The Battle in front of Stations

ミンイチ

第1話

「おい、バトルしろよ」


 学校からの帰宅途中、駅前でJK女子高生は突然言われる。


 声の主はこの辺りでは悪い噂が多い中学の制服を着たJC女子中学生で、腕には専用のデバイスが付けられている。


「しょうがないなぁ。

 一戦だけだよ」


 JKはカバンからデバイスを取り出し、それを腰のあたりに固定する。


「へっ!

 そんなところにつけてちゃ、もしものときに動けないぞ」


 JCはからかうようにそう言う。


「これが最近の流行なのよ」


 一息ついて。


「それじゃ、はじめよっか」


『Station Battle が開始されます。近くの人は距離をとってください。

 Station Battle が開始されます。近くの人は距離をとってください。』


 彼女たちを中心に20m四方の四角いフィールドが展開された。


『バトルレディ?』


「「Yes」」


 彼女たち以外が十分に離れると、フィールド内と外とを仕切る壁が生まれた。


 そして、安全が確認されて


『5、4、3、2、Station、GO!』


 掛け声と共に少女たちは走り出す。


 J Kは自転車置き場に、JCは自動販売機に。


 自転車置き場ではいくつかの自転車を見比べたあと、一台のママチャリを背負って装備した。


 ちょうど真ん中くらいで二つに分かれて、車輪は両腕の外側についた。




 自動販売機はまず上下に分かれ、そこからさらに左右に分かれる。


 上側だったところは足について、重りのようになっている。


 下側だったところは上との分かれ目のところに手を突っ込んでグローブのようになっている。



「流行を追ってる割には、そんなに古臭いものをつかうのかよ」


「最近また流行り出してるよ。

 意外と拡張性も高いし」


「まあいいや。

 さっさと始めよう、ぜっ!」


 いきなりJCが缶コーヒーを発射する。


 JKはそれを避けるが、同時に発射されていたペットボトルのお茶に当たってしまう。


 それなりに重いものが早い速度で当たったので思わず後退りしてしまう。


 それを見たJCは立て続けに缶やペットボトルを発射する。


 JKは自転車のタイヤを回したりして受け流しているが、衝撃を殺しきれずに後ろに下がっていく。


 どんどんと下がっていき、後ろにあるのはレンタルモバイルバッテリーが置いてあるところとマウンテンバイクだけだ。


「お前ももう終わりだ!

 早く金を出しやがれ!」


 JCがそう言うが、JKの口元は笑っている。


 JKが耐え続けて1分程がした時、自転車からピピッという音が聞こえた。


「終わりなのは君のほうだよ」


 JKはマウンテンバイクを足につける。


 二つのタイヤを両足につけてまるでローラースケートをするかのようにスイスイとJCに近づいていく。


「チィ!」


 JCは動きを予測しながら飲み物を打ち込むが全て避けられてしまう。


「終わりだよ」


 後ろから声が聞こえ、JCは自販機がついた腕を思いっきり振る。


 JCの腕はJKの腕についていたタイヤに挟まれ、そこから一気に弾き出される。


「なんで!」


「電動アシストよ」


「ここの自転車置き場に充電されたのなんてないはず!」


「だから充電したのよ。

 あのモバイルバッテリーでね」


 モバイルバッテリーは十個置いてあるが、そのうち6つが充電中の表記に変わっていた。


「う、うぁぁぁ!」


 JCが飲み物を乱射するが、狙っていもいないのだから当たるはずもない。


「それじゃ、バッテリー代は払っといてね。」


 そう言うと電動アシストによって十分に加速したタイヤでアッパーをかました。





「これ以上悪いことはしちゃダメだよ」


 撃った飲み物代とバッテリー代で財布の中身のほとんどがなくなったJCに声をかける。


 撃った飲み物は勝者のものとなり、敗者はバトル中に消費したものの代金を払わなければいけないのだ。


「それじゃ、バイバイ」


 たくさんの飲み物を持っていたいくつかのエコバックに入れて、JKは改札に向かって歩いて行った。

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