27話 インタビューしにいこうよ!
……と、椅子から立ち上がったら折よく茶有が現れた。
昼飯を食べに来たのかな?
「あ、茶有。お義父さんから顕界のお金をもらったよ。これでいつでも顕界に行けるから。……でもって、顕界への道のつなげ方を知りたいんだけど」
茶有がキョトンとした。
そしてお義父さんを見る。
お義父さんは肩をすくめて両手を広げたよ。
いや、そんな外人みたいなアクションを取られてもさぁ……。
「私、別に顕界に行きたくないとか思ってないよ。むしろ資金が出来たことだしさっそく顕界に行きたいのよ。だけど、コツが分からないの。なんでお義父さんのところにつながって顕界にはつながらないのかがね……。思い入れなんてさぁ、ここも顕界もそんなに差はないんだよね。じゃあなんで? って考えてて、たぶんコツがわからないからだって思いついたんだよね。だから、茶有の知り合いで異界に来た顕界人を紹介してほしいんだけど」
お義父さんと茶有が呆れた顔をしている。
そして、二人して顔を見合わせたよ。
「何よその反応は! 正直、私はまださほど困ってないけど、みんながつなげたいって思ってるみたいだから努力しようとしてるんじゃないのさ! 私としては、そんなに茶有を顕界に連れ出したいのなら別の異界から行けばいいんじゃないの? ……って思うんだけど、そうじゃなくてつなげないとダメなんでしょ? だから、実際つなげた人に話を聞こうとしているの!」
憤ったらお義父さんが苦笑し、茶有が困った顔をする。
「ごめん美衣ちゃん。いろいろ考えてくれてるんだ」
ってお義父さんが謝った。
――なんというか、今まで異界の住人たちと接してきて思うのが、隠しているわけじゃないけど全部言ってない、って感触なんだよね。
それを尋ねないのは、私が顕界人だから。説明されても理解出来ない事柄だから言わないのか、異界の者なら知っていて当然の前提条件だから単に話していないのかってことなんだろうな、って察している。
異界には境があるとかあんなんになってるとか、「なんで驚くの?」って反応をされると、私の知らない前提条件がたくさんありそうなのよね……。
だから、まずは異界の常識を知り、説明されて理解出来るところまでもっていかないとね!
茶有は困った顔のまま私に尋ねた。
「……つまりは、他の異界に行きたいということか?」
「イエース」
「…………俺は、知り合いがあまりいないのだが」
引きこもりが告げてきた。
「…………。だから発展がないんじゃないの?」
これ、ホントに私が原因なのかな?
私はわりと積極的に顕界に行こうとしているし、異界を知ろうとしている。
だけどさぁ、主さまが引きこもり極まっているから私の積極性を阻止してるんじゃないの?
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