合ってるのか? あんまり恋人らしく見えなかったけど。
「すみません。友里がこんなんなので今日は帰ります」流石に友里が可愛そうだ。俺もよく知らない先輩と長時間いっしょにいるのは気を遣う。
友里の友人たちとの別れ際も、友里は俺の背中にくっついていて一言もしゃべらなかった。
三人がどこか違うところに遊びに行くのを見送っても友里は背中にくっついたままだった。
「先輩、もう見えなくなりましたよ? 拗ねてるふりはやめましょうよ」
友里はまだ背中に引っ付いたままで返事をしない。
本当に拗ねてるのか?
背中側に腕を回して引っ付いている友里を引き剥がす。拗ねてうつむいている顔を両手ではさんで顔を上げさせた。
そして軽くキスをした。
友里が驚いた顔をして辺りに視線を泳がす。
まだ明るい夕方の町中。とんだバカップルだな。
「お友だちはもう見えなくなりましたよ? それとも見られてるうちにキスした方が良かったですか?」
友里が、あっ、て顔をしてうつむく。しかしすぐに顔を上げた。
「したいときに好きにしろ」
「えー、好きにしていいんですか? 町中でおっぱい揉むのもOKですか?」
「は? えーと、あー」困った顔の友里は可愛い。「家に来る?」
「……先輩の家、今、誰もいないのですか?」
「えーと、ごめん。もうすぐお母さんがパートから帰ってくる」
「あー」
「ごめんね」何かとてもすまなさそうな顔をしてる。
「いや、そんなにさかってないですよ? そんなには」
「もう一回、カラオケ行く?」
「絶対歌う気ないですよね?」
「ない」
「……、先輩の家に行きましょう」
「親いるけど?」
「挨拶しますよ」
「え? ……そう?」
二人ならんで友里の頭を家に向かう。
「清香って可愛いだろ?」友里は他愛もない会話のなかに、他愛もない話題のように紛れ込ませてきた。俺の腕に抱きついている両腕の力が入ったので、紛れ込ませられてなかった。
「清香さん、可愛いですね。先輩も清香さんもとても美人だし、元樹さんも颯汰さんも顔面偏差値高いですよね。そういえば、美男美女でクラスカーストトップグループ作る習性、何なんですか?」
「知らないよ」
「えー、先輩、それは無理がありますよ。わかってやってますよね?」
「……怒ってる?」
「怒ってませんよ。ちょっと僻みが入ってるくらいで」
「ん……、妬まれるの面倒なんだよ」
「あの三人なら先輩の美貌に僻んだりする必要ないですよね」
友里は黙って聞いている。
「清香さんは美人ですよね。先輩と違うタイプで、どちらかと言うと可愛い系ですよね。人当たりがよくていつも楽しそう。ポジティブなところが周りの人もつられて元気になれそう。清香さんに話しかけられたら、ほとんどの男子は勘違いして好きになっちゃいそうですよね」
「すらすら褒め言葉が出てくるね、君」
「人の良いところを探す方が心は平穏を保てますよ?」
「それで私と会ったとき、あんなにすらすら歯の浮くようなことが言えたのか」
「全部思ったことを言っただけです。先輩ほど美人は見たことないです」
「ありがと。テレビや雑誌には私以上の美人はごろごろいるよね」
「実際に会ったことない人なんて知りませんよ」
「そうか」
「私に嫌なところはない?」
「それを言っても、僕にも先輩にも良いことないですよ?」
「つまり私にも嫌だと思うところがあるんだ?」
「それはまあ……。先輩に限らず欠点のない人なんかいないし。僕に限らず誰だって不寛容な感情はあるでしょ?」
「私は君に嫌われたくないと思ってる。直せるものなら直したい」
「……無理ですよ。三つ子の魂百まで、ですよ」
「……私は君の、その見透かしたような物言いが嫌い」
「はぁ……、何でわざわざ波風立てるかな……。ボクへの罪悪感なら不要ですよ? 僕もわかってて先輩と付き合ってるのですから」
「ごめん」
「謝らないでください。当て付けで僕と付き合ってるのでしょうけど、先輩みたいな美人と付き合えるのだから僕にはメリットしかないですよ?」
「そう言って貰えると助かる。私には見た目以外の取り柄がないんだよ」
「何の取り柄もない僕にケンカ売ってますか?」
「私には君が十分魅力的に映ってる」
「元樹さんと比べても?」
友里は黙ってしまった。まあ、それが答えだね。
「私は清香に負けてるとは思えない! 私の方が絶対可愛いんだよ!」
「……、まあ先輩の方が美少女だよね。でも先輩は美人過ぎてちょっと怖いかな。僕なんかが付き合って良いのかな、て思ったりするし。
清香さんも綺麗だけど、どっちかと言うと親しみやすい可愛さとか愛嬌があるから。人によっては先輩より清香さんを選ぶ人もいるよね。
元樹さんが選んだのは清香さんだった。それだけの事です。仕方ないんです」
「みんな私を美人だとか言ってちやほやするけどさ……。好きな人に選ばれなかったら意味ないよね……。元樹に選ばれなかったら意味ないよ」
友里は俺の腕に顔を埋めて立ち止まってしまった。
「僕は先輩を選びますよ。清香さんに告白されても先輩を選びます。元樹さんは人を見る目がありません。絶対に先輩一択だったのに。
だって清香さんは腹黒女ですよ?」
「は?」
「いやだって、先輩が元樹さんを好きなことは清香さんだってわかってたでしょ? いつも四人でいたなら。僕だって今日1日いただけでわかるくらい先輩は隠せてないですし。
清香さんは先輩との友情より男をとって抜け駆けしたってことですよね?
先輩の前で、清香さんが元樹さんと恋人らしく振る舞わなかったのは罪悪感からですかね?」
友里は力ない目で俺を見てくる。そして、「ごめん」と言った。
友里も抜け駆けされたことはわかっていたのだろう。
「ごめん。君の主義に反したことをさせてしまったね。そうだね。人を呪うのは気持ちいいもんじゃない」
「清香さんは自分の恋には誠実でした。僕も誠実さでは負けませんよ。元樹さんを忘れるくらい、僕が先輩を愛してあげます。何てったって、僕は先輩の顔が大好きですから」
「顔だけかよ」友里は吹き出した。つい笑わされてしまったのか、強がりだったのかはよく分からない。
「総司が元樹より良い男になって、私を満足させて」
「ハードル高いな、おい」
友里の家の途中でコンビニに寄った。
友里は不透明な紙袋に商品を入れて貰っていた。生理用品とか紙袋に入れて貰ったりするよな。
「違うから。コンドームだから」
「は? 親いるんだよね?!」
「親いても、盛り上がるかもしれないだろ?」
「理性あるから! 我慢できるから!」
「私が我慢できないかもしれない!」
「……。そう……」
友里の母親はまだ帰ってなかった。
流れるように友里の部屋に連れ込まれて、ベッドの上に座らされた。
「ボクってそんなに魅力ないですか?」友里が媚びるような目で誘ってくる。
俺の手は友里にガッチリとホールドされて、彼女の大きくて柔らかいおっぱいに押し付けられていた。
ブラウスのボタンは全部外されていて、下着は捲り上げられていたので、生おっぱいだった。
「そんなに属性ガン積みで迫られても困るから!」
ボクっ子、敬語キャラの美少女とか、抗えないだろ!
「ちゃんと避妊してくださいね」
コンビニで買ってきたコンドームは役に立った。
______________終劇
____________________
読んでくれてありがとうございます。
告知
東方Project 同人誌即売会に参戦します
9月3日 京都秘封
「科学世紀のカフェテラス」
部09 サークル名 地下書庫
短編コピー本
蓮メリ (R18)
あきゅ鈴(全年齢)
綺麗な先輩が、ボクっ子敬語キャラの属性付与されたので最強です 地下1階 @sonosono02
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます