最終話 異界全土を征服だぁ!

 私はお義父さんに向き直った。

「……ねぇ。顕界への道がつながらないの、ホンットーに私のせいなの? 茶有に阻止されている気がしてきてるんだけど」

「アハハ。それはない……と思うんだけどね。事例がないから、何とも言えないや」

 お義父さんが頭をかきながら言った。


 お義父さんも協力する、ということで、お義父さんの知り合いと茶有の(数少ない)知り合いの異界を旅して顕界への道がどのようにしてつなげられるかを調べることになりました!

 お義父さんから「顕界人が異界を渡り歩くなんて前代未聞だから、美衣ちゃんの実力を知らない連中から喧嘩をふっかけられることもあるだろうけど、出来る限り穏便にね」と念を押されましたが……フラグかな?

 立てたフラグは回収してもいいけど、あっちこっち出禁になりそうな予感がするー。


「お祓い師の腕がますます上がりそうな予感」

「穏便にって意味、わかってる!?」

 お義父さんがなんか言ってますが、売られた喧嘩は高値で買うのが私クオリティですから!

「父上。大丈夫だ。『鬼嫁』って説明して回る。俺は止められないから美衣の気の済むようにやらせる、ともちゃんと伝えるので、何が起きても相手のせいだ」

 茶有がめっちゃキメ顔でものすごく尻に敷かれているようなヘタレ宣言をした。

 お義父さんは天を仰いだ後、「よし、私もキッチリ『私には止められない』と伝えておこう」とキリッとした顔で言った。わぁ、親子だなー。


 新婚旅行っぽいかな、って思ったんだけど、安中ちゃんとチャーミーもついてくるそうだ。安中ちゃんは初見でも道に迷わないあやかしで、チャーミーは私と安中ちゃんの足となってくれるとのこと。

「よーし! 行く手を阻む者は成敗するわよ! 逆らう者を皆打ち倒し、異界全土を征服だぁ!」

 私が安中ちゃんとチャーミーを従え、腰に手を当て進行方向にハリセンを向けてビシッと決めポーズをすると、

「わぁ。そもそもが道をつなげるために話を聞きに行く、ってこと忘れちゃってるよ。あとさ、私の迷惑って考えてくれてる?」

 ってお義父さんにツッコまれました。

 ちなみに、茶有は静かに微笑んでいます。

「父上。諦めが肝心だぞ。私は気配を消すことを覚える」

 って……つまりは諦観の微笑みなのね。

「冗談だってば。なんか、波乱の予感がするから気合いを入れただけ」

「波乱にならないように穏便にしてくれ、って頼んでいるんだけどね」

 私が言ったらすぐさま返したお義父さん。だって……黙ってやられるのは私の流儀に反するからさ。


 ま、なるようになるでしょう。

 さぁ、まだ見ぬ異界の地へ、出発!







※ 中編コンテストの応募作品のため、これにて完結にいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お祓い専門の巫女ですが、異界に嫁入りすることになりました! ~人間なのに鬼嫁って呼ばれる私のスローライフ サエトミユウ @shonobu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ