第5話あの子の素顔は

夏も終わり。あの子との夏の思い出を心に残し、僕は彼女に告白をしようと

思っていた。だけど、僕が行動に移そうと思っていた。その日に、

僕は見てしまった。彼女が、他の男と楽しそうに歩いている所を。

僕の視界が真っ黒な闇に包まれた。

「あぁ、これがあの子の本当の素顔なのか・・・・・・」絶望を胸に、僕の淡い

彼女の恋は終わりを告げた。翌日、教室に入ると彼女が、僕に笑顔で

挨拶をした。「おっはー」僕は、俯きながら。小さな声で「おはよ」と軽く

返した。小首を傾げる。彼女は、僕の方に近づき。僕に話しかける。

「何かあったの?」「えっ?」「何か、元気がないみたいだから」心配そうに

僕の事を心配してくれた。胸が痛くなった。「別に・・・・・・」素っ気無い

態度で返す。僕は、彼女の本当の素顔を昨日、見てしまった。楽しそうに

僕以外の男と話している所。僕は、ゆっくりと自分の席に向かう。席に座ると

彼女が、僕の席に近づき。また、僕に話しかける。「ねぇ、今度の日曜。

映画見に行かない」彼女が、僕を映画に誘った。これは、何の罰ゲームだ。

僕は心の中でそんな事を思った。僕は、少し嫌味な言い方で、彼女に言葉を

返す。「僕じゃなくてさぁ、彼氏と見に行ったら」言ってしまった。僕の嫌味な

言い方を聞いた。彼女は、再び小首を傾け。僕に疑問をぶつける。

「私に、彼氏なんていないけど」彼女が否定してきた。でも、僕は

見てしまった。昨日のあの光景を「昨日、彼氏と楽しそうに歩いていったじゃん」

昨日の目撃談を彼女に言うと、彼女がポンと何かに納得した。

ジェスチャーをした。「あぁ、あれか~アレ、彼氏じゃないよ」「はぁ?」思わず

大きな声が出てしまった。「アレねぇ、私の弟なの」「弟?」何を言っているのか

頭の理解が追いつかなかった。「えっ?弟いたんだ・・・・・・」「うん。一歳違いの

弟」「あぁ、昨日のは弟さんと帰っていたんだ」僕は、心の中で、何でも納得を

した。「弟さんと仲がいいだね」「まぁ、昨日は久しぶりに一緒だったから」

彼女の話によると、弟さんは普段は学校の寮に入っているらしく。昨日は

久々の自宅への一時帰宅で、彼女が弟さんを学校まで向かいに行っていた

らしい。その道中を僕は目撃したわけか。「ごめん。勘違いしていた」僕が

彼女に謝ると、彼女がニヤリと口角を上げる。「ふ~ん~。そうなんだー

私の弟の事を彼氏と勘ちがいしたわけかー」まるで、罠にかかった。

獲物をどう食べようかと、考えているような言い方だ。「いや、だって

弟がいるなんて。知らないからさぁ」動揺を隠せない。僕を見つめる。

彼女の表情は楽しそうだった。「じゃあ、今度の日曜日。私の家で

映画の鑑賞会をしよ」彼女が、僕を家に誘ってきた。「えっ?」

「どうしても、君と見たい。映画があるだーだから、一緒に見よ」

囁くような声で、僕を誘う。「映画館で見るじゃないの?」

「それは、来週でいいから。まずは、パート1を見ないと」

「続編物なんだ」彼女の表情がものすごく楽しそうだ。

それは、あの時見た。あの笑顔と一緒。いや、それ以上の

笑顔だ。「で、その映画のタイトルって何?」映画のタイトルを

彼女に聞くと、彼女が再びニヤリとした。表情で、僕の耳元で

囁く。「あの子の素顔はかわいいだよ」映画のタイトルを聞いただけなのに。

僕は、その映画の内容が脳内で勝手に再生された。

その映画のヒロインが目の前に存在していた。

あの子の素顔は、確かにかわいい。


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あの子の素顔は 鐘を鳴らす怪物 @yo-81u

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