第5話 温もり

貴方の腕の中で。

私はむず痒い幸せを噛みしめている。


大好きな貴方への。

平凡な片想いは。


時を通り過ごしていた。


「あっ・・・」

窓の外に視線を向けると。


貴方も同じように顔を上げた。


【あめ・・・】

二人の呟きが重なる。


【ふふ・・・】

微笑みも重なって、そして・・・。


温もりの中。

私は何度も繰り返す思い出を頭の中で再現している。


中学校の下駄箱の前で。

私に声をかけた貴方。


あの時。

貴方が。


あの雨の日。

声をかけてくれなかったら。


私は。

誰に嫁いでいたのでしょうか。

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平凡な片想い 進藤 進 @0035toto

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