【第5話】 その動き、いかほどか

部長の赤城です。今日で本番まで4日となってしまった。今日はスタンドプレイの練習らしい。

青吹は適材適所っちゅーやつで俺はスタンドプレイには関わってへん。

今日が初見なので少し楽しみだ。


「須江〜!今日はあかしん来んの遅いから、スタンドプレイから勝手にやっといてって〜」

須江 「じゃあ出欠とったらそのままやろかな。」

「了解した!!」

スタンドプレイ担当は須江と藤村さんだ。演奏会ではYOASOBIの『群青』のスタンドプレイを披露するが、、、、どんな風になったんだろうか。


「はーい出欠とりまーす。」

部長の俺の仕事は、部活のはじめに出欠をとり、今日の予定を伝える。簡単なお仕事だ。

1パートずつ確認していく。

「サックス」

後輩 「吉本先輩分かりません、」

またか、、

王輔は遅刻常習犯だ。生徒会長のくせに。

部活に来ていないと思ったら某テーマパークに行っていた伝説を持っている。不名誉極まりない。

ガララッ

吉本 「、、、」

「よう、社長出勤」

吉本 「違うって!!生徒会の仕事が」

「ハイハイ、はよ座ってくれ」

サックスパート以外は大丈夫そうだ。


「今日は群青のスタンドプレイからします。

なのでこのままここに残っておいてください。」

「「はい!」」

「じゃあ須江さんよろしく」




という訳で、群青の練習が始まった。この曲は前にも演奏会で吹いたことがあるので、演奏自体は正直余裕なのだが、、、

須江 「ここで直管楽器だけベルアップしてください!」

「はい、、」

意外とキツそうで少し怖くなってきた。

峠  「ここ高音出しながらやねんけど、変な音でそう、、」

どうやらトランペットもきついらしい。

須江 「ほんでぇ、Gから最後まで、こう、1拍毎に左から右に、右から左に動いてください」

「ちょ待って、よくわからないです!」

須江 「だからこう、、1拍ずつ山作るみたいに左から右向いて右から左に向くねん。」

「うーんはい!」

あまりわかってないが、とりあえず返事をする。

分からないので隣の峠を見てみると、リズムに乗って楽器を動かしていた。

「あっそーゆーことね!!!むずくない?」

峠  「正直これで吹けるかどうかわからん、」

須江 「はーい聞いてー!最後の音で全員ベルアップね!!バシッと!」

須江が言い終わるのと同時に部員全員が返事をする。そして譜面にペンで書き込んでいく。


須江 「じゃあ吹いてみよか」

「「はい!」」


♬♩♪♪♬


来た!最後のスタンドプレイや!

意気込んで左を向く。

!?!?

動きが速すぎて音が少しズレ出す。

そして何より、、、

「ちょっお前危ないって!!」

松居 「ごめんなさい!でも先輩もズレてますよ多分!」

「うっそぉ!ちょ、無理やって」

楽器を左右に振るので隣の人の楽器にぶつけそうになる。吹奏楽部員にとって命の次に大切な楽器が危険に晒されるのは非常によくない。

「須江!これちょっとキツいわ!何とかして!」

須江 「何とかしててそんな、、でも見た感じ危なそうやったな。2拍ずつにしてみよ!」

今度こそ、、、!


♩♪♪♬♩♬


今度は音はまだ多少ズレるが、楽器がぶつかる危険は無さそうだ。少し安堵する。


須江 「いけそうやな、、これでお願いします!」

「「はい!」」


その後、後から来た赤司先生の指揮でスタンドプレイありの演奏を行った。細かい修正はあったが、赤司先生の反応は割と好感触だった。ナイ須江!



四条 「スタンドプレイの最後の動きヤバない!?めっちゃおもろいんやけど!!!!」

「わかるぅ、周りから見たらええ感じなんやろうけど、自分らはめっちゃおもろいよな」

先に楽器を片付けた四条が正面に座って話しかけてきた。トランペットは片付けが早くて羨ましい。峠が言うには頑張ったら20秒で出来るらしい。

トロンボーンは解体もあるんやぞ!!!


「四条、クラにはよ片付けろって言ってきてや」

それに比べてクラリネットは遅い。

うちのクラリネット達は真面目ちゃんが多いので、ギリギリまで練習する。スワブ通しなど、そもそも片付けるのが遅くなるにも関わらず、、

でも柳原だけはいつの間にか帰っている。

四条 「嫌や!岡山とかシカトしてくるやん!」

「頑張ってきてやぁ」


自分も片付け終わったのでその場を離れる。

今日は塾もないのでゆっくり帰ろう。

本番まで、あと4日。なんだか今回は珍しく自覚がないように感じる。時間が無さすぎるからだろうか、、、当日なんて一瞬で来るんだろうな。

そう、一瞬で、、

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蒼い革命 @seeu_nvl

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