第6話 美味し国、カリフォルニア
最終日のことです。
今更ながら、海から昇る日の出とか、ええんやない?って話になりました。
オーシャン・ビュー
良い響きです。
水平線の向こうから昇る太陽
サンライズ・オーシャンビュー!
180度の水平線の向こうから白く昇りくる太陽。
金波銀波の海。
サンライズ・オーシャン・ビュー!
さあ!皆様もご一緒に!
サンライズ・オーシャン・ビュー!
よきかな、よきかな!
サンライズ・オーシャン・ビュー!
さぞや、荘厳で感動的でしょう!
晴れていれば。
Aちゃんはギリギリまで寝てたいタイプで、私は定時起床のタイプですので、そもそも、もともと、このイベントは、私たち向きではありませんでした。
でも、せっかくだから、という気持ちに突き動かされ、腫れぼったい目をこすりこすり、ヌボーと窓辺に並んで座ってその時を待っていたんです。
Aちゃんは縦型メトロノームのように前後に揺れつつ、私はソファカバーのようにソファと一体化しつつ
窓には、銀色の世界が広がっています。
「BBQしても良かったな」
「外やから、虫きたで?」
眠い
目、開けへん。
死ぬ
というぼやきの合間に、Aちゃんとそんな会話をポツリポツリ
「暗ない?」
「日の出前が、一番暗いんや」
「日の出って、何時?」
「5時半くらいや、ゆーたやん」
「今、何時やろ」
「もう……6…時すぎた」
私たちは、餌を見つけた猪のように、素早い動きで、窓の外を覗きこみました。
窓の外は、私たちの心を映すかのように、どことのう悲しみの日本海的荒々しい灰色の海。(全方向、恐縮の極みです)
曇って暗い灰色の波間に、カモメがチャプチャプ、うかんでる。
一羽、二羽、三羽、……ああ!いっぱいや、えらいおる。
カモメ、こんな朝から大変やな(なにが?
って思ったら、サーファーやった。
え?サーファーの人って、何時からサーフィンしてんの??
明け方から?夜はしてないよね??
厚く垂れ込めた灰色の雲の下、灰色の波の上で、ねぇ?
なんとなくサーフィンは青い海、青い空、白い雲のイメージで、海に白波を立てつつ、ボードの上で親指立てて「ハッハハッハーァ!」
みたいな。
サーファーとか見たことない地域で生まれ育った私のイメージなんて、こんなモンです。
なのに、こんな曇天の空の下、カモメのように灰色の波間に浮かんでるとは!
私たちがメトロノームになったり、ソファカバーになってた頃、この人たちは、海の上に懸命に立ってたんやなぁと思うと、おののく心持ちになります。
修行僧と堕落した一般大衆のような……そう、まさに末法の世を体現したような、あなたと私。
で、この日はまだ平日やったんですけど、まさかと思いますが、この後、仕事ですか?
むっちゃ体、強ない?
何か、政府が知らない、底しれぬパワーが、この辺りにはありそうな気持ちになりました。
政府筋のメガネくんが、課税対象にしないことを祈ります。
で、まぁ、ご来光は見逃しまして。
その日は午前中で終わって帰りますんで、その前になんや食べよかと。
まずはAちゃんの希望で、サーフィンのメッカにあるインドネシアかタイか……そっち系の店で、焼飯とたまごと焼き蕎麦(推定)の入ったランチを購入して、海で頂きます。
民家と田んぼと細い道の合間の荒地に建つ、なんだか不思議な空間の屋台のような店でした。
まずGoogle先生おらんかったら、たどり着くの不可能でしょう。
そして無事にたどりついたA嬢と私は、店の前に立って、スマホと現物を3回見て確認した、というくらい、LAのラッパーの店のような不可解さを秘めた……まさしく「穴場の店」
オドオドと入店すると、コミュ力超高そうなおにーちゃんが店の外の不可解さを拭うように、感じよく迎えてくださいました。
そしてソフトクリームのコーンとこに巻いた紙の筒のような形状のお洒落な紙に、アチラ風の味付けの焼き飯と丸っと卵一つと蕎麦、それからトッピングを入れてもらい、おにぎりみたいなかわいい形に閉じます。
ココナッツミルクで味付けした、ちょっと甘めの焼き鳥はカップに入れてもらいます。
潮風に吹かれつつ、浜辺で食べるアチラ風(よくわからない)は、癖もなくて非常に美味しい。
思いの外量も多くて、運動量の多い、サーファーの皆様の胃袋も鷲掴み間違いなしでしょう。
デザートは、浜辺近くにある、こちらも屋台なんか、普通の店なんかよくわからない外見の、中に入るとオシャンなお店で、北海道牛乳推しのアイスクリームを頂きます。
サッパリしてるけど、密度の高いアイスが大変美味しい。
織田牛カレーとか、流水ふぐグラタンとかいうのもありました。
織田牛の織田に興奮したんですけど、越前でも名古屋でも、いわんや安土でもなく。
北海道の織田さんちの牛やったと。
地名やなくて、個人でしたな。
そういえば、昨日はピザ食べたんですけど、こちらも非常においしかった!
ほんま千葉、おいしかったなーと思ったんですけど、よくよく考えてみたら、どれも千葉名産とか、特産ではなかったや。
こうした心残りが、次回へのバトンになるんやな。
千葉の奥深さに感激致しますな。
この千葉産のなんやかんや食べたかったバトンは、謹んで読んでくださったどなたかに渡したいと思うのでありました。
是非とも皆様、日本のカリフォルニアへGOですぞ!
私は行く機会ないと思うので、うん、多分。
行かれた方はご一報を!!
それではまた!!
カリフォルニア・ディズ(ただし日本) 麒麟屋絢丸 @ikumalkirinya
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