バイトリーダーは白衣の天使
わたしが働いているファーストフード店のバイトリーダーのあだ名は「白衣の天使」だ。看護師だからではない。いつも白い服を着ているからである。そして、天使の羽根を持ち、頭には輪っかがついている。
いや、それ本当に天使だろ?
そんなツッコミが原稿用紙の向こう側から聞こえてくるようだが、わたしもそう思っている。しかし、バイトも社員も皆、そのことには疑問を持っていないようだった。実際彼女は天使なのだろうか?本当のところはわからない。しかし、どうも普通の人間ではないということだけは、職場の全員の共通認識だと思う。なにしろ、今日の白衣の天使はゾウに乗って出勤してきたのだから。
「リーダー、ゾウはどこか別の場所に停めてもらえませんか?ここだと店の営業妨害になりかねないので」
「あ、すいません。どこか近くの駐車場に停めて来ます」
そう言うと、白衣の天使はゾウを移動しに外へ出かけてしまった。そして戻ってきたときには営業時間は終わってしまっていた。
「すいません。ゾウを停める場所がなかったので」
どうやら一旦ゾウを置きに帰ってまた来たらしい。こうして一日が終わった。
「あの、加藤さん?白衣の天使さんの話なんですけど、なんであの人リーダーなんですか?本当に天使だからですか?」
わたしは、一番ベテランそうな社員の加藤さんに疑問をぶつけてみた。
「え?本当に天使だって?それは面白いね」
加藤さんは大笑いしてどこかへ行ってしまった。なぜ白衣の天使がリーダーなのか、結局わからず仕舞いだった。
超?ショートショート置き場 元住吉菜々緒 @esper2000
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。超?ショートショート置き場の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます