もう一度だけ戻れるのなら、照れ隠しも躊躇いも忘れて

読み終わった後、感情がただあふれる。
それ以上言葉にするのはよくない気がする。

冒頭の氷室先輩の言葉は、渚沙に向けての告白だと思われる。
同時に後輩に向けて、大切なことを教え伝えようとしている。
おそらく絵だけではない。
なにかを感じ、表現する誰にでも当てはまる、とっても大切なことを語っている。

絵だけではなく、小説でも音楽でも、作品を作るときには作者が意識してるか無意識なのかはともかく、本音の部分がにじみ出てくるもの。
渚沙は絵を見て「私は全て理解した」といっている。
先輩は彼女のためこの絵を描いたのかもしれない。
他の人たちに理解されなくとも、渚沙にだけは伝わればいいと描いたように思えてくる。

まだ彼女は諦める必要はないと思う。
先輩に会いに行けばいい。
絵を描くことを辞める必要もない。
今の彼女ならば、すごいものが描けそうな気がするから。